円安が進んでいる。日本の輸出企業は大儲けをしているだろう。日本の産業は、ただひとつ自動車産業しかない、政府はひたすら自動車産業を支えている。だからいつも円安を維持するために、日本政府は頑張ってきた。また日本の賃金はずっと下がり続けてきたが、他国は賃金が上昇し物価も上がってきた。アメリカも物価上昇をおさえようと金利をあげたことから、円安が急激に進み、それによって輸入品の価格が上昇してきた。日本の賃金や年金が下がり続けてきていることから、庶民にとってはこの物価上昇はなかなか厳しいものとなっている。
ところがズブズブの金融緩和をしてきたことから、日銀は、アメリカの利上げに対応する政策をとることができない。
円安は、もっと進むことだろう。となると、円安を契機に、日本の不動産が買われてきている。日本のネトウヨらは、日本の土地などが中国に買われていると叫んでいるが、ホントにそれが問題だと考えるなら、自民党を支持することはやめたほうがよい。自公政権が今まで通りの政治をすすめれば、円安はもっと進んでいくことだろう。
昨日の『東京新聞』に、「社民 政党維持「崖っぷち」」という記事があった。また参院選のトレンド調査の記事もあり、それによると社民党の支持率は0・8%だという。このままでは政党要件がなくなり、社民党は政党活動が大きく制限されることになる。まさに「崖っぷち」である。
私は地元の日本社会党(社会民主党)の方々とともに行動することが多く、したがって選挙では多く日本社会党(社会民主党)に投票してきた。しかし、私が住む選挙区では立候補者がなく、地方議会議員選挙でも立候補者がいないという期間が長い。したがって、参院選の比例代表のみ投票するという状態だ。
社会党・社民党をじっと見つめてきた私は、「崖っぷち」となった理由に「自業自得」という面があることを何度も、社民党の方々に指摘してきた。何といっても、小選挙区制に賛成して、その選挙制度を成立させてしまったことが大きい。この制度では、社会党・社民党の議員は当選できない。当選できない制度に賛成したのである。
国会議員の数が減り、それとともに地方議会での議員数も減っていった。
社会党・社民党の勢力が縮小の一途をたどるようになった原因は、その支持基盤である総評・県評・地区労など労働組合組織の解体がある。その解体に積極的であったのは、同盟系労組と共産党であったと聞いたことがある。同盟系労組は、総評を解体して、同盟を含めた連合を創出すれば、基本的にその主導権をとれることが予想されたし、また共産党系は自前の労働組合組織をつくりたかったからであろう。実際、共産党系は自前の労働組合組織をたちあげた。
ついでに記しておけば、私は当時総評系の労働組合に属していたが、その指導部は共産党系が握っていた。私は、組合が連合に参加せず共産党系の労働組合組織に入るという提案に強く反対した。連合に入ってきちんと主張すべきを主張すればよいのだ、もし共産党系の組織に入れば組織人員は増えなくなる、と主張したのだが、その主張は通らなかった。結果、連合は翼賛組織に近くなり(連合に吸収されたかつての総評系の労働組合は政治的・社会的な活動をしなくなった)、共産党系の組織率は低いままだ。
その後、村山政権が発足した際、日本社会党はみずからが掲げていた政治方針を一挙に投げすて、社会党は臨時党大会を開いてそれを追認した。
さらにその後、党名を日本社会党から社会民主党にかえてしまった。
私は、社会党が小選挙区制に賛成したこと、社会党の村山富市政権の際に従来の政治方針を投げすてたこと、さらに党名を変えたこと、この三つが社会党・社民党を「崖っぷち」に追い込んだ理由だと思っている。それらは彼らがみずからの判断で行ってきたことだ。それらの決定に関して、私のような同党支持者の気持ちは、一切考慮されなかった。
現在の党首・福島みずほさんは、ほんとうによく頑張っていると思う。同党の先輩たちが崩してきた足場、それはまさに「崖っぷち」となってしまっているのだが、その「崖っぷち」で福島さんは何とかしようとしている。福島さんの真剣さはホンモノである。
私は、社会党系の人びととの付き合いがながいが、いずれも人として「いい人」たちである。だが、「いい人」であるがゆえに、社会党・社民党の方針転換を易々と許してしまった人たちでもある。
私は、彼ら「いい人」たちを支持し続けるが、なぜかくも「崖っぷち」になってしまったのかを、きちんと振り返ることが必要だと思う。