都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「ルオーと白樺派」 松下電工汐留ミュージアム 7/3
松下電工汐留ミュージアム(港区東新橋)
「ルオーと白樺派 近代日本のルオー受容」
5/21~7/10
つい先日まで、木場のMOTにて大規模なルオー展が開催されていましたが、汐留にある松下電工のミュージアムでも、テーマをしぼったルオーの展覧会が開かれています。明治末期から大正期にかけて、文学の一潮流であった「白樺派」が特に敬愛したというルオー。当時の日本へのルオーの受容過程を軽く概観しながら、改めてルオーの魅力へ迫っていくという内容です。主に清春白樺美術館と、このミュージアムが所蔵する作品で構成されていました。
前回、現代美術館でルオーを見た時は、色彩の美しさに魅了されながらも、深い宗教性を思わせる表現に、やや突き放されるような印象も受けたのですが、今回は二度目だからか、宗教性云々と言うよりも、作品そのものの魅力にすっと入り込むことができました。鮮やかで力強いタッチと、大胆な配色の中に光る黄色が美しい「曲馬師」(1940-49頃)や、可愛らしい犬と戯れる踊り子の健気な様子が素晴らしい「踊り子と白い犬」(1920-29)、または、一際大きなカンヴァスに黒と赤の対比を見せながら、作中人物の顔に感情や思索を巧みに表現する様が見事な「法廷」(1909年)などは、どれもルオーの強い筆の力を感じさせます。
私が一番惹かれた作品は「マドレーヌ」(1956年)でした。一目見ただけでも黄色やオレンジ色などの、極めて華やかで明るい色彩感に驚かされますが、ルオーの被写体への愛情も汲み取れるような作品でもあります。くっきりと迷いを見せない太いタッチで描いた大きな眼を持つ女性。その瞳や表情からは強い意志すら感じさせます。これは必見です。
ルオー以外の作品では、土の匂いすら漂ってきそうな深い質感を思わせる岸田劉生の「代々木風景」(1913年)や、藍色のトーンでパリの風景を美しくまとめた梅原龍三郎の「ノートルダム」(1921年)などに惹かれました。また、武者小路実篤の有名な「自画像」(1956年)なども展示されていて、これもなかなか見応えがありました。
松下電工汐留ミュージアムへは初めて行きました。汐留の超高層ビル街「シオサイト」の中では最も銀座よりに位置する、松下電工東京本社ビルの4階にあります。ミュージアムの入口のすぐ隣には松下電工の総合受付があり、休日に出向いたにもかかわらず、何やら「仕事モード」の漂う場所ではありましたが、真新しい館内は隅々まで整備されていて快適です。元々、ルオーをコレクションしていることもあってか、今年の12月には「ルオーと音楽」という展覧会も予定されていました。次の日曜日までの開催です。
「ルオーと白樺派 近代日本のルオー受容」
5/21~7/10
つい先日まで、木場のMOTにて大規模なルオー展が開催されていましたが、汐留にある松下電工のミュージアムでも、テーマをしぼったルオーの展覧会が開かれています。明治末期から大正期にかけて、文学の一潮流であった「白樺派」が特に敬愛したというルオー。当時の日本へのルオーの受容過程を軽く概観しながら、改めてルオーの魅力へ迫っていくという内容です。主に清春白樺美術館と、このミュージアムが所蔵する作品で構成されていました。
前回、現代美術館でルオーを見た時は、色彩の美しさに魅了されながらも、深い宗教性を思わせる表現に、やや突き放されるような印象も受けたのですが、今回は二度目だからか、宗教性云々と言うよりも、作品そのものの魅力にすっと入り込むことができました。鮮やかで力強いタッチと、大胆な配色の中に光る黄色が美しい「曲馬師」(1940-49頃)や、可愛らしい犬と戯れる踊り子の健気な様子が素晴らしい「踊り子と白い犬」(1920-29)、または、一際大きなカンヴァスに黒と赤の対比を見せながら、作中人物の顔に感情や思索を巧みに表現する様が見事な「法廷」(1909年)などは、どれもルオーの強い筆の力を感じさせます。
私が一番惹かれた作品は「マドレーヌ」(1956年)でした。一目見ただけでも黄色やオレンジ色などの、極めて華やかで明るい色彩感に驚かされますが、ルオーの被写体への愛情も汲み取れるような作品でもあります。くっきりと迷いを見せない太いタッチで描いた大きな眼を持つ女性。その瞳や表情からは強い意志すら感じさせます。これは必見です。
ルオー以外の作品では、土の匂いすら漂ってきそうな深い質感を思わせる岸田劉生の「代々木風景」(1913年)や、藍色のトーンでパリの風景を美しくまとめた梅原龍三郎の「ノートルダム」(1921年)などに惹かれました。また、武者小路実篤の有名な「自画像」(1956年)なども展示されていて、これもなかなか見応えがありました。
松下電工汐留ミュージアムへは初めて行きました。汐留の超高層ビル街「シオサイト」の中では最も銀座よりに位置する、松下電工東京本社ビルの4階にあります。ミュージアムの入口のすぐ隣には松下電工の総合受付があり、休日に出向いたにもかかわらず、何やら「仕事モード」の漂う場所ではありましたが、真新しい館内は隅々まで整備されていて快適です。元々、ルオーをコレクションしていることもあってか、今年の12月には「ルオーと音楽」という展覧会も予定されていました。次の日曜日までの開催です。
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