「3331 千代田芸術祭 2013」 アーツ千代田3331

アーツ千代田3331
「3331 千代田芸術祭 2013」 
9/29-10/20



アーツ千代田3331で開催中の「3331 千代田芸術祭 2013」へ行ってきました。

2010年より末広町の3331にて開催中の千代田芸術祭。いわゆるアンデパンダン形式。出品料を払えば誰もが自由に出品可能な美術展です。ジャンルも絵画に写真に立体にインスタレーション他と実に多種多様。今回も200名もの参加者が集まりました。

また3331ではお馴染みの企画とは言え、新たな展開も。通常の展示部門に加え、パフォーマンス他、映像や音部門も加わりました。今年はその辺もポイントかもしれません。

さてこうした展示では自らの感性の趣くまま、気に入った作品なりを見つけるべく歩き回るのが楽しいもの。というわけで早速、展示部門から印象に残った作品をいくつかあげてみます。


上段:杉本幸「喰う花」

まず上から杉本幸さんの「喰う花」。鮮やかな色彩とどこか日本画風のモチーフ。一瞬、盆栽を連想しましたが、ミクストメディアということで、絵具の他、ビーズのような突起物が散りばめられたマチエールも好感触でした。


丸山潤「The fowler of a flower」(部分)

下段は丸山潤さんの「The fowler of a flower」。ヒマワリのような花が増殖に増殖を重ねている。素材は水彩と黒インク。花をテーマにしつつも、どこか不気味な印象も。重ねられた円がまるで目のようでもあります。


三井彩紗「Looking for light」

三井彩紗さんの写真、「Looking for light」は光のセンスに魅せられます。木立や草木。ブレも効果的ではないでしょうか。白い光がふわっと覆い被さっていく。見ていて心地良く感じました。


中村凪「私の知らない私の家族」

中村凪さんの「私の知らない私の家族」も強い印象を与えます。どこでもありそうな家族の団らんの一コマを油彩で表した作品。子供を囲んでとても楽しそうですが、何か見ていて対象との距離感を覚えるのが不思議なところ。筆致も独特なものがあります。


細川華子「shopping syndrome」

スターバックスのロゴの入った紙袋に装飾を加えたのは細川華子さんです。照屋勇賢さんの作品を思い出しました。


井川和希「真友子」

井川和希さんの「真友子」。文字通りに被写体は真友子さんなのでしょうか。ともかく溢れんばかりのエネルギー。ポーズはもはや乱れ、ともかく動きに動きまくる。どことなく猥雑とした感覚もまた魅力的です。


北田英梨「My Insatiable One」

北田英梨さんの「My Insatiable One」、写真では分かりにくいかもしれませんが、左が版木で右がそこから写した版画作品です。このように版木と組み合わせて展示するのも興味深いところでした。


角田康介「いつか生まれる女神のための」

角田康介さんの「いつか生まれる女神のための」は木彫です。モチーフはどこかシュールでさえありますが、木彫自体の精巧さには感心させられます。


奥村直樹「あれ奥村か。」

キャプションに「足下にご注意ください。」とあるのは奥村直樹さんの「あれ奥村か。」。床に寝そべるのはさながら奥村さんの分身でしょうか。その視線は妙に人懐っこく、なかなか立ち去ることを許しません。

ブログでもお世話になっているあおひーさんが新機軸の作品を展示されています。タイトルは「encounter」。まるで影絵の如く写る半身の男性。のぞき込んでいるようでのぞき込まれている。ほぼモノクローム。おそらくはご本人の姿だろうと思いますが、手にはカメラも。遠目では雪の夜の景色のようにも見えますが、ともかくも何かを前にして自身を写していることが分かります。


あおひー「encounter」

そして近寄ってみると写真の表面にちょうど人の指ほどの太さのザワザワとした線があちこちに。初めは何らかの加工をしているのかと思いきや、さらに目を凝らして驚きました。その線、実はとある生き物。ようはある面を半ば見下ろして写している姿であることが分かるのです。それは何なのか。是非とも会場で確認して見て下さい。



