「アートアワードトーキョー丸の内2014」 行幸地下ギャラリー

行幸地下ギャラリー
「アートアワードトーキョー丸の内2014」
4/26-5/25



行幸地下ギャラリーで開催中の「アートアワードトーキョー丸の内2014」を見て来ました。

大学の卒展や修了展を経たばかりの若いアーティストを審査形式で紹介する「アートアワードトーキョー丸の内」。舞台は文字通り東京駅の目と鼻の先、丸の内は行幸地下ギャラリーです。今年で回を数えること8回目。そろそろ定着してきた感があるやもしれません。

さて開催初日、審査員による公開審査が行われ、各アワードの受賞者が選定されました。

グランプリ:谷中佑輔 (京都市立芸術大学大学院)
審査員賞
 今村有策賞:福本健一郎 (東京藝術大学大学院)
 神谷幸江賞:齋藤杏奈 (女子美術大学大学院)
 後藤繁雄賞:藤井マリー (京都市立芸術大学大学院)
 小山登美夫賞:佐々田美波 (京都市立芸術大学)
 建畠晢賞:笹岡由梨子 (京都市立芸術大学大学院)
 高橋明也賞:原田圭 (東京藝術大学大学院)
 倉本美津留賞(ゲスト審査員):北島麻里子 (東京造形大学)
三菱地所賞:水野里奈 (多摩美術大学大学院)
シュウ ウエムラ賞:朝倉優佳 (女子美術大学大学院)
フランス大使館賞:崔多情 (京都造形芸術大学)
アッシュ・ペー・フランス賞:高山夏希 (東京造形大学)

地下のフリースペース、通路両サイドのガラスケースに沿っての展示です。如何せん引きのとれないスペースではありますが、作品は絵画やインスタレーション他、映像と様々です。また撮影も出来ます。以下、いくつか惹かれた作品を挙げてみました。

まずは今村有策賞の福本健一郎です。「植物のリズム感、民族柄の配色」(キャプションより)に興味を持っているという作家。絵画と木彫での展示です。


福本健一郎「よろこび」 2013年

エキゾチックなまでの色遣い。両手を広げて立つのは人の姿でしょうか。緑を基調とした植物をあしらった衣装をつけ、花をたくさん挿した帽子を冠っています。


福本健一郎「幸せポール」 2014年

またさり気なく小品の木彫も可愛らしいもの。枝や幹の上にぽつんとのる猫や人物。異なる木材が組み合わされているのも興味を引く。彩色も鮮やかです。トーテムポールを思い出しました。


高山夏希「CAMEL Rider 2014」 2014年

モンゴルのラクダに取材したという高山夏希はどうでしょうか。「CAMEL Rider」と題された二点の絵画、遠目ではビーズでもはめ込んでいるのかと思うほどに細かい。しかしながら技法はアクリルに油彩。ともに絵具のみで描かれています。また画肌の表情も豊かです。絵具を盛った箇所と流れるような筆致による色面が混じりあっています。繊細なテクスチャーに惹かれました。


藤井マリー「パーリングじゃ殺せない」(部分) 2012年

同じくテクスチャーと言えば藤井マリーも面白い。「パーリングじゃ殺せない」とは激しいタイトルです。横3.8mに縦2m超の大作。素材は全てペンのみです。シュールでもあり、またファンタジーを思わせる世界。それにしても密度が濃い。細い線に小さな点が群がっては生き物に魂を吹き込んでいく。絵巻を広げるかのように物語が展開されています。


田中望「モノおくり」(部分) 2012年

今年のVOCA賞を受賞した田中望も出展しています。「モノおくり」と「ミタマメシ」です。うち「モノおくり」はVOCA賞作品と同名作。綿布に日本画の技法を用いての絵画、やはりモチーフは東北の習俗なのでしょうか。輪になって踊る兎たちの群れ。カカシも見えます。そしてそびえ立つは大木。また奇岩です。木の器には大根やネギなどの野菜が供え物として置かれている。土着の神を讃えた祀りの光景かもしれない。古代の儀式を連想させます。


田中祐輔「山の振動」 2014年

見事グランプリを獲得したのは谷中祐輔です。作品は「山の振動」。黄色や青、赤のバルーン状のオブジェが交錯したインスタレーション。壁際に並ぶのは岩や石の写真でしょうか。コラージュと切り立つ岩肌。展示ケースから飛び出してくると錯覚してしまうほどのボリューム感です。そういえば今年は総じてビジュアルとして強い、ようは端的に目を引く作品が多いように感じました。

なお「特別展示」として、過去のアートアワードに参加した作家も紹介しています。今回は3名。うち2007年にグランプリを受賞した荒神明香が秀逸ではないでしょうか。


荒神明香「toi、toi、toi」 2013年

妖しくも煌めくガラス製のシャンデリア。それ自体、美しくもありますが、実はこのガラス、とある由来、言わば過去を抱えています。重く暗い記憶。それを知るとシャンデリアが違った表情で見えてきます。ヒントは作品の下にあるモニターです。まずは会場で確認してみてください。


佐藤翠「Bag shelf 3」(部分) 2014年

同じく「特別展示」の佐藤翠(小山登美夫賞。2010年。)のアクリル画も心に留まりました。ショッピングウィンドウに並ぶバックでしょうか。真っ正面から捉えている。塗り残しを活かした筆致が心地良く響きました。

余談ですがアートアワード、年々観覧される方が増えているような気がします。現地は再開発の著しい丸の内界隈。賑わいも増しました。その辺の効果もあるかもしれません。


「アートアワードトーキョー丸の内2014」会場

観客によるオーディエンス賞の投票受付は既に終了しました。受賞者は追って発表されると思います。

会期中無休で無料。連日夜8時までの展示です。5月25日まで開催されています。

「アートアワードトーキョー丸の内2014」@a_a_t_m) 行幸地下ギャラリー
会期:4月26日(土)~5月25日(日)
休廊:会期中無休
時間:11:00~20:00
料金:無料
住所:千代田区丸の内2-4-1 行幸通り地下
交通:JR線東京駅丸の内地下中央口、東京メトロ丸ノ内線東京駅より地下直結。東京メトロ千代田線二重橋前駅7番出口より地下直結
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