都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「入江明日香展」 シロタ画廊
シロタ画廊(中央区銀座7-10-8)
「入江明日香展」
6/4-16
今年の「VOCA」展にも出品がありました。銅版画をベースに、その詩的なイメージを無限に膨らませる入江明日香の個展です。
入江の作品は、VOCA以外にも、ミュゼ浜口陽三の企画展などで拝見したことがありますが、そのモチーフへの関心はどちらかというと抽象から具象へと移っているのかもしれません。線が泳ぐように揺らぎ、またまるでシャボン玉のように空間へと飛ぶ数々のモチーフは、抽象のイメージを残しながらも、例えば鳥や花のように身近で可愛らしいものへと変化していました。伸びやかに舞う淡い色彩と形から浮かび上がる鳥は、さながら神坂雪佳のような『和みの花鳥画』の伝統も感じさせています。
銅版画にコラージュ、または顔料などを用いて制作された作品は、いわゆる一般的な版画の味わいをゆうに越えていました。もちろんそれは、逆に版画の持つ表現力をより深化させていることにも繋がりますが、入江の凝った技法は、言わば作品に殆ど露になっていないようです。ようは、決して「この作品が版画である。」と思わせずに、版画より広がる豊かな味わいを取り込むことに成功しています。支持体の紙に見る純白は、モチーフの描かれた後で塗り込まれた胡粉でした。作為の痕跡は限りなく控えめです。
銅版画の技法を用いたとは思えない美感と、具象と抽象の間で揺れるモチーフの面白み、さらには瑞々しくのびやかな色彩感の全てに魅力を感じます。16日までの開催です。これはおすすめです。(6/9)
「入江明日香展」
6/4-16
今年の「VOCA」展にも出品がありました。銅版画をベースに、その詩的なイメージを無限に膨らませる入江明日香の個展です。
入江の作品は、VOCA以外にも、ミュゼ浜口陽三の企画展などで拝見したことがありますが、そのモチーフへの関心はどちらかというと抽象から具象へと移っているのかもしれません。線が泳ぐように揺らぎ、またまるでシャボン玉のように空間へと飛ぶ数々のモチーフは、抽象のイメージを残しながらも、例えば鳥や花のように身近で可愛らしいものへと変化していました。伸びやかに舞う淡い色彩と形から浮かび上がる鳥は、さながら神坂雪佳のような『和みの花鳥画』の伝統も感じさせています。
銅版画にコラージュ、または顔料などを用いて制作された作品は、いわゆる一般的な版画の味わいをゆうに越えていました。もちろんそれは、逆に版画の持つ表現力をより深化させていることにも繋がりますが、入江の凝った技法は、言わば作品に殆ど露になっていないようです。ようは、決して「この作品が版画である。」と思わせずに、版画より広がる豊かな味わいを取り込むことに成功しています。支持体の紙に見る純白は、モチーフの描かれた後で塗り込まれた胡粉でした。作為の痕跡は限りなく控えめです。
銅版画の技法を用いたとは思えない美感と、具象と抽象の間で揺れるモチーフの面白み、さらには瑞々しくのびやかな色彩感の全てに魅力を感じます。16日までの開催です。これはおすすめです。(6/9)
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