2018年4月に見たい展覧会

厳しい冬が終わったと思いきや、突如、例年を大きく上回るほど暖かくなり、桜も一気に開花しては、早くも散っていきました。地元の桜祭りは今週末に予定されていますが、すっかり葉桜での祭りとなりそうです。

3月の展覧会では、府中市美術館の「春の江戸絵画まつり リアル 最大の奇抜」、国立西洋美術館の「プラド美術館展」、サントリー美術館の「寛永の雅」が印象に残りました。そのうち「春の江戸絵画まつり」については、間もなく大規模な展示替えも行われるため、改めて出かけたいと思います。

年度の切り替わりです。この時期にはじまる展覧会は少なくありません。4月に見たい展覧会をリストアップしてみました。

展覧会

・「『光画』と新興写真 モダニズムの日本」 東京都写真美術館(~5/6)
・「桜 さくら SAKURA 2018ー美術館でお花見!」 山種美術館(~5/6)
・「東西美人画の名作『序の舞』への系譜」 東京藝術大学大学美術館(~5/6)
・「杉浦非水の花鳥画ー百花譜とスケッチ」 多摩美術大学美術館(4/4~5/6)
・「木島櫻谷 PartⅡ 四季連作屏風+近代花鳥図屏風尽し」 泉屋博古館分館(4/14~5/6)
・「いわさきちひろ生誕100年『Life展』 まなざしのゆくえ 大巻伸嗣」 ちひろ美術館・東京(~5/12)
・「光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」 根津美術館(4/14~5/13)
・「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」 千葉市美術館(4/6~5/20)
・「モダンアート再訪 ダリ、ウォーホルから草間彌生まで 福岡市美術館コレクション展」 埼玉県立近代美術館(4/7~5/20)
・「名作誕生ーつながる日本美術」 東京国立博物館(4/13~5/27)
・「生誕150年 横山大観展」 東京国立近代美術館(4/13~5/27)
・「没後50年 藤田嗣治 本のしごと 文字を装う絵の世界」 目黒区美術館(4/14~6/10)
・「人間・高山辰雄展ー森羅万象への道」 世田谷美術館(4/14~6/17)
・「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」 町田市立国際版画美術館(4/21~6/17)
・「大名茶人・松平不昧」 三井記念美術館(4/21~6/17)
・「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」 横須賀美術館(4/28~6/17)
・「ヌード NUDE 英国テート・コレクションより」 横浜美術館(~6/24)
・「五木田智央 PEEKABOO」 東京オペラシティアートギャラリー(4/14~6/24)
・「ジョルジュ・ブラック展 絵画から立体への変容ーメタモルフォーシス」 パナソニック汐留ミュージアム(4/28~6/24)
・「生誕60周年記念 くまのパディントン展」 Bunkamura ザ・ミュージアム(4/28~6/25)
・「ターナー 風景の詩」 東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館(4/24~7/1)
・「ガレも愛したー清朝皇帝のガラス」 サントリー美術館(4/25~7/1)
・「プーシキン美術館展ー旅するフランス風景画」 東京都美術館(4/14~7/8)
・「ゆらぎ ブリジット・ライリーの絵画」 DIC川村記念美術館(4/14~8/26)
・「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」 森美術館(4/25~9/17)

ギャラリー

・「ボスコ・ソディ展」 SCAI THE BATHHOUSE(~4/21)
・「BRIDGEー大野美代子の人と人、街と町を繋ぐデザイン」 ギャラリーA4(~4/25)
・「赤松音呂展 Chozumaki / Chijikinkutsu」 ミヅマアートギャラリー(4/4〜4/28)
・「TDC 2018」 ギンザ・グラフィック・ギャラリー(4/4~4/28)
・「巡りゆく日々 サラ ムーン写真展」 CHANEL NEXUS HALL(4/4~5/4)
・「第20回亀倉雄策賞受賞記念 中村至男展2018」 クリエイションギャラリーG8(4/6~5/16)
・「田中智 ミニチュアワールド」 ポーラ・ミュージアム・アネックス(4/27〜5/27)
・「絵と、 vol.1 五月女哲平」 ギャラリーαM(4/7~6/2)
・「蓮沼執太:~ing」 資生堂ギャラリー(4/6~6/3)
・「ミルチャ・カントル展」 メゾンエルメス(4/25~7/22)