さてチラシにも「対話型の展覧会」との文言が載っているように、ゲストによる「公開講評会」も千代田芸術祭の一つの見どころかもしれません。去年だったか、少しお邪魔したことがありましたが、時には作家と講評者との間の議論がわき起こるなど、アンデパンダンならではの熱気も見られました。(今年の公開講評会は既に終了しています。)

入場は無料です。10月20日まで開催されています。

「3331 千代田芸術祭 2013」 アーツ千代田3331@3331ArtsChiyoda) メインギャラリー
会期:9月29日(日)~10月20日(日)
休館:火曜日
時間:12:00~19:00 入場は閉場の30分前まで。
料金:無料
場所:千代田区外神田6-11-14 アーツ千代田3331 1階
交通:東京メトロ銀座線末広町駅4番出口より徒歩1分、東京メトロ千代田線湯島駅6番出口より徒歩3分、都営大江戸線上野御徒町駅A1番出口より徒歩6分、JR御徒町駅南口より徒歩7分。
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「横山大観展ー良き師、良き友」 横浜美術館

横浜美術館
「横山大観展ー良き師、良き友」 
10/5-11/24 *前期:10/5~10/30、後期:11/1~11/24



横浜美術館で開催中の「横山大観展ー良き師、良き友」の夜間特別内覧会に参加してきました。

「近代日本画壇を代表する巨匠」(展覧会WEBサイトより引用)、横山大観。日本美術院の創立にも参画、第1回の文化勲章を受賞。画壇の重鎮。そしてよく知られた作品は眩しいくらいに立派な富士山。その温和な作風の反面、お硬いイメージも先行。親しみの持てる画家とはなかなか言い難いかもしれません。

そこを切り開くのも本展の狙いどころ。既存の大観のイメージを取っ払います。作品を前にして「これは大観なのか?」と思うこともしばしば。時に驚きと発見のある展覧会です。


右:横山大観「村童観猿翁」明治26年 東京藝術大学 *前期展示

ではどのようにして新たな大観展を構築しているのか。答えは壮年期。つまり大正から昭和初期までの画業のみに注目していることです。

さらに副題にもあるように大正時代、大観と交流のあった画家、今村紫紅、小杉未醒、小川芋銭、冨田溪仙の作品もあわせて展観。例の富士山ばかりでも、また単に大観の画業を晩年まで追いかける回顧展でもありません。言わば若かりし大観が友人たちと何を描いたのか。それを師、天心との関わりにも着目しながら見ていくというわけでした。


左:横山大観「写生 風呂敷包み」明治22~26年 茨城県天心記念五浦美術館 *前期展示

前置きはこの辺で。それでは新たな大観、「これが大観?」な一枚を挙げてみましょう。写生画から「風呂敷包み」(明治22~26年)。写真では分かりにくいかもしれませんが、この滑らかな線描表現。そして巧みな陰影。風呂敷の柔らかな質感まで伝わってくる。ちなみに鉛筆ではなく筆です。見事なデッサンではないでしょうか。

そして圧巻なのは「屈原」(明治31年)。中国・楚の時代に失脚した政治家を、同じく東京美術学校を追われた天心に例えて描いた一枚。ご覧の通りの大作です。


横山大観「屈原」展示風景

それにしてもここにおける硬軟を使い分けた筆遣い。すくっと立って前を見やる屈原の姿。鬼気迫る顔面の表現。凄まじいリアリズムです。そして背景の何とも言い難い不穏なまでの大気。吹き荒れる風。草木は強く揺れ、鳥たちは屈原と同じように上目遣いで睨んでいる。妖気すら漂っています。


横山大観「屈原」明治31年 厳島神社 *展示期間:10/5~16

東京美術学校の一期生として入学し、深く天心を尊敬していたという大観。天心が東京美術学校を追われるのに従って大観も下野。日本美術院の創設へと邁進します。大観にとって天心はどれほどに重要な存在なのか。畏怖の念を感じる作品でした。

ちなみに厳島神社に奉納された本作、展示機会が極めて少ないそうです。今回も10月16日までしか公開されません。まずはお急ぎ下さい。

「屈原」で興奮して長くなってしまいました。他の作品も少しご紹介しましょう。


横山大観「瀟湘八景より瀟湘夜雨」大正元年 東京国立博物館 *前期展示

まずは古来から山水画の画題として「瀟湘八景」(大正元年)。重文指定の名品ですが、大観はここで四季の光景を風俗画的にも展開。人々の長閑な生活の様子が朧げな光や空気の向うに描かれています。

