この夏季休業を使って、『交渉分析-交渉の科学と技芸』をようやくまとめ終わりました。A4で全315頁、これだけ一度に何かを書いたのは、大学の卒論以来ではないかという気がします。
これは、日本ではあまり知られていませんが、交渉学の巨人である故ハワード・ライファ(1924-2016)の”Negotiation Analysis”(2002)を分かりやすくまとめ直したものです。
Negotiation Analysis: The Science and Art of Collaborative Decision Making by Howard Raiffa(2007-03-31) | |
Howard Raiffa | |
Belknap Press |
原本自体、500頁を超える大著。その上、一般を対象に書かれた交渉本ではなく、ビジネススクールの教科書に使われるような本であるため、そのまま読んでも分かりにくいところが多々ありました。しかし、同書は交渉という分野を一つの理論体系としてまとめた好著であり、交渉学を学ぶ上で幹となるべきものだと思っています。そこで今回のまとめに当たっては、恐らく当時ライファの下で学んでいた学生たちにとっては前提とされていたか、ライファが他の著書で既に述べていたことであるがゆえに省かれたと思われる部分を補いつつ、同書の内容を分かりやすくお伝えできるよう心がけました。
『交渉分析』の目次だけご紹介しますと、以下の通りとなります。その内容については紙幅の制約上、全てをお伝えすることはできませんが、できる限り日本交渉協会のニューズレターを通じてご紹介できればと思っております。
序章:交渉のサイエンスとアート
第Ⅰ部:基礎理論
第1章:交渉分析とは何か?
第2章:決定分析
第3章:行動意思決定論
第4章:決定分析のケース・スタディ
第5章:ゲーム理論
第6章:交渉者のディレンマ
第7章:交渉の準備
第Ⅱ部:二者間分配型交渉の理論
第8章:分配型交渉の基本概念
第9章:行動のエスカレーション
第10章:オークション
第Ⅲ部:二者間統合型交渉の理論
第11章:テンプレート設計/評価(統合型交渉の準備)
第12章:テンプレート分析
第13章:ケース・スタディ:ネルソンvsアムストア
第14章:行動の現実
第15章:非協力的な相手
第Ⅳ部:外部の支援
第16章:評価的仲裁と非評価的仲裁
第17章:公平とは何か?
第18章:並行交渉
第Ⅴ部:多数者間交渉の理論
第19章:集団的意思決定
第20章:コンセンサス
第21章:連合形成
第22章:投票
第23章:多元的な当事者
第24章:当事者多数の介入者
第Ⅵ部:交渉と倫理
第25章:社会的ディレンマ
第26章:交渉と倫理
繻るに衣袽あり、ぼろ屋の窪田でした