「特集陳列 地震研究と歴史資料」 東京国立博物館

東京国立博物館(総合文化展)
「特集陳列 地震研究と歴史資料」
7/31-9/9



東京国立博物館の総合文化展(平常展・本館 特別1室)で開催中の「特集陳列 地震研究と歴史資料」へ行ってきました。

有史以来、災害大国とも言えるほど数多くの災害に見舞われてきた日本。

中でも甚大な被害をもたらしたのは、先般の東日本大震災の例を挙げるまでもなく、地震、そして津波災害に他なりません。

本展ではそうした過去、日本が襲われた地震の歴史を、日本書紀に始まる各種資料によって紹介しています。


「日本三代実録」江戸時代(1673年)

まずはその東日本大震災です。国内では観測史上最大のM9というまさに未曾有の規模でしたが、実は今から1000年以上前の869年、同じ性質をもつ地震、いわゆる貞観地震が発生していたことが「日本三代実録」に記録されていました。

そしてつい先日、政府の有識者会議から発表された「南海トラフ巨大地震」の被害想定のあまりにもの破滅的な数字に驚いた方も多いかもしれません。


「諸国大地震並びに大津浪」江戸時代

南海トラフでのいわゆる三連動地震は最近では1707年の宝永地震、そして1854年の安政地震と、約150年間隔で発生していますが、例えば安政地震の際に起きた津波の様子も「諸国大地震並びに大津浪」によって残されています。

この地域のプレート境界型地震については、規模はもとより、安政地震の90年後に南海と東南海の二連動地震(その時は東海地震は発生しませんでした。)が発生するなど、規則性についても議論あるやもしれませんが、現在は安政地震から既に160年近く経過。宝永と安政の間隔が147年であったことを考えると、何らかの形での大地震は切迫していると言えるのかもしれません。

また切迫と言えばもう十数年来警告され続けている首都直下型地震も同様です。


「安政二年江戸大地震 附類焼場所図」江戸時代(1855年)

三連動地震の起きた安政期は地震が多く、安政東海・南海地震の起きた一年後の1855年には、江戸直下でM6.9の地震も発生。推定震度6という揺れが市中を襲い、数千名もの人命が失われました。


「江戸大地震被災地番付」江戸時代(1855年)

しかしながら一方でそのような被害に見舞われながらも、庶民の逞しい生き様を記録した資料があるのも興味深いところ。地震をパロディー化、その被害地域をランク付けして刷り物にしたという「江戸大地震被災地番付」には思わずにやりとさせられました。


「鎌倉大日記」室町時代

今日9月1日は防災の日。必ず、しかもいつも忘れた頃にやって来る大地震に備えるためにも、こうした資料に当たっていくことは重要だと言えるのではないでしょうか。平常展内の一室、地味な資料展示ながらも、非常に見入るものがありました。


展示室風景

9月9日まで開催されています。

「総合文化展 特集陳列 地震研究と歴史資料」 東京国立博物館(本館 特別1室)
会期:7月18日(水)~9月9日(日)
休館:月曜日。
料金:一般600円(500円)、大学生400円(300円)、高校生以下無料。
 * ( )内は20名以上の団体料金。「特別展 青山杉雨の眼と書」のチケットでも観覧可。
時間:9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) *毎週金曜日は20時、土・日・祝・休日は18時まで開館。
住所:台東区上野公園13-9
交通:JR上野駅公園口より徒歩10分。東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、京成電鉄上野駅より徒歩15分。
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