「美術館で旅行!」(後期展示) 山種美術館

山種美術館
「美術館で旅行!~東海道からパリまで~」(後期展示)
8/28~9/23(後期) *前期:7/28~8/26



山種美術館で開催中の「美術館で旅行!~東海道からパリまで」の後期展示へ行ってきました。

前期ではプレス内覧にお邪魔した「美術館で旅行!展」。

「美術館で旅行!」展 山種美術館(拙ブログ)

その際は近代日本画の充実したコレクションに改めて感心する一方、初摺も多いという広重の「東海道五拾三次」の美しさにも見惚れました。

8月末からの後期展示ではその「東海道五拾三次」ががらっと入れ替わっています。

前期:扉、日本橋・朝之景~掛川・秋葉山遠望
後期:袋井・出茶屋之図~京師・三條大橋


と言うわけで嬉しかったのが、内覧時の山下裕二先生のレクチャーで絶賛推奨の「御油・旅人留女」を拝見出来たこと。


歌川広重(初代)「東海道五拾三次之内 御油・旅人留女」1833-36(天保4-7)年頃 大判錦絵 山種美術館

実はこの御油、現在の愛知県豊川市に位置する宿駅ですが、当時は旅籠の客引きが非常に執拗なことでも有名で、その様子は十辺舎一九の作品にも登場するほどだったそうです。

広重はそうした客引きの様子を得意とする生き生きとした人物描写で描いています。夕景の街道、比較的静かな中を繰り広げられる客引き劇、おそらく客はこのまま旅籠へ引っ張られたに違いありませんが、それこそ押し問答の声までが聞こえてくるようなリアルな姿には思わず見入ってしまいました。

さて後期、その他はほぼ前期と同じですが、それでもいくつかの作品については展示替えや巻替えが行われています。

中でも重要なのが前期でも印象深かった横山大観の「楚水の巻」です。巻替えによって場面が変わっています。


横山大観「楚水の巻」 1910(明治43)年 紙本・墨画 山種美術館 *写真は前期展示部分

前半では揚子江流域の町並みの精緻な描き込みが充実していましたが、後半部分は一転、川へ迫る山々の雄大な姿が大胆に表されています。

また巻中で天気が変化するのも面白いところ。後半部には霧も立ちこめ、幻想的な風景が広がっています。まさに大観ならではの瑞々しい筆致を味わうことができました。

それに同じ展覧会でも時間を経て見るとまた印象が異なるのではないでしょうか。好きな土牛も前期では代表作の「那智」と「鳴門」にぞっこんでしたが、今回は一見するところ目立たない「輪島の夕照」の情緒に惹かれました。


結城素明「巴里風俗」大正14年 山種美術館

なお怒濤の更新が光る山種美術館のフェイスブックでは、何点かの作品の解説が図版とともに掲載されています。

山種美術館 Yamatane Museum of Art フェイスブックページ

また巻替え作業の様子など、普段見ることの出来ない美術館の「裏」を紹介する記事も登場。是非ともご覧になって下さい。



そして次回は注目の「竹内栖鳳と京都画壇の画家たち。」です!

講演会:「教科書に載らない実力派・竹内栖鳳について」
講師:山下裕二氏(明治学院大学教授、山種美術館顧問)
日時:2012年10月13日(土)14:00~15:30
費用:無料。但し要観覧券。
定員:200名。
会場:國學院大學院友会館(山種美術館より徒歩3分。)
*事前予約制。申込要項は同館WEBサイトへ。(期限は10/9)

「美術館で旅行!」は9月23日まで開催されています。

「美術館で旅行!~東海道からパリまで~」 山種美術館@yamatanemuseum
会期:7月28日(土)~9月23日(日) 前期:7/28-8/26 後期:8/28-9/23
休館:月曜日(但し9/17は開館、翌火曜日は休館。)
時間:10:00~17:00(入館は16時半まで)
住所:渋谷区広尾3-12-36
交通:JR恵比寿駅西口・東京メトロ日比谷線恵比寿駅2番出口より徒歩約10分。恵比寿駅前より都バス学06番「日赤医療センター前」行きに乗車、「広尾高校前」下車。

注)写真は前期の報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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