「バーナード・リーチ展」 日本橋高島屋8階ホール

日本橋高島屋8階ホール
「生誕125年 東と西の出会い バーナード・リーチ展」
8/29-9/10



日本橋高島屋8階ホールで開催中の「生誕125年 東と西の出会い バーナード・リーチ展」へ行ってきました。

幼少期は日本で過ごし、イギリスへ渡った後も度々来日し、民藝活動にも熱心に取り組んだバーナード・リーチ。人気の陶芸家だけに、各地の美術館なりで作品を見る機会も多いかもしれません。

本展ではそうしたリーチの創作の軌跡を、約100点の陶芸作品と、20点余りの素描・版画作品にて辿っています。

構成は以下の通りでした。

第1章 陶芸への歩み
第2章 リーチ芸術の開花
第3章 日本民窯との出会い
第4章 東と西の融合


展示はリーチ22歳の時、ようは再び来日した1910年前後からはじまります。ロンドンの美術学校でエッチングの技法などを学んだリーチは1909年、かねてより郷愁をいだいていた日本へとやってきて、柳宗悦らと親交を深めました。


「楽焼走兎図大皿」(1919年) 大原美術館

ここで面白いのはリーチのが熱心に取り組んだ楽焼きです。モチーフは多種多様、特にまるで古代エジプトの紋様のような兎を描いた「楽焼走兎図大皿」などは印象に残りました。


「鉄釉蝋抜巡礼者文皿」(1960年)  日本民藝館

1920年にイギリスへ移ったリーチはセント・アイヴスに「リーチ・ポタリー」という窯を開きます。以降のリーチはまさに東西融合。西洋と東洋のイメージを組み合わせ、イギリスの伝統的な技法にも着目しながら、独自の陶芸世界を切り開いていきました。


「鉄絵組合陶板 生命の樹」(1928年) 京都国立近代美術館

それにしても先のモニュメンタル兎の大皿しかり、今度はグリフォンを描いた「ガレナ釉筒描グリフォン文大皿」など、やはりリーチの作品には総じてエジプトからイスラム、そして中国を経て日本へと至る、オリエンタルなイメージが取り込まれてはいないでしょうか。

またリーチの自由な線描にも要注目です。シンプルな「鉄絵草文図」をはじめ、いくつか出ているリーチの軸画など、のびやかでかつリズミカルな線がうまく紋様として作品に消化されています。


「灰釉鉄絵手付醤油注瓶」(1918年)  京都国立近代美術館

形は大きな壺から皿、一転しての小ぶりの紅茶碗と様々ですが、リーチの生き生きとした線、陶芸自体の面白さとあわせて、実に魅力的に映りました。

さてこうしたデパートの展示と言えば併設の物販も見逃せませんが、今回の高島屋はそれは通常のレベルをゆうに超えています。



「用の美とこころ 民藝展」@日本橋高島屋8階催会場(8/29~9/10)

というのも併設する催会場では「民藝展」と題し、現在にも脈々と受け継がれた民芸品の数々が展示、即売されているのです。もちろんこちらは入場無料。

全国各地から集められた民藝店の数は90軒ほど。しかもいずれもが思わず手にとって、欲しくなってしまうようなものばかりです。

それにしても何故にここまで充実した展示と催事が出来るのかと思ってしまいますが、実は高島屋、昭和初期に柳宗悦や河井寛次郎らと協力し、大規模な民藝展を行ったことがあるほど深い関わりがあるのだそうです。

そして何と会場では昭和9年にここ日本橋高島屋で行われた民藝展の再現展示(リーチのデザイン。)までがお目見え。まさかこれほど力の入った企画だとは思いませんでした。

「バーナード・リーチ日本絵日記/講談社学術文庫」

なお民藝展で5000円以上購入すると、リーチ展のチケットをいただけるそうです。狙い目かもしれません。

「日本民藝館所蔵 バーナード・リーチ作品集/筑摩書房」

9月10日まで開催されています。これはおすすめします。

「生誕125年 東と西の出会い バーナード・リーチ展」 日本橋高島屋8階ホール
会期:8月29日(水)~9月10日(月)
休館:会期中無休。
時間:10:00~20:00 *最終日は18時閉場。
料金:一般800円、大学・高校生600円、中学生以下無料。
住所:中央区日本橋2-4-1 日本橋高島屋8階
交通:東京メトロ銀座線・東西線日本橋駅B1出口直結。都営浅草線日本橋駅から徒歩5分。JR東京駅八重洲北口から徒歩5分。
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