4月は日本美術に注目が集まるかもしれません。まずは春の上野です。東京国立博物館にて「名作誕生ーつながる日本美術」がはじまります。



「名作誕生ーつながる日本美術」@東京国立博物館(4/13~5/27)

「名作誕生」は、絵師やモチーフの繋がりに着目し、祈りや古典文学などの12のテーマから、日本美術史上の名品を紹介する展覧会で、国宝・重要文化財を含む、約130点の作品が一堂に展示されます。


既に「出品リスト」(PDF)も公開されました。会期は全部で6期あり、おおむね前半(1期〜3期。4/13〜5/6)と後半(4期〜6期。5/8〜5/27)で多くの作品が入れ替わります。昨年、84年ぶりに真筆として確認された雪舟の「倣夏珪山水図」は、後期に出展されます。

ごく一部を除き、前後期の2度出かけると、ほぼ全ての作品を見ることが可能です。日本中から名品が揃う話題の展覧会だけに、早々から混み合うかもしれません。

10年ぶりとなる大規模な回顧展です。日本画家、横山大観の展覧会が、東京国立近代美術館で開催されます。



「生誕150年 横山大観展」@東京国立近代美術館(4/13~5/27)

岡倉天心に学び、のちに日本美術院を設立して、日本画壇の重鎮としての地位を築いた大観は、今年、生誕150年と没後60年を迎えました。それを期しての一大回顧展で、オール大観とあるように、大観の作品ばかり、約90点が展観されます。また100年ぶりに発見された、「白衣観音」や「彗星」などの新出の作品も含まれます。


実のところ、10年前に国立新美術館で開催された回顧展も相当に充実していました。近年の調査や研究を踏まえ、新たな見地が伺えるかもしれません。

知られざる絵師との出会いが待っているのではないでしょうか。千葉市美術館にて「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」が開催されます。



「百花繚乱列島ー江戸諸国絵師めぐり」@千葉市美術館(4/6~5/20)

江戸時代の後期には、全国各地に、当地の出身や藩の御用をつとめた、いわば「ご当地絵師」と呼ばれる人々がいました。そうした絵師の活動を俯瞰するのが「百花繚乱列島」で、北海道から長崎までの絵師の作品、約190点が展示されます。


会期中に大幅な展示替えが行われるため、半券を提示すると、2度目の観覧料が半額になるそうです。なにせ江戸絵画では定評のある千葉市美術館のことだけあり、かなりマニアックな展覧会となるのではないでしょうか。展示替えを追いかけるつもりです。

巴水ファンにとっても見逃せない展覧会になりそうです。町田市立国際版画美術館にて「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」がはじまります。



「浮世絵モダーン 深水の美人! 巴水の風景! そして…」@町田市立国際版画美術館(4/21~6/17)


「浮世絵モダーン」は、新版画を当時の現代美術とも捉え、社会状況や芸術の動向を踏まえながら、何を表現しようとしたのかを明らかにする内容で、巴水、深水、吉田博のほか、橋口五葉に小早川清らの作品が、計300点ほど公開されます。2005年に同館で行われた「浮世絵モダーン」の第二弾の展覧会でもあるそうです。

ほかにも、Part1の動物画が話題を集めた木島櫻谷の「四季連作屏風+近代花鳥図屏風尽し」(泉屋博古館分館)、お庭のカキツバタともに楽しみたい「光琳と乾山 芸術家兄弟・響き合う美意識」(根津美術館)、代表作を網羅し、過去最大級の回顧展ともなる「人間・高山辰雄展ー森羅万象への道」(世田谷美術館)、また没後200年を期して不昧の世界を紹介する「大名茶人・松平不昧」(三井記念美術館)、さらには神話や歴史上の英雄らを描いた浮世絵や近代日本画を取り上げる「集え!英雄豪傑たち 浮世絵、近代日本画にみるヒーローたち」(横須賀美術館)なども、興味深い展覧会ではないでしょうか。まさに日本美術展の目白押しと言えるかもしれません。


全てを今月中に見るのは難しいかもしれませんが、マイペースで追っていきたいと思います。

それではどうぞ宜しくお願いします。
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