朧げといえば朦朧体です。大観は早い段階で朦朧体を獲得。揶揄されつつも、様々な作品を描きましたが、むしろその淡い筆致に色遣いは印象派風。淡い黄色や青みが光も表す。今から振り返れば進取的でもあります。


第1章「良き師との出会い:大観と天心」展示室風景

私としては初期作の多い初めの方の展示室がオススメです。昭和に入っての『円熟期』に達すると、どこか様式美というのか、見慣れた大観も現れますが、変化に変化を重ねた明治から大正の画業。思いの外に惹かれました。

さて大観以外の画家の作品をいくつかピックアップします。やはり一番面白いのは小川芋銭。大観とは同い年。河童の芋銭とも呼ばれ、生涯の殆どを茨城は牛久沼周辺で暮らした画家です。


右:小川芋銭「肉案」大正6年 茨城県近代美術館 *通期展示

この「肉案」(大正6年)はどうでしょうか。禅の主題、肉屋が猪の頭を大きく掲げた一枚。まさに万歳のポーズ、何とも開放感に溢れていますが、驚くことに大観は本作を見て芋銭を日本美術院に勧誘したとか。快活自在な姿にでも惹かれたのかもしれません。


左:小川芋銭「夕風」大正13年 五島美術館 *前期展示

また芋銭では「夕風」(大正13年)も興味深い一枚です。モノクロームの作品が多い中での珍しい彩色の作品。神事をモチーフとしているそうですが、前景のうねりを帯びたトウモロコシの描写は独特。また奥に見え隠れする人や馬もまるでアニメーションのようです。素朴派の絵画を連想しました。


右:横山大観「汐見坂」大正5年 足立美術館 *通期展示
左:今村紫紅「潮見坂」大正4年 横浜美術館 *通期展示


その他、大観が紫紅、放庵らとともに東海道を旅行して描いた合作、「東海道五十三次絵巻」(大正4年)、また溪仙作に触発されて同じ場所を改めて描いた「汐見坂」なども、画家らの交流を伺わせる作品と言えそうです。

展示替えの情報です。出品作の多くが途中で入れ替わります。ちらし表紙を飾り、言わば大正期の大観の集大成でもある「夜桜」は後期の出品。但し「夜桜」の見慣れない小下絵が出ていました。(10/16まで。)ともかく前後期あわせて一つの展覧会として差し支えありません。

「横山大観展ー良き師、良き友」出品リスト(PDF)
前期:10月5日~10月30日
後期:11月1日~11月24日


さて本編とは別に嬉しい企画も。山口晃さんが本展のために6名の画家の肖像画を作成。その原画も展示されています。


「山口晃 大観と良き師、良き友を描く」コーナー

また山口さんのインタビュー他、制作動画が公式サイトにアップされています。図録にもエッセイを寄せておられました。こちらも注目です。

「山口晃さんが描く 大観と良き師、良き友」

かつて新美で行われた回顧展など、近代日本画展では目にする機会も多い大観。少し食傷気味などと思われる方もおられるやもしれません。しかし大半を占めるのは繊細でかつ多彩な作風を見せる若き大観。友人の画家との関係を追った構成も意外と新鮮味があります。楽しめました。


横山大観展会場風景

11月24日まで開催されています。

「横山大観展ー良き師、良き友」 横浜美術館
会期:10月5日(土)~ 11月24日(日)
休館:木曜日。
時間:10:00~18:00(入館は17時半まで)
料金:一般1400(1300)円、大学・高校生1100(1000)円、中学生500(400)円。小学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体。要事前予約。
 *毎週土曜日は高校生以下無料。
住所:横浜市西区みなとみらい3-4-1交通:みなとみらい線みなとみらい駅5番出口から徒歩5分。JR線、横浜市営地下鉄線桜木町駅より徒歩約10分。

注)写真は夜間特別内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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「Drinking Glassー酒器のある情景」 サントリー美術館

