浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

政治的社会化

2020-12-04 22:10:40 | 読書

 『東大闘争の語り』を読んでいる。

 著者の小杉亮子は、東大闘争に関わった東大生がどういう背景の中で東大闘争に関わるようになったのかをまず考えている。

 その背景に、日教組の運動、教員の教育実践の影響があるとみている。私は東大闘争の世代に少し遅れるが、日教組の運動や教員の実践が、私に政治社会的関心をよびおこしたという記憶はない。

 聞き取りの対象は、東京などの大都市出身者なのだろうか。地方都市では教員が政治的社会的発言を子どもたちにたいして発するということはなかった。政権批判など一度も聞いたことがない。

 いなかの中学校での私の教育経験は貧困であった。中学校1年の英語の授業は、体育の教員だった。ジスイズアディッシュという発音であった。2年の社会科(歴史的分野)は美術の教員、ただ黒板に書くだけの授業だった。ちゃんとした教員による数学の授業は3年の時のみ、英語は2年の時のみ、社会は3年のみ。理科はずっと恵まれなかった。国語だけが熱心な女性の先生であった。体育は最初と最後に来るだけ。

 影響を受けたのは、高校の3年現代国語と、2年の倫理社会だけかな。といっても当該期の政治の話なんか何も聞かなかった。

 私は高校のときから政治社会的に覚醒していたが、学校や教員とは無関係であった。

 とにかく、政治社会化に、私の場合は、学校や教員は全く無関係であった。

 

 

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いのちとカネ

2020-12-04 21:39:31 | コロナ

  COVID-19の感染を抑えるためには、人と人との接触を減らすことがまず必要だ。 COVID-19というウィルスは、人の体の中で増殖する。ウィルスに人体を提供しているのである。

 国家がまずしなければならないことは、国民のいのちを守ることである。それが国家の正統性を担保する。

 しかしスカ=自民党・公明党政権は、安倍晋三=自民党・公明党政権に続き、国民のいのちより、自らの支持基盤に対するカネの撒布を優先する。GO TO キャンペーンを延長させるというのである。

 人が動けば感染機会が増大するのは、誰が考えても分かることだ。だから感染したくない人は、人混みを避け、できるだけ動かないように自重する。

 だが日本の場合、国家が動くことを求める。動いたらトクしますよ、というのである。

 かくて感染は拡大し、医療関係者は厳しい労働を強いられ、一部の分野を除き、経済は動かなくなる。

 要するに、「撤廃」も読めないような人物をトップにすることをやめること、どういう政策を行うかということよりも、権力を振るって自分の思い通りにすることのみに悦びを覚えるようなろくでもない人物に権力を与えないことである。

 もう10年近く、日本は阿呆どもに政治を任せてきた。しかしそれでは国民のいのちは守れない。もう国家の正統性が問われる段階に入っている。

 賢明な人物をトップにしないと、日本はさらに沈没していくだろう。国民のいのちも奪われていくだろう。

 一揆のときが来ている!

 

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文献のみの推測

2020-12-04 10:45:42 | 読書

小熊英二の『1968』という大部の本を私は読んではいない。以前このブログにも書いたが、「カッティング」の意味を小熊がわかっていなかった(小熊は、「印刷したビラを裁断する作業」であると解説していた)ことに強い違和感を持ったし、それも知っていない者の本は読む必要がないと判断したからだ。

今私は『東大闘争の語り』(小杉亮子、新曜社、2018年)を読みはじめたのだが、そこの記述に関して、小熊はここでも事実に基づかない文献のみによる憶測を記しているようだ。

小杉は、東大闘争に参加した者から、政治社会のことを自覚するようになった淵源を尋ねている。その淵源として、少年期に抱いた生活感(自分自身は「裕福ではないが貧困ではない」)をもとにして、周囲にあった貧困の存在に気付いていたことを析出している。

 小杉はこう書いている。

“裕福ではないが貧困ではない”、つまり裕福な人々と貧しい人々の両方について想像力を働かせられる位置にあったことは、自他のあいだに存在する経済格差や、東大生というエリートの立場に立ったことで生じる社会的地位の上下に対する異和感を形成させるものだった。東大闘争が発生したとき、その異和感は社会と大学に対する異議申し立て参加への障壁を下げることになった。(57)

