「ロシア音楽でたどるレーピン展」 Bunkamuraザ・ミュージアム

Bunkamuraザ・ミュージアム
「ロシア音楽でたどるレーピン展」
9月23日(日) 19:30~



Bunkamuraザ・ミュージアムでの「ロシア音楽でたどるレーピン展」に参加してきました。

あえて「魂の肖像画家」と申し上げたい、迫力ある肖像画を数多く残したロシアの画家、イリヤ・レーピン(1844~1930)。


「レーピン展」展示室風景

そのレーピンの画業を辿る展覧会が今、Bunkamuraザ・ミュージアムで開催中ですが、彼の生きた19世紀末から20世紀前半のロシアは、音楽においても錚々たる作曲家を輩出した黄金時代であったことをご存知でしょうか。

この「ロシア音楽でたどるレーピン展」は、まさにレーピンと同時代の音楽を生の弦楽四重奏で楽しめるというイベント。

出演は主にN響の他、ソリストでもご活躍中の4名の演奏家。

斎藤真知亜(ヴァイオリン)
森田昌弘(ヴァイオリン)
村松龍(ヴィオラ)
村井将(チェロ)


レーピンも肖像を描いたムソルグスキーの「展覧会の絵」(プロムナード)をオープニングに、以下のプログラムが演奏されました。

ボロディン「スペイン風セレナード」
ボロディン「弦楽四重奏曲第2番より夜想曲」
チャイコフスキー「弦楽四重奏曲第1番よりアンダンテ・カンタービレ」
ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏のための2つの小品よりエレジー」
ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲第2番第4楽章」


さて絵画を前にしての息のあった演奏はもちろんのこと、もう一つ充実していたのがヴァイオリンの斎藤さんのトーク。

ご自身のロシアでの体験を交え、ロシア音楽とは何かといった内容などについてを分かりやすく語って下さいました。


「レーピン展」展示室風景(ちょうどこのスペースでコンサートが行われました。)

その中で印象深かったのが、冬はすこぶる寒く、雪に閉ざされたロシアにおいて、南方、つまり暖かい地方に対する憧憬もあるのではないかということ。それは今回のプログラムのチャイコフスキーの音楽から感じられるとのお話でした。

またロシア音楽にはある意味での二面性、つまり土着的でかつ誰もが共感し得るような民謡の要素と、もう一つ、全体主義体制下におけるどこか抑圧された苦悩のようなものが平行してあるのではないかという鋭いご指摘も。

そしてその二面性こそが、ショスタコーヴィチの音楽に顕著ではないでしょうか。

どちらかと言うと彼の活躍した時代はレーピンより後ですが、例えば演奏された比較的初期の「弦楽四重奏曲第2番」における明と暗、また美しい旋律の中に潜む暗鬱で重々しい表情には、確かにそうした面があるのかもしれません。


左:イリヤ・レーピン「作曲家モデスト・ムソルグスキーの肖像」1881年 国立トレチャコフ美術館

さてレーピン展もいよいよ佳境。会期も10月8日までと残り2週間ほどです。

「レーピン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(拙ブログ・プレビュー記事)

幸いにして鑑賞環境は抜群、土日でもゆったりと見ることが出来ます。

ザ・ミュージアム「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」館内紹介


ロシアの雄大な自然とドラマテックな人間模様を描いたレーピンの一大回顧展、是非ともお見逃しなきようおすすめします。

「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム
会期:8月4日(火)~10月8日(月・祝)
休館:会期中無休
時間:10:00~19:00。毎週金・土は21:00まで開館。
料金:一般1400(1200)円、大学・高校生1000(800)円、中学・小学生700(500)円。
 *( )内は20名以上の団体料金。
住所:渋谷区道玄坂2-24-1
交通:JR線渋谷駅ハチ公口より徒歩7分。東急東横線・東京メトロ銀座線・京王井の頭線渋谷駅より徒歩7分。東急田園都市線・東京メトロ半蔵門線・東京メトロ副都心線渋谷駅3a出口より徒歩5分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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