都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「phono/graph-sound, letters, graphics」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
「phono/graph-sound, letters, graphics」
5/9-5/31
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/70/c8e902305f9c81165cc0cecb9df1e6b1.jpg)
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催中の「phono/graph-sound, letters, graphics」を見て来ました。
東京は銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーこと「スリー・ジー(ggg)」ギャラリー。グラフィックデザインを紹介する施設としては長いキャリア(1986年開設)を持ち、界隈のギャラリー巡りでは外せないスポットの一つでもあります。
ほぼ毎月、企画展が入れ替わるのも嬉しいところ。この5月は「phono/graph-sound, letters, graphics」です。端的に「音とアートとグラフィック」(公式サイトより)の関係を追っていく。監修はサウンドアーティストの藤本由紀夫さん。5組のクリエーターによるグループ展です。視覚と聴覚を横断しての展開。時に体感型ありと多様な作品が展示されていました。
[出品作家]
藤本由紀夫
八木良太
ニコール・シュミット
Intext(見増勇介と外山央によるグループ)
Softpad(メンバー:粟津一郎、上芝智裕、奥村輝康、竹内創、泊博雅、外山央、南琢也)
さて音。当然ながら耳で聞くものでありますが、半ば視覚で擬似的に得ようとするとどうなるのか。レコードです。細かく細かく刻まれた溝。そこに音が含まれているわけですが、八木良太はレコードのソノシートを引き延ばして拡大、印画紙にプリントしています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/af/c917ca88d0d9a351b2a0d2c9803841de.jpg)
八木良太「Megaphonia」 2013年
「Megaphonia」(2013)です。さながら土星の環を思わせる盤面。溝が優雅な曲線美を描いています。これも一つの音の視覚化と言えるのではないでしょうか。
また一方で同じくレコードの溝に着目したのが藤本由紀夫です。ズラリ連なるレコードの盤面。ビートルズの名盤アビーロードの名が記されている。もちろんアップル社でしょう。中央には緑色の林檎が描かれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/7c/66d4bb0e07c927ec94767e5f1c4902b8.jpg)
藤本由紀夫「DELETE」 2007年
さてこのレコード、何が特徴なのでしょうか。答えを挙げてしまうと全て溝が消されています。ようは削られたレコード。音の削除されたレコードであるのです。だからこそ「DELETE」(2007)。同じくデータを消去するPCのDELETEキーを意識してのタイトルでもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/b5/c37dcaad5ea1ed3d9d035bb68a29fc51.jpg)
藤本由紀夫「DELETE」(部分) 2007年
ただこのレコード、盤面を見ても明らかなように溝はありませんが、ターンテーブルにかけると何とノイズの向こうからビートルズの声が微かに聞こえてくるのだそうです。盤面にすり込まれた音の軌跡。そう簡単に消えるものではないのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/59/ee96a23703cff1a45967676959115fde.jpg)
Intext「round flong」 2014年
音と文字の関係もまた重要です。そもそも文字は音がレコードに刻まれたのと同様、古くは石や粘土に刻まれて記録されていた。また蓄音機を発明したエジソンは、写真(photograph)」のように記録、再生、保存出来る装置として、蓄音機(phonograph)」と名付けたのだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/d6/35ad69f31bb8625a02d30f97af935c7e.jpg)
Intext+藤本由紀夫「through」 2014年
嵯峨本のフォントタイプや活版、デュシャンのテキストの引用、また読書をテーマとした作品も展示されています。コンセプチュアルな取り組みも目立ちます。解説シートも有用でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/b5/4e05f1eb38fc8f1e288650875b82ed1b.jpg)
「phono/graph archive」 2011年~
なお本展は2011年に大阪のdddギャラリーの他、2012年のドルトムント、2013年の名古屋、京都でも開催されてきた巡回展です。(東京展では一部新作も加わります。)会場内では「phono/graph」展に関する資料もあわせて紹介されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/6d/5862a6c07f74d1e3b21612ed74b3977f.jpg)
藤本由紀夫「REVOLUTION&GRAVITY」 2014年
殆ど唯一、音を発している作品が実に意外な形で展示されていました。微かな音です。耳をよくすませて聞いてみて下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f4/c0da892c31c13e5beef18205fd49c4d6.jpg)
「phono/graph-sound, letters, graphics」会場風景
入場は無料です。5月31日まで開催されています。
「Resonance/es (ドットエス)+藤本由紀夫/Nomart,Inc.」
「phono/graph-sound, letters, graphics」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:5月9日(金)~5月31日(土)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
「phono/graph-sound, letters, graphics」
5/9-5/31
