浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

今月号の『世界』

2020-12-08 19:55:40 | 読書

 私が購読している雑誌の一つが、この『世界』である。岩波書店の月刊誌である。高校生の頃は、『世界』のほかに、『展望』(筑摩書房)や『朝日ジャーナル』も読んでいた。今残っているのはこの『世界』だけ。

 私は「メディ時評」から先ず読みはじめる。もちろんこれはメディアに関する論評であるが、いつも適確である。

 さて私はアトランダムに読むのだが、まず「犬笛政治の果てに」(金子歩)がまずよかった。トランプ政権がどういう流れの中から出現してきたのかを丁寧に教えてくれる。ニクソンやレーガンなど共和党の大統領が、要するに人種差別を利用しながら票を得てきたことが歴史的に記されている。

 アメリカの黒人をはじめとした人種差別はほんとうに根深い。白人中産階級の安定した生活は、いつも人種差別を背景にして維持されてきた。しかし白人中産階級が没落していくなかで、人種差別の意識が強化され、その意識を共和党が強化し、トランプにつながっている。

 それから横浜市のIR事業に関して、建築家の山本利顕氏が横浜市にカジノがない開発案を提示したという。「観光の根源とはなにか」というインタビューであるが、とても刺激的な内容であった。

 山本氏は「観光地」とは、テーマパークではなく、「「観光地」に共通するのは、ディズニーランドのような特別なテーマパークがあるわけではなく、住民たちが生活している場に観光客が来る」のであり、「自分たちにとって住みやすい魅力的な環境・空間が、観光客を惹きつけているわけで」、「観光客をもてなすのは、住民」なのであって、「「住民自治」が非常に重要なの」だという。そして「歴史的に形成されてきた文化を大事にしている土地の魅力にはかなわない」。

 そして「公」とは「国家が提供するもの」だと思われがちだが、それは「官」であって「公」ではない。「公」とは地域社会のコミュニティであり、「私」とはそのコミュニティのメンバーなのだ。

 このような指摘を読みながら、若い頃はそういうことを考えていたことを思い出した。個人ー社会的領域ー国家、山本氏に言わせれば、私ー公ー官という関係。

 山本氏は、「今の新自由主義的な改革も、中間団体を解消して、国家とばらばらの個人とに二元化してしまうという発想に貫かれて」いる、と。まさに「中間団体」、私がいう「社会的領域」、そこでは様々な個人、グループや団体が相互交流する領域である、それが現在は消されつつある。

 となると、どのようにコミュニティ、社会的領域、中間団体を豊かにしていくのかということを考えていかなければならない。

 山本氏は、そうした思想を持った提案をすることで、横浜市でそれを実現しようとしている。新自由主義に毒された横浜市政は、山本氏の提案にのることはないとおもうが、その思想を我々が学ぶべきではないかと思った。

 

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当然の結果である

2020-12-08 10:29:49 | コロナ

 無症状のウィルス保持者がみずから感染していることを知らないままに動いている。ウィルスはそういう「宿主」から、あちこちで新たな「宿主」をさぐり当て乗り移っている。

 ひとが移動して接触機会が増えていけば感染者は、症状があろうとなかろうと増えるのは当たり前である。

 何せ、日本政府や自治体が、ウィルスのためを思ってかどうか知らないが、旅行や会食を積極的に進めているのだから、感染が拡がるのは当たり前のことだ。

 人びとは、政府などの「官」のお墨付けを得ているのだから、旅行して会食して、感染してどこが悪い、と居直ることも可能である。

 しかし私は考える。旅行も会食もできない人びとのことを。その中には COVID-19患者の治療に休む暇もない医療関係者がいる。

 「官」の政策より、人びとへの思いやりこそが今求められているのではないだろうか。

 スカ・自民党・公明党政権、すなわち「官」の無策と愚策に協力することはない。静かに、 COVID-19の流行が沈静化するように、感染しないように生きていくのだ。

 

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