「東京の交通100年博」 江戸東京博物館

江戸東京博物館
「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄のいま・むかし~」
7/14-9/10



江戸東京博物館で開催中の「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄のいま・むかし~」のプレスプレビューに参加してきました。

都バス・都電・都営地下鉄と、都区内の移動では欠かせない都営交通が本年8月1日、創業100周年を迎えることをご存知でしょうか。この展覧会ではそれを祝して都営交通の100年史を、模型から関連資料、はたまた保存された実車までを用いてひも解いていきます。



まさにファン感涙の「鉄分度100%」の展覧会です。実は私自身、鉄道がかなり好きでもあるので、所狭しと並ぶ模型等には思わず興奮してしまいました。

構成は以下の通りです。

第1章 「東京の市内電車~明治の交通と都電のはじまり~」
第2章 「震災の街を走る円太郎バス~都バスの誕生~」
第3章 「都電黄金期」
第4章 「さよなら都電」
第5章 「都営地下鉄の発展」
第6章 「都営交通のいまとこれから」


始まりは明治に遡ります。当初、東京の域内交通は人力車や馬車が主流でしたが、明治44年、東京市内に「東京市電気局」が創設されました。まさに路面電車、東京市電の時代の幕開けです。会場では当時走っていた旧東京市電ヨヘロ1形のモックが展示されています。


「旧東京市電ヨヘロ1形」実物大モックアップ

ここはあくまでもモックということで、撮影、また中に入ることも可能です。なお背景にはかつての日比谷の光景も写し出されています。この撮影スポットを含め、冒頭の掴みはまずまずでした。

しかしながら市電の歴史は必ずしも順風満帆というわけではありません。そのターニングポイントとなったのが大正12年の関東大震災です。震災によって大きな被害を受けた市電は一時運行を停止、代わりにバス、つまりは東京市バスの運行がはじまります。


「旧東京市営バス(円太郎バス)」実車 大正12年 鉄道博物館所蔵

そこで登場するのが通称、円太郎バスと呼ばれた乗り合いバスです。これこそ都バスの元祖に他なりませんが、会場では何とフォード社製の実車が堂々と公開されています。その黒光りした美しいフォルムには見惚れてしまいました。


「系統板」昭和30~40年代 東京都交通局所蔵

さて時代は一転、都電最盛期の昭和30年代へと進みます。ここでマニア心を思いっきりくすぐるのが系統板、つまりは都電の前面に掲げられた系統番号のプレートの展示です。広告入りの系統板が何と40枚もまとめて登場しています。この規模での展示は史上初めてとのことでした。



またその横にある表示板など、実際に都電に使われたプレート各種も見どころかもしれません。今も変わらぬお馴染みの地名も記されていました。



また当然ながら都電の模型などもいくつか展示されています。それに乗務員の制服など、当時の雰囲気を感じることが出来る資料も多数出ていました。



私は実際の都電に乗ったことがありませんが、往時の姿を知る方にはさらにぐっとくるものがあるのではないでしょうか。私も以前、子どもの時によく父から聞かされた都電についての話を思い出しました。



都電が廃止されたのは昭和42年です。最後の一系統は品川から上野間だったそうですが、さよなら運転の模様も映像で紹介されていました。



都電の後の東京の交通を担ったのは地下鉄です。そもそも都内の地下鉄は営団、ようは現メトロが先行していましたが、都も昭和35年より浅草橋と押上間、現浅草線の開業を皮切りに、三田線、新宿線、大江戸線と路線を次々と展開させていきます。



ここは都営地下鉄発行のポスター、記念キップなどが多く出ていました。お持ちの方もいらっっしゃるかもしれません。



またレールなども並んでいます。浅草線、三田線、新宿線のレール幅が全て異なっていることも紹介されていました。


「都電6086号車」実車

さて展覧会は二部構成です。この屋内の企画展示室にもう一つ加わるのが屋外の展示です。そしてこの屋外展示こそハイライトに他なりません。


「函館市電除雪車両(ササラ電車)」実車

ここでは現在、函館の除雪車両、通称ササラ電車として活躍中の旧東京市電ヘヨロ1形と、都電6000形のそれぞれ実車が公開されていました。


「都電6086号車」実車(内部)

こちらも撮影、また6000形は中に入ることが可能です。懐かしい方も多いのではないでしょうか。


「映画ALWAYS 三丁目の夕日’64」実物ロケセット

ちなみに屋外展示では背景にも是非注目してみて下さい。2007年に公開され、2012年には3Dとして再度公開予定の映画「ALWAYS三丁目の夕日」の実物ロケセットが登場しています。



ディテールまで昭和30年代を精巧に再現しています。6000形の車内広告等も当時のものでしたが、ここは彼の時代へタイムスリップしたかのように楽しめました。

なお屋外展示室は企画展示室からJR線路側へ向かった先にあります。おそらくは案内があるかと思いますが、ブースへの入場には半券が必要とのことです。ご注意下さい。



ところで拙ブログが一応、美術感想ブログであることを忘れていました。展覧会の中にも美術要素がいくつかあります。三代広重の浮世絵の他、複製ながらも杉浦非水デザインの地下鉄(現銀座線)開通ポスターなども展示されていました。

ところで震災の影響で中止されていた夜間開館が7月23日より復活します。会期中の毎週土曜日は19:30までの開館です。



手ぶれしてしまいましたが都バスのマスコット、みんくるがお出迎えしてくれました。鉄道好きはもちろん、夏休みのファミリーにもおすすめできる展示ではないでしょうか。

9月10日まで開催されています。

「東京の交通100年博~都電・バス・地下鉄のいま・むかし~」 江戸東京博物館
会期:7月14日(木)~9月10日(土)
休館:8月1日(月)、8日(月)、22日(月)
時間:9:30~17:30  *7月23日(土)より土曜日のみ19時30分まで。 
場所:墨田区横網1-4-1
交通:JR総武線両国駅西口徒歩3分、都営地下鉄大江戸線両国駅A4出口徒歩1分。

注)写真の撮影と掲載は主催者の許可を得ています。
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