都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
IEMAコンサート 7/15

ライヒ ディファレント・トレインズ
バルトーク 「2台ピアノと打楽器のためのソナタ」より第1楽章
リゲティ エチュード第7番「Galamb Borong」
ユン・インサン ガザ~ヴァイオリンとピアノのための
リゲティ エチュード第4番「ファンファーレ」
原田敬子 クラリネット、ヴァイオリンとチェロのためのAbyss
三善晃 ノクチュルヌ
ラッへルマン プレッション
ゲージ ファイブ
シェーンベルク 4つの歌(op.2)
伊藤聖子 「ケ・セラ・ムジカ!」
指揮 フランク・オルー
演奏 アンサンブル・モデルン
インターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー(IEMA)受講生
2005/7/15 19:00 東京文化会館小ホール
日本で初めての開催となったインターナショナル・アンサンブル・モデルン・アカデミー。30名を越える若手音楽家がこの企画に参加し、一週間ばかり、アンサンブル・モデルンのメンバーによる集中レッスンを受けたそうですが、先日、その成果発表の場となったファイナル・コンサートを聴いてきました。
登場した方々の大半はアカデミーの受講生で、どちらかと言えばアンサンブル・モデルンのメンバーは、そのサポートに徹していたように思います。私は単純に、大好きなライヒを、ホールで格安で聴くことができると思って出向いたのですが、受講生の方々の熱心な音楽への情熱と、アンサンブル・モデルンのメンバーの高い音楽性が合わさった、なかなか素晴らしいコンサートだったと思います。
一番始めに演奏された曲が、私が最も聴きたかったライヒの「ディファレント・トレインズ」でした。チェロのグリマーと、音響効果を担当したオマーがアンサンブル・モデルンのメンバー、そしてヴァイオリンとヴィオラは受講生による演奏です。小ホールいっぱいに響き渡ったミニマルの音の紡ぎは、波に体をゆだねながらプカプカと海面を彷徨うような気持ちにさせられます。実際にステージに接すると、当然ながらCDとは異なった印象を受けるのですが、弦楽四重奏とテープの組み合わせによる、単純なようで繊細かつ多彩な音響の面白みは、やはりホールの大きな空間で体全体で受け止めた方が心地良く感じられました。
チェロのソナタ風の作品であるラッへルマンの「プレッション」は、いわゆる「ゲンダイオンガク」の真骨頂のような作品です。グリマーは、楽器のあちこちを叩いたり撫でたりと、大凡演奏とはほど遠いような行為をチェロに行いますが、実際に目の前でその姿を見ると、やはりかなり滑稽に感じられます。音楽の「フルクサス」と言っても良いのでしょうか。
受講生の伊藤聖子さんがこの日のために作曲したという「ケ・セラ・ムジカ!」は、弦楽四重奏と2台のピアノが登場する作品です。印象的なフレーズがいくつか繰り返されながら、チェロやピアノなどの音の連鎖が続きます。妙な仕掛けもなく、素朴な感触が好印象でした。また、ホールの前後左右に五名の奏者を配したゲージの「ファイブ」や、厳しい緊張感を持続させながらも、随所に自然への信仰を思わせるような音の連なりが美しいユン・インサンの「ガザ」などが印象に残りました。
会場の入りは客席の半分程度で、来られていた方もこの企画と関係のある方が多いように見受けられましたが、私のような全くの素人でも楽しめるコンサートだったと思います。今年初めて開催された企画とのことですが、今後の継続にも期待したいです。
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