Yahoo!ニュースが、Journalismの役割を果たしている。他はどうかな?
昨日の『東京新聞』記事を読んで、中国・習近平政権はこんなことまでするのかと驚いた。
その記事とは、「香港教科書の記述が波紋「英植民地ではなかった」中国政府の視点重視 最後の総督は歴史改ざんを批判」である。
香港が、イギリスによる不当なアヘン戦争の結果、南京条約が清朝との間に結ばれ、香港がイギリスに割譲されたことは、歴史的事実として存在している。この事実は、イギリスの侵略であり、きわめて不当であることは言うまでもない。
だがそうであっても、歴史は歴史なのである。
にもかかわらず、「香港は英国植民地ではなかった」との記述が、香港の教科書に書かれるようになったという。それは中国共産党の「中国政府は不平等条約を承認していない」から、というのである。
中国・習近平政権が、南京条約という不平等条約を清朝が結んだことを「承認していない」から、「香港は英国植民地ではなかった」というのだが、これでは歴史は客観的な認識対象として存在するのではなく、時の権力者が主観的に歴史を決定するもの、ということになる。歴史は歴史ではなくなってしまう。
中国は、大国意識(帝国意識)に囚われて、こんなことまでするようになったという驚きを禁じ得ない。
ロシアの愛国主義、この中国の歴史の改竄、日本の教科書検定・・・・世界は政治権力を握った者が、歴史を勝手気侭に考え、切り刻み、権力者の都合の良いように書き変え、それを人びとに押しつけるようになっている。
理性の後退は、とどまるところを知らない。そんな世界に住んでいることを、悲しく思う。
ロシアの現在の姿を、高齢のジャーナリストが語る。その語りのなかには、ロシアだけではなく、日本の社会にも通じる視点がある。
なぜソ連を引き継いだロシアがこのようになったのか、納得できる説明がある。後半の部分では、日本の社会とも共通する「病巣」が指摘されている。
私たちは、起きている事態について、「なぜ?」と考える必要がある。その場合の材料は断片的な不確かな情報ではなく、理性に裏打ちされた賢明な議論でなければならない。