「カンノサカン 『trans.』」 ヴァイスフェルト

ヴァイスフェルト港区六本木6-8-14 コンプレックス北館3階)
「カンノサカン 『trans.』」
6/1-30

ヴァイスフェルトで開催中の「カンノサカン 『trans.』」です。まさしく新境地を思わせる、これまでにない大作(縦170センチ、横355センチ)が充実していました。魅力たっぷりです。



光沢感のある黒の中で舞うのは、メタリックなイメージも感じさせる無数の白い曲線でした。一切の下書きをせずに描かれたというその揺らぎのない線の連続は、何やらそれ自身が生きているかのように生成消滅を繰り返し、空間を自由に駆けているようにも見えてきます。そして細かい部分を目で追うと、鎖のように連なる曲線の一つずつが、まるで視覚化された神経回路のようにも思えてきました。またミクロの線の集合は、時に人が踊るようにも跳ね、また時には草木が風に吹かれたように気持ち良く靡いています。そのイメージは無限です。

黒を背景にすると、白、もしくはグレーによる曲線が、不思議にも生成よりも消滅の方向に向いているような気がします。これまでの赤や白などの色鮮やかな作品で見た力強さはなく、どことなくモノの脆さや儚さを漂わせているのです。

5枚のキャンバスを組み合わせて作られた支持体も面白く感じました。何やら屏風画のような奥行き感が生まれてきます。

今月末までの開催です。もちろんおすすめです。(6/2)
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