都内近郊の美術館や博物館を巡り歩く週末。展覧会の感想などを書いています。
はろるど
「建物公開 旧朝香宮邸物語」 東京都庭園美術館
東京都庭園美術館
「建物公開 旧朝香宮邸物語」
3/21〜6/12
東京都庭園美術館で開催中の「建物公開 旧朝香宮邸物語」を見てきました。
1933年、朝香宮鳩彦王によって建てられた邸宅は、アール・デコ様式の名建築として知られ、2015年には国の重要文化財の指定を受けました。
その旧朝香宮邸、すなわち現在の東京都庭園美術館の建物としての魅力に迫るのが、「建物公開 旧朝香宮邸物語」で、館内を広く開放した上、宮家にゆかりの衣装などを展示するなどして、邸宅の辿った歴史や物語について紹介していました。
朝香宮鳩彦王がアール・デコの自邸を建てるきっかけになったのが、1922年に軍事研究のためにフランスへ渡ったことでした。同地で交通事故にあった鳩彦王は、看病のために当地へ渡った允子内親王とともに、1925年まで長期滞在することになりました。当時のフランスは、アール・デコの全盛期であり、夫妻もパリの万国博覧会で、ラリックやラパンらに強く感銘を受けました。
よってラパンに室内の基本設計を依頼し、レリーフやシャンデリアにラリックの作品を取り入れるなどして、アール・デコの館というべき自邸を築き上げました。結果的に朝香宮鳩彦王は、1947年に皇籍離脱するまで住み続けました。
次いで館の主となったのは、宰相の吉田茂でした。戦後の混乱期において、旧朝香宮邸は政府の借り上げとなり、外相公邸、首相公邸として利用されました。芦田均も一時、外相公邸として住んでいたそうです。
1950年、吉田が首相を退くと、西武鉄道に払い下げられ、「白金プリンス迎賓館」として開業しました。当時の日本では初めての迎賓施設で、1974年に迎賓館赤坂離宮が開設されるまで、多くの国賓や公賓を迎えました。
赤坂離宮迎賓館が誕生すると、今後は民間の迎賓館として、結婚式や宴会場に使われました。そして1981年、東京都が西武鉄道より土地を購入し、美術館として利用することが決まりました。その2年後の1983年、東京都庭園美術館として一般に公開されました。
近年では、おおむね年に1回、こうした「建物公開展」が行われています。既に見学された方も多いかもしれません。
実のところ、私自身、「建物公開展」に行くのは初めてでした。展覧会などで度々通ったスペースではありますが、細部の意匠などに目を向けると、改めて建物の美しさに見入るものがありました。
朝香宮夫妻の着用したドレスやコート、また同時代のバックや手袋、さらにラリックの花瓶なども、往時の姿を伝えているかもしれません。また関連の資料として、朝香宮家や吉田茂、また迎賓館時代の映像も紹介されていました。
通常、あまり立ち入る機会の少ない、最上階のウィンターガーデンも公開されていました。白と黒の石を市松模様に敷き詰めた床が特徴的で、温室として設けられたために、花台や水道の蛇口なども設置されています。この日は晴天だったゆえに、窓からも燦々と光が降り注いでいて、心なしか暖かく感じました。
なおウィンターガーデンは消防法の関係により、見学に制限が設けられています。基本的に定員制で、混雑時は10分以内で退出する必要がありました。
本館に引き続く新館では、「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」展が開催中です。
これはフランス文学者、鹿島茂氏が、約30年に渡ってコレクションしたフランスの絵本を紹介するもので、日本でも人気のある「ぞうのババール」など、貴重な絵本が一堂に集められていました。意外にも一般に向けては、初めての公開だそうです。
さらに本館の書庫にも一部、メーテルリンクの「青い鳥」などのコレクションが展示されていました。観覧券は「建物公開展」と共通です。新館もお見逃しなきようにおすすめします。
東京都庭園美術館の庭園が全面公開されました(はろるど)
「旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか/アートダイバー」
本館は一部エリアを除き、写真の撮影も可能でした。(新館は原則撮影禁止。一部撮影可。)ただしフラッシュ、自撮り棒の使用のほか、動画の撮影は出来ません。ご注意下さい。
6月12日まで開催されています。
「建物公開 旧朝香宮邸物語」 東京都庭園美術館(@teienartmuseum)
会期:3月21日(水)〜6月12日(火)
休館:第2・第4水曜日(3/28、4/11、4/25、5/9、5/23)
時間:10:00~18:00。
*3/23、3/24、3/30、3/31、4/6、4/7は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般900(720)円 、大学生720(570)円、中・高校生・65歳以上450(360)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
*第3水曜日のシルバーデーは65歳以上無料。
*同時開催中の「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」も観覧可。
住所:港区白金台5-21-9
交通:都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口より徒歩6分。JR線・東急目黒線目黒駅東口、正面口より徒歩7分。