サントリー美術館
「Drinking Glassー酒器のある情景」 
9/11-11/10



サントリー美術館で開催中の「Drinking Glassー酒器のある情景」へ行ってきました。

古くから人間が嗜んできたお酒という飲み物。お酒には人々の出会いや語らいがあり、また時に人生に大きな喜びをもたらしてくれる。

と、まるで居酒屋番組のコピーのような書き出しになってしまいましたが、ともかくお酒の育んできた文化や習慣は実に多種多様。到底一言で語り尽くせるものではありません。

本展ではそうしたお酒に因むものから器、つまり酒器、中でもとりわけガラスに注目。古今東西のガラスの酒器を紹介する内容となっています。


「コアガラス脚付杯」エジプト 紀元前14世紀 MIHO MUSEUM

ではまず人とガラス酒器との出会いはいつなのか。紀元前16世紀頃のメソポタミアです。冒頭を飾るのはエジプトから出土した「コアガラス脚付杯」。粘土質の芯へガラスを吹き付ける技法。緩やかな曲線のマーブル模様が目を引きます。


「カットガラス碗」ササン朝ペルシャ 3-7世紀 サントリー美術館

「カットガラス碗」の形状があたかも楽焼の茶碗のように見えたのは私だけでしょうか。手の指先くらいの丸い窪みが碗の全面を覆っています。高級な答礼品として珍重されていたそうです。

また時代は前後しますが、紀元前1世紀になるとギリシャでワイン文化が伸張。さらに紀元前50年頃に吹きガラスがローマ帝国で開発されると、様々なガラス酒器が生み出されるようになります。

肋骨の形をしたリブと呼ばれる器、その名も「リブ装飾碗」の他、ワインを水と混ぜる(古代ギリシャでは一般的な飲み方だったそうです。)ために用いられた使われただろう大振りの杯などが印象に残りました。

さて本展、一つ構成上において重要なテーマがあります。それがタイトルにもある情景、つまりどのようなシーンで酒を飲み、酒器が使われたのかということです。


「フリーメーソン文ゴブレット」イギリス 1868年 高畑美術工芸館

そのシーンとは「捧ぐ」、「語らう」、「誓う」、「促す」、「祝い、集い、もてなし、愉しむ」の5つ。例えば「誓う」ではキリスト教の聖餐のための杯が登場。また面白いのは同じく「誓う」から「天使文ゴブレット」です。何と上下対照の器、一人が先に一方のカップを飲み、次いでもう一人が反対のカップを飲む。それで友愛を誓い合っていたとか。色々な習慣があるものです。


「神聖ローマ帝国選帝侯文フンペン」ドイツ 1606年 石川県立美術館

時代が進み、ガラス制作の技術が進展すると、より精巧で意匠を凝らした酒器が生み出されるようになります。中には政治的な思想や国への忠誠などを示す器も登場。酒器が一つのステイタスシンボルと化しました。


「ゴールドサンドイッチ聖人文ゴブレット」ボヘミア 1730年頃 サントリー美術館

美しいのはゴールドサンドイッチと呼ばれるゴブレットです。文字通り金箔の模様をガラスの中に挟んだもので、例えばキリスト教の聖人たちを象った器も作られます。

「ロンドン風景文ゴブレット」は見事の一言です。ガラスの表面をぐるりと覆う文様はずばりロンドン。ロンドン塔にテムズ川などが実に精緻に刻まれている。まさか18世紀のロンドンの光景をガラス器で見るとは思いませんでした。

「もてなし」の項ではバッカスをモチーフとした器もお目見え。また面白いのは鹿の頭が上部にのった「鹿形パズルゴブレット」です。ゴブレットにパズル?何のことやらと思ってしまいますが、普通に口を付けても、鹿の頭が邪魔をしてうまく飲めないとか。答えは台座の付け根の穴です。それを塞ぐことによって、別の口から飲み物を吸い出すことが出来るという仕掛け。まさにトリッキー。こんな器でお酒が出てくるだけでも楽しくなってしまいます。


「切子三ツ組盃・盃台」日本 19世紀 サントリー美術館

もちろん日本の酒器も数多く出品。ガラスの徳利に切子の盃なども。把っ手のひねりが独特な「藍色ちろり」は何度見てもその美しさに惚れてしまいます。


高橋禎彦「酒器等一式」2013年 個人蔵

また「酒器のいま」と題し、現在活躍中のガラス作家による酒器も展示されているのもポイントです。中野幹子さんに松島巌さんに由良園さんなど。大きさも形も色も様々。どのようなシーンやお酒が似合うのか。妄想ならぬ想像も膨らみます。

