都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 後期 花鳥動物画」 柏市民ギャラリー
柏市民ギャラリー
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 後期 花鳥動物画」
6/1~6/16
柏市民ギャラリーで開催中の「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 後期 花鳥動物画」を見てきました。
ご当地、柏で行われている摘水軒のコレクション展。会期は2期制です。前期は浮世絵で現在は既に後期。全ての作品が入れ替わりました。
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 前期 肉筆浮世絵」 柏市民ギャラリー(はろるど)
テーマは花鳥動物画です。江戸絵画のうち花鳥や動物をモチーフとした作品を展示しています。
伊藤若冲「旭日鳳凰図」 摘水軒記念文化振興財団
まずは有名どころからいきましょう。若冲です。「旭日松鶴図」の1点。得意の鶴。松の幹の上にとまっています。一羽はさも太陽に向けて鳴き声をあげるかのように天を向き、もう一羽は首を大きくくねらせては、先の一羽に絡みついています。いつもながらに構図が独特です。白い羽はやや黄金色を帯びています。仄かな光を放っていました。
葛飾北斎「雪中鷲図」 摘水軒記念文化振興財団
北斎の「雪中鷲図」も力強い。雪の積もった木の上の鷲。太い足から鋭い爪を見せています。とはいえ、鷲の表情はどこか得意気で、まるで人の顔のようです。擬人的とも言えるでしょうか。飄々としています。解説に鳥天狗とありましたが、さもありなんという気もしました。
酒井抱一「牡丹獅子図」 摘水軒記念文化振興財団
応挙の「猛虎図」は可愛らしい。まるで猫が上目遣いで飼い主を見ているようです。ほか抱一も1点、「牡丹獅子図」が出ていました。二曲一隻の屏風絵です。地は金。紅白の牡丹を背景に獅子が描かれています。視線は右方向。やや戯けているのでしょうか。毛並みはかなり細かい。細い線を1本1本、丁寧に重ねています。獅子の屏風絵といえば、永徳の唐獅子図を思い出しますが、抱一作にはかの猛々しさは皆無。人懐っこく見えました。
さて摘水軒のコレクション、こうした有名絵師ではなく、むしろあまり知られていない絵師の方により魅惑的な作品があると言えるかもしれません。
例えば岡本秋暉です。そもそも摘水軒の寺島家は多くの文人らと交流があり、その一人に秋暉がいました。ゆえにコレクションも充実しています。
岡本秋暉「花鳥図」(部分) 摘水軒記念文化振興財団
今回の出品は4点です。うち「百花百鳥図」が美しい。紫陽花、菊に水仙。まさに百花です。季節の異なる花が咲き誇っています。そこへ水禽や雉などの鳥が集っていました。華やかな作品です。同じく秋暉では「花鳥図」も良いのではないでしょうか。鳥の白い羽は透き通っています。ピンク色の花びらも湿り気を帯びているようでした。
安田雷洲の「鷹図」も強烈です。海の上の岩場にとまる鷹。しかしながら何も写実を志向しているわけではありません。言い換えればサイボーグ。凄みのある出で立ちです。雷洲は江戸後期の絵師。かの北斎に師事していたこともありましたが、後に蘭学の研究を深め、西洋風の絵画を描いたそうです。その典型例とも呼べる一枚。確かに深い陰影はまるで銅版画のようでした。
吉川一渓の「白狐図」も面白い。闇夜の白狐。人魂のような炎が宙を舞っています。下には白い花。神秘的な光景です。ほかの江戸絵画ではあまり見られません。
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展」出品リスト
前期(肉筆浮世絵):5月14日(土)~5月30日(月)
後期(花鳥動物画):6月1日(水)~6月16日(木)
これまで散発的に見る機会のあった摘水軒の江戸絵画群。ようやくまとめて鑑賞することが出来ました。
入場は無料です。6月16日まで開催されています。
「柏市民ギャラリー新装開館記念 摘水軒記念文化振興財団コレクション展 前期 肉筆浮世絵」 柏市民ギャラリー
会期:6月1日(水)~6月16日(木)
休館:会期中無休。
時間:10:00~17:00
料金:無料。
住所:千葉県柏市柏1-7-1 Day Oneタワー3階パレット柏内
