ロシアによるウクライナ侵略に関する情報が、私のところにも送られてくる。私の立場は、別にゼレンスキー=ウクライナ政権を「善」とするつもりはまったくないが、ロシアのウクライナ侵攻は20世紀以降の戦争違法化の国際的な動きを踏みにじり、主権国家への軍事侵略を行った、ということで、ロシア=プーチン政権は「絶対的な悪」に踏み込んだ、というものである。
送られてくる情報にはTwitterのアドレスが多い。私はTwitterの情報を紹介することはほとんどしていない。また送られたTwitterに掲げられているものには、たとえ説明がつけられていても、その信頼性、出所など私には確認のしようがない。
また送られてくる情報の内容には、文献の紹介がない。ネットに依存して情報を集め、それによって判断しているようだ。
私は歴史研究をひとつの仕事にしているが、歴史を研究する際に依拠する史料については、信用できるかどうか、史料批判を行う。その史料が正しいかどうか他の史料と照合したり、文献を読み込んでその史料に記されているものが従来の研究史にとって妥当なものであるかどうかを吟味する。
また史資料は一律に扱うべきではなく、そこには軽重がある。つまり信用性に於いて、差があると言うことだ。最近の社会学者による歴史研究に対して私は批判的であるが、その批判の理由のひとつが文献に依拠する場合の信用性における軽重をしっかり判断していない、ということがある。
事態の判断について、少なくとも20世紀以降の歴史の展開、今までの学問的研究の延長線上でなされるべきである。
ネット上にあふれる情報、とりわけTwitterの情報は判断の基準にすべきではない。詳しいことは知らないがTwitterは少ない文字数しかつかえないという。ひとつの判断を提示するためには、短い文ではとても判断の理由を説明できない。私がTwitterをやらない理由はそこにある。
友人は、私のこのブログの文が長すぎるという。私は、しかしそれを変えるつもりはない。
私には、きちんとした文献に基づいた意見を送って欲しいと思う。そうでなければ、私はさらっと眺めて削除するだけである。
プーチン=ロシア政権によるウクライナ軍事侵攻について、今もってプーチン=ロシアの意向を斟酌している人びとがいる。プーチンという人物について、私もそんなに関心を持っていなかったが、この侵略戦争が始まってからプーチンに関する文献を読んできたが、ロシアの指導者のなかでも極悪と言われるスターリンと肩を並べるほどの悪人であるという結論となった。
振り返って見れば、ロシアという国の歴史は、庶民にとって決して良い国ではなかった。それは近代日本も同じであるが、庶民は貧しく、周辺の他民族が居住しているところに浸出してみずからの版図に加えていった。
スターリン体制の下では、ロシア帝国時代よりも過酷といわれる強制収容所をつくり、政敵を片っ端から殺していった。そして第2次大戦では本来支配する合理的な理由をもたない千島列島を獲得し、「満洲」にいた日本軍人らを強制労働に駆り立てた。また「満洲」地域にあった日本企業の財産を奪い取っていった。それらは中国に与えられるべきものであった。
社会主義体制が崩壊したあと、官僚たちが国家財産を簒奪して民営化し、彼らはそれらの経営者となって(オリガルヒ)私腹を肥やし、他方、庶民の生活は貧しいままであった。
プーチンも、そうしたオリガルヒの利益代表であると同時に、強大な権力を掌握し、かつてのロシア帝国→ソビエト連邦の再興を企てている。
※今、私は、社会主義を唱えていた国家の政治権力には大きな問題があったと考えている。藤田勇氏は、この事態をどう考えているだろうか。