浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

愛の不時着(2)

2020-12-20 09:15:36 | その他

 この連続ドラマは、ときにハリウッド映画張りの場面もあり(銃撃戦)、とてもよくできていると思った。これを週一で見ているとすると、それぞれ一話が終わる度に、おそらく次の展開がどうなるかがとても気にかかってしまっていただろう。

しかし、である。私たちはこのドラマの背景にある問題を見つめる必要がある。なにゆえに、同じ言葉を話す一人の男性と一人の女性が出会って愛情の絆に結ばれているのに、会うことができないのか。

 朝鮮民族を分断する38度線。同じ民族であるにもかかわらず、敵国として認識し合わなければならない現実。同じ民族であるのに、電話もメールもその他一切の連絡が絶たれている現実。38度線は、一つの民族を分断し、それぞれをもっとも遠い存在へと押しやる。

 このドラマでも、会うことができるのはスイス。それぞれがスイスに行く理由をつくっての邂逅である。

 この分断の責任は、日本にもある。植民地支配、敗戦直前の日本軍の配置、そしてアメリカのソ連との占領区域の線引き。その後につづく冷戦。

 北朝鮮の水道もガスもない、日本の高度経済成長以前の姿がいまもって続いている様子が描かれる。しかし朝鮮半島というのは、そこに住む人が一つになっていて自給できる。つまり農業は南部が担ってきたのであり、北朝鮮が食糧不足に苦しむのは自然や地形上やむをえない問題なのである。

 このドラマの制作者は、不条理な分断に対する問題意識を持っているのだろう。

 「愛の不時着」を見ながら、朝鮮半島の歴史的現実を直視するべきなのである。

 

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「愛の不時着」

2020-12-20 00:39:11 | その他

 「愛の不時着」16話を、今見終わった。

 韓国ドラマは以前、「砂時計」をすべてみたことがある。「砂時計」は激動する韓国の歴史を背景に、幼馴染みの3人の主人公が歴史の大きな波に呑まれながら生きていく。そのなかでもっとも波瀾万丈の生き方をした者が亡くなり、その遺灰を放つところでは号泣した記憶がある。韓国の歴史を知っているが故に、彼が背負った歴史の重みにこころを動かされからである。

 その後は、韓国版「のだめカンタービレ」、そして「愛の不時着」。

 韓国ドラマの凄さは、コメディの面をもちながらも、ぐいぐいと、それもハラハラさせながら話の展開に引き込んでいくところである。終わるまで、ひたすら見続けざるを得ない。次の展開はどうなるか、見る者を笑わせ、泣かせ、不安にさせ・・・というように、片時も目を離せない。

 フェミニストの北原みのりさんが、主人公の北朝鮮軍中隊長ジョンヒョク役を演じた「ヒョンビン」に守られたいと書いていたのを読み、これは見ておかなければならないと思った。

 女性たちが「ヒョンビン」に憧れるのがよくわかる。彼は「オレは男だ」などという雰囲気を一切出さない。非武装地帯に不時着してきた財閥の令嬢であり、また女性実業家であるユン・セリに、人間としてこころからの誠意をもって接する。男という属性、兵士という属性、大幹部の息子という属性、そういうものを一切出さず、ひとりの人間がひとりの人間を最大限尊重して行動するのである。そして誠意がお互いに愛へと変わっていき、ふたりの愛は「無私の愛」とでも言おうか、ただただ相手に「誠意を尽くす」という行動にあらわれる。

 中隊の兵士たちもたいへん個性的で、なかなか深刻な展開の合間に、おもしろい役回りをしていた。それは村のオバサンたちもである。

 女性たちがこの韓国ドラマにはまる理由がよく分かる。「ヒョンビン」は、とにかく男風を吹かさない。日本の男の精神にはミソジニーが隠れ住んでいる。しかし「ヒョンビン」にはミソジニーが一片もない。女性はとにかく人間として尊重されるのである。そういうところに、日本の女性が憧れるのではないか。

 

 

 

 

 

 

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感染拡大のなかで考え方を変えたの?

2020-12-20 00:03:20 | コロナ

厚労省の医系技官や「感染症ムラ」の人たちは、PCR検査を抑えてきた。しかしこのように感染者が増えていく中で、これでは感染者数を減らせないとやっと気がついた「専門家」が、他国でやっているように、私が主張し続けたように検査・隔離により感染者を増やさないことを提案した。

PCR検査拡充、封じ込めを 日本感染症学会理事長 舘田一博氏

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