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「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」 Bunkamura ザ・ミュージアム

Bunkamura ザ・ミュージアム渋谷区道玄坂2-24-1
「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」
4/7-6/3(会期終了)



既に会期を終えています。「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」です。率直なところ、モディリアーニにもジャンヌの作品にも感じるものがあまりないのですが、(お好きな方には申し訳ありません…。)半ば非常に生々しい形で両者の関係を追うことが出来ました。以下、その印象を簡単に記しておきたいと思います。



さてまずこの展覧会では、ジャンヌの画才を、それこそモディリアーニと並ぶと言わんばかりに高く評価していましたが、確かに彼女の絵がモディリアーニに影響を与えた部分はあったにしろ、画家として両者を同格に扱うのはかなり難しいのではないかと感じました。もちろん、キュビズムなどの影も濃いジャンヌの作品に素朴な魅力があるのは事実ですが、早くより自己のスタイルを確立して、繊細な感情を示す肖像画を描き続けたモディリアーニに及ぶものは殆ど見られません。また一部、キャプションにてジャンヌの作品を「女性的」と評している箇所がありましたが、もしその表現自体が適切であるならば、私はモディリアーニこそ「女性的」な作風を見る画家ではないかとも思います。(ただし、往々にしてそのような表現は意味をなさないことも付け加えておきます…。)

 

画家としてではなく、人として、つまりはかけがえのないカップルとしての二人を見ると、この展覧会のハイライトは必然的にジャンヌの残した最後の四作になるのでしょう。この連作は、二人の暮らしたニースの日々から、何とジャンヌの自殺までがスケッチ風に描かれたものですが、四枚目に見る「自殺」の恐ろしい表現にはもう何の言葉もありません。ナイフを胸に突き刺し、鮮烈な血も迸るジャンヌは、もの凄い形相でまさに地へと落ちるようにひっくり返っています。実際に彼女は、モディリアーニの死を聞いた48時間後、お腹の中の子どもを道連れに投身自殺をはかりました。この作品を見ると、絵がその「免罪符」になってしまうことへの抵抗感はあるにしろ、許されざる行為も運命だったのかと理解せざるを得ません。

ジャンヌの遺髪は、まだ生気すら漂うかのように輝いていました。「画家としてのジャンヌ」(パンフレットより。)があるとするならば、きっとこの後の人生にこそ花開いていたのではないでしょうか。少なくとも私はそう信じたいです。(6/2)
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