「加納俊輔 ファウンテン マウンテン」 マキファインアーツ

マキファインアーツ
「加納俊輔 ファウンテン マウンテン」
5/10-6/8



マキファインアーツで開催中の加納俊輔個展、「ファウンテン マウンテン」を見て来ました。

ベニヤや大理石などの素材を取り込み、写真とイメージとの関係を問う作家、加納俊輔。今年の初めには資生堂ギャラリーのアートエッグにも出品。時にトリッキーとも言うべき作品を見せてくれました。

「第8回 shiseido art egg展」(資生堂ギャラリー)

実のところ私も作家の作品を見たのがその時初めて。思いがけない素材との出会い。見ているものは一体、写真なのか実物なのか。惑わされるとともに、どこか惹かれたことを覚えています。

マキファインでは約1年半ぶりの個展だそうです。作品は新作のキューブなどの立体がメイン。約10点ほどです。一部平面の写真作品もありました。

さてやはり目立つのが床に置かれた正六面体。一見するところベニア板で出来ているようにも見える作品です。

外側は透明のアクリル板でしょうか。中の表面には水色のプラスティックバンドが巻き付けられているように見える。その一方でさも茶色の絵具をぶちまけたような筆致も見えます。落書きと言えるかもしれません。各面にて様々な色や形が半ば即興的にも展開しています。

さていずれも「見える」と申したのは訳があります。資生堂の展示と同様です。実のところこれは単にベニヤの立方体ではない。ようはベニヤ板を撮った写真を貼り合わせた作品なのです。

しかも写真は何度も撮られている。ようはバンドを巻き付け一度、撮影。さらにそれを貼付けては撮影するというプロセスを踏んでいます。ベニヤを前にしているのか写真を前にしているのか。見ている方が分からなくなるほど巧妙に仕組まれています。

木そのものを支持体にした3点の作品も目を引きました。こちらは紛れもなく木片。その上にやはり木を写した写真を貼っている。そこには青のドットが連なり、またグレーの渦を巻いたグレーの線などが引かれている。地との関係は立方体の作品よりもさらに曖昧かもしれません。

今回は「絵を描く(ドローイング)に近い感覚」(ギャラリーサイトより)で制作したのだそうです。確かに総じて資生堂の時の作品よりも描いた痕跡のイメージがより強く現れているように感じられました。

「第8回 shiseido art egg 加藤俊輔展」 資生堂ギャラリー(はろるど)

資生堂ギャラリーの展示を見た方にもおすすめしたいと思います。6月8日までの開催です。

「加納俊輔 ファウンテン マウンテン」 マキファインアーツ
会期:5月10日(土)~6月8日(日)
休館:月・火・祝祭日
時間:12:00~19:00
住所:千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 205
交通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩4分、都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩8分、JR御徒町駅南口より徒歩8分。
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