私は東大卒業者ではない。しかしここに記されていことは納得できる。

中学3年時の私のクラス(40人以上いた)で、大学進学者はたった3人である。成績が良くても、職業高校に行く者も多かった。私も「裕福ではないが貧困ではない」という位置にあった。周囲には「おだいさま」といわれる家があり、私たちの生活とは異なる世界に生きていた少数の人々がいた。そしてもちろん、貧困そのものの家庭もあった。子どもの頃の生活感はそういうものであった。

小杉は小熊の主張をとりあげる。

1960年代学生運動参加者のこうした、自らが相対的に有利な位置にいるという自覚と社会的格差に対する繊細な感受性は、先行研究では受験競争の勝利者としての「罪悪感」に短絡されてきた。すなわち、ベビーブーマー世代の成長とともに激化した受験競争のなかで、その頂点に立つ東大に入学することができた彼らは、「平等を重んじる戦後の民主教育の理念を教えられて育ちながら」「誰よりも多くの級友を蹴落として東大に入学できた」ことに罪悪感を抱いていたというのである。

私の体験からすると、「罪悪感」なんかは持っていなかった。受験校に進学した私や友人にとって、4年制大学に進学することは当たり前のことであった。私が学生運動に関わりはじめたのは、「罪悪感」ではなく、「正義感」であったと思う。「自らが相対的に有利な位置にいるという自覚と社会的格差に対する繊細な感受性」がその背景にはあった。その点で小熊の主張は「憶測」に過ぎない。

小杉は書いている。

自他の経済的格差や社会的地位の差にかんする東大闘争参加者達の感受性は、受験競争に巻き込まれるずっと前から、すなわち幼少期に自らが属する社会集団を認識する段階から芽生えていたものであり、進学が適わない級友や山谷でのセツルメントといったより具体的な生活体験に裏打ちされていた。その点で、罪悪感というよりは、具体的な解決方策を探る、社会問題に対する先鋭的な問題意識と呼ぶほうが適切なように思われる。(58)

小熊ら社会学者の多くは、何らかの研究をするときに多くの文献を渉猟し、それをもとに叙述していく。以前にも書いたが、その際、文献には軽重があることを意識していないように思える。私は歴史学であるから、使用する資史料については当然「史料批判」という作業を行う。社会学の研究者の多くにとっては、そうした作業が不十分だと、私は思う。

小熊の主張を知れば知る程、あの大部な『1968』は読む必要がないと思う。

 

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【一部翻訳】PCR Testing Reduced COVID-19 Transmission

2020-12-04 09:22:13 | コロナ

 以下の文の要約部分のみ訳出した。私がこのブログで何度も書いていることが結論となっている。

Increased Intensity Of PCR Testing Reduced COVID-19 Transmission Within Countries During The First Pandemic Wave

第一次パンデミックの波において、PCR検査の強度が高まったことが、各国内でのCOVID-19感染を減少させた

 専門家は、PCR検査がCOVID-19をコントロールする上で重要であることに同意しているが、政策決定者は、どの程度の検査が最適であるかについて異なった意見を持っている。

 2020年3月から6月までの間の、世界のCOVID-19症例の99%を占める173の国と地域におけるCOVID-19の平均生殖数(透過性を表す)に対する検査の影響を定量化してみた。

  PCR検査の効果が最も大きく、新規報告された症例に対する検査の比率が10倍になると、様々な検査レベルで( COVID-19の)平均生殖数が9%減少した。我々の研究結果では、移動手段の削減(例:避難所命令)が先進国に比べて発展途上国では効果が低かったことを示唆している。また我々の研究は、ある国ではCOVID-19の制圧に近い状況を達成したが、他の国においてはCOVID-19(の流行)を遅らせるためのロックダウンが失敗したことを説明するのに役立つ。

 我々の研究結果は、世界保健機関(WHO)や他の検査基準ではCOVID-19の制御には不十分であることを示唆している。COVID-19を制御するためには、検査と隔離を増やすことが、お金の面でも経済成長の面でも人命の面でも、最も効果的で、最もコストのかからない選択肢となるだろう。

 

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