交通:JR線・東武アーバンパークライン柏駅南口より徒歩3分。同駅東口より徒歩5分。
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 後期 花鳥動物画」
6/1~6/16
柏市民ギャラリーで開催中の「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 後期 花鳥動物画」を見てきました。
ご当地、柏で行われている摘水軒のコレクション展。会期は2期制です。前期は浮世絵で現在は既に後期。全ての作品が入れ替わりました。
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展 前期 肉筆浮世絵」 柏市民ギャラリー(はろるど)
テーマは花鳥動物画です。江戸絵画のうち花鳥や動物をモチーフとした作品を展示しています。
伊藤若冲「旭日鳳凰図」 摘水軒記念文化振興財団
まずは有名どころからいきましょう。若冲です。「旭日松鶴図」の1点。得意の鶴。松の幹の上にとまっています。一羽はさも太陽に向けて鳴き声をあげるかのように天を向き、もう一羽は首を大きくくねらせては、先の一羽に絡みついています。いつもながらに構図が独特です。白い羽はやや黄金色を帯びています。仄かな光を放っていました。
葛飾北斎「雪中鷲図」 摘水軒記念文化振興財団
北斎の「雪中鷲図」も力強い。雪の積もった木の上の鷲。太い足から鋭い爪を見せています。とはいえ、鷲の表情はどこか得意気で、まるで人の顔のようです。擬人的とも言えるでしょうか。飄々としています。解説に鳥天狗とありましたが、さもありなんという気もしました。
酒井抱一「牡丹獅子図」 摘水軒記念文化振興財団
応挙の「猛虎図」は可愛らしい。まるで猫が上目遣いで飼い主を見ているようです。ほか抱一も1点、「牡丹獅子図」が出ていました。二曲一隻の屏風絵です。地は金。紅白の牡丹を背景に獅子が描かれています。視線は右方向。やや戯けているのでしょうか。毛並みはかなり細かい。細い線を1本1本、丁寧に重ねています。獅子の屏風絵といえば、永徳の唐獅子図を思い出しますが、抱一作にはかの猛々しさは皆無。人懐っこく見えました。
さて摘水軒のコレクション、こうした有名絵師ではなく、むしろあまり知られていない絵師の方により魅惑的な作品があると言えるかもしれません。
例えば岡本秋暉です。そもそも摘水軒の寺島家は多くの文人らと交流があり、その一人に秋暉がいました。ゆえにコレクションも充実しています。
岡本秋暉「花鳥図」(部分) 摘水軒記念文化振興財団
今回の出品は4点です。うち「百花百鳥図」が美しい。紫陽花、菊に水仙。まさに百花です。季節の異なる花が咲き誇っています。そこへ水禽や雉などの鳥が集っていました。華やかな作品です。同じく秋暉では「花鳥図」も良いのではないでしょうか。鳥の白い羽は透き通っています。ピンク色の花びらも湿り気を帯びているようでした。
安田雷洲の「鷹図」も強烈です。海の上の岩場にとまる鷹。しかしながら何も写実を志向しているわけではありません。言い換えればサイボーグ。凄みのある出で立ちです。雷洲は江戸後期の絵師。かの北斎に師事していたこともありましたが、後に蘭学の研究を深め、西洋風の絵画を描いたそうです。その典型例とも呼べる一枚。確かに深い陰影はまるで銅版画のようでした。
吉川一渓の「白狐図」も面白い。闇夜の白狐。人魂のような炎が宙を舞っています。下には白い花。神秘的な光景です。ほかの江戸絵画ではあまり見られません。
「摘水軒記念文化振興財団コレクション展」出品リスト
前期(肉筆浮世絵):5月14日(土)~5月30日(月)
後期(花鳥動物画):6月1日(水)~6月16日(木)
これまで散発的に見る機会のあった摘水軒の江戸絵画群。ようやくまとめて鑑賞することが出来ました。
入場は無料です。6月16日まで開催されています。
「柏市民ギャラリー新装開館記念 摘水軒記念文化振興財団コレクション展 前期 肉筆浮世絵」 柏市民ギャラリー
会期:6月1日(水)~6月16日(木)
休館:会期中無休。
時間:10:00~17:00
料金:無料。
住所:千葉県柏市柏1-7-1 Day Oneタワー3階パレット柏内
交通:JR線・東武アーバンパークライン柏駅南口より徒歩3分。同駅東口より徒歩5分。
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