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/59/70/c8e902305f9c81165cc0cecb9df1e6b1.jpg)
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催中の「phono/graph-sound, letters, graphics」を見て来ました。
東京は銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリーこと「スリー・ジー(ggg)」ギャラリー。グラフィックデザインを紹介する施設としては長いキャリア(1986年開設)を持ち、界隈のギャラリー巡りでは外せないスポットの一つでもあります。
ほぼ毎月、企画展が入れ替わるのも嬉しいところ。この5月は「phono/graph-sound, letters, graphics」です。端的に「音とアートとグラフィック」(公式サイトより)の関係を追っていく。監修はサウンドアーティストの藤本由紀夫さん。5組のクリエーターによるグループ展です。視覚と聴覚を横断しての展開。時に体感型ありと多様な作品が展示されていました。
[出品作家]
藤本由紀夫
八木良太
ニコール・シュミット
Intext(見増勇介と外山央によるグループ)
Softpad(メンバー:粟津一郎、上芝智裕、奥村輝康、竹内創、泊博雅、外山央、南琢也)
さて音。当然ながら耳で聞くものでありますが、半ば視覚で擬似的に得ようとするとどうなるのか。レコードです。細かく細かく刻まれた溝。そこに音が含まれているわけですが、八木良太はレコードのソノシートを引き延ばして拡大、印画紙にプリントしています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/af/c917ca88d0d9a351b2a0d2c9803841de.jpg)
八木良太「Megaphonia」 2013年
「Megaphonia」(2013)です。さながら土星の環を思わせる盤面。溝が優雅な曲線美を描いています。これも一つの音の視覚化と言えるのではないでしょうか。
また一方で同じくレコードの溝に着目したのが藤本由紀夫です。ズラリ連なるレコードの盤面。ビートルズの名盤アビーロードの名が記されている。もちろんアップル社でしょう。中央には緑色の林檎が描かれています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1b/7c/66d4bb0e07c927ec94767e5f1c4902b8.jpg)
藤本由紀夫「DELETE」 2007年
さてこのレコード、何が特徴なのでしょうか。答えを挙げてしまうと全て溝が消されています。ようは削られたレコード。音の削除されたレコードであるのです。だからこそ「DELETE」(2007)。同じくデータを消去するPCのDELETEキーを意識してのタイトルでもあります。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/01/b5/c37dcaad5ea1ed3d9d035bb68a29fc51.jpg)
藤本由紀夫「DELETE」(部分) 2007年
ただこのレコード、盤面を見ても明らかなように溝はありませんが、ターンテーブルにかけると何とノイズの向こうからビートルズの声が微かに聞こえてくるのだそうです。盤面にすり込まれた音の軌跡。そう簡単に消えるものではないのかもしれません。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4c/59/ee96a23703cff1a45967676959115fde.jpg)
Intext「round flong」 2014年
音と文字の関係もまた重要です。そもそも文字は音がレコードに刻まれたのと同様、古くは石や粘土に刻まれて記録されていた。また蓄音機を発明したエジソンは、写真(photograph)」のように記録、再生、保存出来る装置として、蓄音機(phonograph)」と名付けたのだそうです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/d6/35ad69f31bb8625a02d30f97af935c7e.jpg)
Intext+藤本由紀夫「through」 2014年
嵯峨本のフォントタイプや活版、デュシャンのテキストの引用、また読書をテーマとした作品も展示されています。コンセプチュアルな取り組みも目立ちます。解説シートも有用でした。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/58/b5/4e05f1eb38fc8f1e288650875b82ed1b.jpg)
「phono/graph archive」 2011年~
なお本展は2011年に大阪のdddギャラリーの他、2012年のドルトムント、2013年の名古屋、京都でも開催されてきた巡回展です。(東京展では一部新作も加わります。)会場内では「phono/graph」展に関する資料もあわせて紹介されています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/6d/5862a6c07f74d1e3b21612ed74b3977f.jpg)
藤本由紀夫「REVOLUTION&GRAVITY」 2014年
殆ど唯一、音を発している作品が実に意外な形で展示されていました。微かな音です。耳をよくすませて聞いてみて下さい。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/f4/c0da892c31c13e5beef18205fd49c4d6.jpg)
「phono/graph-sound, letters, graphics」会場風景
入場は無料です。5月31日まで開催されています。
![](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51CqoGcmAwL._SL160_.jpg)
「phono/graph-sound, letters, graphics」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
会期:5月9日(金)~5月31日(土)
休廊:日曜・祝日
時間:11:00~19:00 土曜は18時まで。
料金:無料
住所:中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F
交通:東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩5分。JR線有楽町駅、新橋駅から徒歩10分。
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