ハン・ガンの『少年が来る』(クオン)を、アマゾンで買った。そして読みはじめた。
読んでは立ち止まり、遠くをみつめ、再び本に目を落とす。そして止まる。読み進んでいくと、お腹に重いおもりがあるかのように、からだ全体でその重みを感じる。
光州事件。光州のふつうの市民や学生などが、韓国の軍隊の銃弾などによって殺害された。事件そのものが重くのしかっかってくるのに、この小説は、そのなかに息を吸って食べ物を食べる人間が登場する。しかし周りは軍隊によって殺された遺体が並び、また運ばれてくる。
もっとも激しい暴力が吹き荒れ、ひとりひとりの人間の命を奪い、その人間に関わる人間たちの深い悲しみを生みだす。
暴力がふるわれるとき、そしてその暴力によってころされたとき、人間は、人間の魂は・・・・
ハン・ガンは、この小説で、暴力の本質を穿つ。暴力がもたらすこと・ものを描く。それは重い。その重みを感じる。それはまた人間の重みである。
まだ途中である。少しずつ、少しずつ読み進める。時間がかかる。