「建物公開 旧朝香宮邸物語」
3/21〜6/12
東京都庭園美術館で開催中の「建物公開 旧朝香宮邸物語」を見てきました。
1933年、朝香宮鳩彦王によって建てられた邸宅は、アール・デコ様式の名建築として知られ、2015年には国の重要文化財の指定を受けました。
その旧朝香宮邸、すなわち現在の東京都庭園美術館の建物としての魅力に迫るのが、「建物公開 旧朝香宮邸物語」で、館内を広く開放した上、宮家にゆかりの衣装などを展示するなどして、邸宅の辿った歴史や物語について紹介していました。
朝香宮鳩彦王がアール・デコの自邸を建てるきっかけになったのが、1922年に軍事研究のためにフランスへ渡ったことでした。同地で交通事故にあった鳩彦王は、看病のために当地へ渡った允子内親王とともに、1925年まで長期滞在することになりました。当時のフランスは、アール・デコの全盛期であり、夫妻もパリの万国博覧会で、ラリックやラパンらに強く感銘を受けました。
よってラパンに室内の基本設計を依頼し、レリーフやシャンデリアにラリックの作品を取り入れるなどして、アール・デコの館というべき自邸を築き上げました。結果的に朝香宮鳩彦王は、1947年に皇籍離脱するまで住み続けました。
次いで館の主となったのは、宰相の吉田茂でした。戦後の混乱期において、旧朝香宮邸は政府の借り上げとなり、外相公邸、首相公邸として利用されました。芦田均も一時、外相公邸として住んでいたそうです。
1950年、吉田が首相を退くと、西武鉄道に払い下げられ、「白金プリンス迎賓館」として開業しました。当時の日本では初めての迎賓施設で、1974年に迎賓館赤坂離宮が開設されるまで、多くの国賓や公賓を迎えました。
赤坂離宮迎賓館が誕生すると、今後は民間の迎賓館として、結婚式や宴会場に使われました。そして1981年、東京都が西武鉄道より土地を購入し、美術館として利用することが決まりました。その2年後の1983年、東京都庭園美術館として一般に公開されました。
近年では、おおむね年に1回、こうした「建物公開展」が行われています。既に見学された方も多いかもしれません。
実のところ、私自身、「建物公開展」に行くのは初めてでした。展覧会などで度々通ったスペースではありますが、細部の意匠などに目を向けると、改めて建物の美しさに見入るものがありました。
朝香宮夫妻の着用したドレスやコート、また同時代のバックや手袋、さらにラリックの花瓶なども、往時の姿を伝えているかもしれません。また関連の資料として、朝香宮家や吉田茂、また迎賓館時代の映像も紹介されていました。
通常、あまり立ち入る機会の少ない、最上階のウィンターガーデンも公開されていました。白と黒の石を市松模様に敷き詰めた床が特徴的で、温室として設けられたために、花台や水道の蛇口なども設置されています。この日は晴天だったゆえに、窓からも燦々と光が降り注いでいて、心なしか暖かく感じました。
なおウィンターガーデンは消防法の関係により、見学に制限が設けられています。基本的に定員制で、混雑時は10分以内で退出する必要がありました。
2018年3月21日(水・祝) − 6月12日(火)
— フランス絵本の世界展 (@LIFrancaises) 2018年3月26日
鹿島茂コレクション『フランス絵本の世界展』
東京都庭園美術館 https://t.co/TIGFRxTTKO pic.twitter.com/73QQeNAj7s
本館に引き続く新館では、「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」展が開催中です。
これはフランス文学者、鹿島茂氏が、約30年に渡ってコレクションしたフランスの絵本を紹介するもので、日本でも人気のある「ぞうのババール」など、貴重な絵本が一堂に集められていました。意外にも一般に向けては、初めての公開だそうです。
さらに本館の書庫にも一部、メーテルリンクの「青い鳥」などのコレクションが展示されていました。観覧券は「建物公開展」と共通です。新館もお見逃しなきようにおすすめします。
東京都庭園美術館の庭園が全面公開されました(はろるど)
「旧朝香宮邸物語―東京都庭園美術館はどこから来たのか/アートダイバー」
本館は一部エリアを除き、写真の撮影も可能でした。(新館は原則撮影禁止。一部撮影可。)ただしフラッシュ、自撮り棒の使用のほか、動画の撮影は出来ません。ご注意下さい。
6月12日まで開催されています。
「建物公開 旧朝香宮邸物語」 東京都庭園美術館(@teienartmuseum)
会期:3月21日(水)〜6月12日(火)
休館:第2・第4水曜日(3/28、4/11、4/25、5/9、5/23)
時間:10:00~18:00。
*3/23、3/24、3/30、3/31、4/6、4/7は20時まで開館。
*入館は閉館の30分前まで。
料金:一般900(720)円 、大学生720(570)円、中・高校生・65歳以上450(360)円。
*( )内は20名以上の団体料金。
*小学生以下および都内在住在学の中学生は無料。
*第3水曜日のシルバーデーは65歳以上無料。
*同時開催中の「鹿島茂コレクション フランス絵本の世界」も観覧可。
住所:港区白金台5-21-9
交通:都営三田線・東京メトロ南北線白金台駅1番出口より徒歩6分。JR線・東急目黒線目黒駅東口、正面口より徒歩7分。
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