「江川純太 選択が迫る。後ろはみえない。僕は掴んだ右手を眺める。」 eitoeiko

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「江川純太 選択が迫る。後ろはみえない。僕は掴んだ右手を眺める。」
10/19-11/9



eitoeikoで開催中の江川純太個展、「選択が迫る。後ろはみえない。僕は掴んだ右手を眺める。」を見てきました。

変わらない部分と変わった部分。江川のまさに今の制作を知ることの出来る展覧会。

本展の特徴を簡単に表せば、そうした言葉でもまとめられるかもしれません。

2003年に多摩美術大学絵画学科日本画専攻を卒業した江川は、主にここeitoeikoで個展を重ねながら、シェル美術賞や本年のVOCA展にも出品。また最近では8月にTWS本郷でも展示を行ってきました。

eitoeikoでは昨年春以来となる個展です。作品は約20点。網羅的です。


右:「僕がいて、彼がいて、あなたがいる。」油彩、キャンバス 2012年

というのも江川は度々作風を大きく変えるのが魅力でもあるところ。これまではどちらかと言えば各々、統一感のある作品を並べて展示を行ってきました。しかしながら今回は前回展で見せた鍵穴のようなモチーフから、ストライプを取り込んだもの、そしてどこかオールオーヴァー的なイメージが半ば混在するかのように並んでいるのです。


中央:「あなたの過去を想像する。」油彩、キャンバス 2013年

いずれもがここ1~2年、つまり2012年と本年の作品ばかりです。それでいてこのヴァリエーション。確かに抽象とは一言で表せるのかもしれませんが、絵画に沈みこみ、また散り、或は解き放たれるイメージは実に多様。絵具も厚く塗られたり、また延ばしり、削いだりと変化を見せている。もちろんそれらが一枚の絵画作品の中でも展開されています。


右:「彼は言った。しかし、声にならなかった。」油彩、キャンバス 2012年

一見、捉え難いかもしれない江川の絵画。鍵穴を思わせるシリーズは確かに内省的です。しかしながらいずれも色彩はクリアで美しく、絵具の質感、それ自体の重み、そこから生み出される迫力は並大抵のものではありません。

今回は素直にオールオーヴァー的な作品に惹かれました。流れる水の如くに縦にゆらゆらと靡くストローク。そこに色とりどりの宝石のような絵具が散っていく。絵具同士は時に溶け合い、またせめぎあう。即興的。どこか心地よいリズムを感じます。


「目を逸らし、もう一度見る。」油彩、キャンバス 2013年 他
 
江川の作品を見ていて常に感じるのが筆致なり絵具が非常に肉感的で生々しいということです。

時に頭部にもとれるようなモチーフ。絵具は肉片でも表すかのようにせり上がっている。ふとベーコンの絵画を思い浮かべます。


「あなたはまた安心する」油彩、キャンバス 2012年

個展を伺うたびに「変化」に驚かされますが、今回は網羅的に展示することにより、作家の個性なりが際立ったようにも思えました。

11月9日まで開催されています。

「江川純太 選択が迫る。後ろはみえない。僕は掴んだ右手を眺める。」 eitoeiko@eitoeiko
会期:10月19日(土)~11月9日(土)
休廊:日月祝
時間:12:00~19:00
住所:新宿区矢来町32-2
交通:東京メトロ東西線神楽坂駅より徒歩5分、都営地下鉄大江戸線牛込神楽坂駅より徒歩10分
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