かつての切子展ならぬガラス器を展示すれば天下一品のこの美術館。さらには付け加えればサントリーは酒造メーカーでもある。まさにこの場所だからこその企画。思わず息ならぬ、お酒を飲みたくなるような景色が広がっています。感服致しました。

11月10日までの開催です。

「Drinking Glassー酒器のある情景」 サントリー美術館@sun_SMA
会期:9月11日(水)~11月10日(日)
休館:火曜日。但し8月13日(火)は開館。
時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00) *9/15(日)、22(日)、10/13(日)、11/3(日)は20時まで開館。
料金:一般1300円、大学・高校生1000円、中学生以下無料。
 *ホームページ限定割引券、及び携帯割(携帯/スマホサイトの割引券提示)あり。
場所:港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウンガレリア3階
交通:都営地下鉄大江戸線六本木駅出口8より直結。東京メトロ日比谷線六本木駅より地下通路にて直結。東京メトロ千代田線乃木坂駅出口3より徒歩3分。
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「印象派と世紀末美術」 三菱一号館美術館

三菱一号館美術館
「三菱一号館美術館 名品選2013ー近代への眼差し 印象派と世紀末美術」
2013/10/5-2014/1/5



三菱一号館美術館で開催中の「名品選2013ー近代への眼差し 印象派と世紀末美術」展のプレスプレビューに参加してきました。

2010年4月の開館以来、今回を含めて13本の展覧会を行ってきた三菱一号館美術館。これまでにも「もてなす悦び」やロートレック展の他、ルドン展などにおいても所蔵のコレクションを公開してきました。

しかしながら意外や意外。何らかのテーマの元、西洋美術の平面コレクションのみにスポットを当てた展覧会はありませんでした。

というわけで今回が初企画です。出品は同館所蔵の西洋美術コレクションから149点。1点を除き全て平面作品です。また40点は過去の展覧会に出品済ですが、残りの109点はほぼ初公開。表題の如く印象派をはじめ、象徴主義やナビ派ら画家の作品などが展示されていました。


ピエール=オーギュスト・ルノワール「長い髪をした若い娘」1884年 油彩 三菱一号館美術館寄託

さてまずはチラシ表紙、大きく掲げられたのはルノワールの「長い髪をした若い娘」。画家の印象派時代の最後を飾る一点とも呼べる名作ですが、ともかくこのチラシのビジュアルを見ると、さも会場には印象派の油彩画ばかりがあるように思ってしまうかもしれません。


「三菱一号館美術館 名品選2013」展示室風景

あえて申し上げます。本展、主役は油彩画ではなく版画です。それもロートレックやドニ、ルドン、そしてヴァロットンらといった世紀末の画家によるものです。

そしてこれらの版画が大変に見応えがある。ロートレックこそ見知ってはいましたが、まさか一号館にこれほど充実した版画コレクションがあるとは思いませんでした。

前置きが長くなりました。それではいくつか興味深い版画をご紹介しましょう。


右:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「メイ・ミルトン」1895年 リトグラフ 三菱一号館美術館
左:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「メイ・ベルフォール」1895年 リトグラフ 三菱一号館美術館


このロートレックの2枚、「メイ・ベルフォール」と「メイ・ミルトン」。ともに1895年制作のリトグラフ、アイルランドの歌手ベルフォールと、イギリスの踊り子ミルトンをモチーフにした作品ですが、色彩なり構図なりが対照的に表されていることがお分かりいただけるでしょうか。

背景の白と黒、題字の上と下、そして衣装の赤と白、またそもそも歌と踊りという静と動。何でもこの二人、恋人同士だったそうです。それを知っていたロートレックがあえて対になるように描きました。心憎い演出です。

アンドレ・マルティという人物もポイントです。彼は19世紀末の出版人。芸術雑誌や創作版画集などの刊行を手がけました。

うち極めて独創的だとされる「レスタンプ・オリジナル」は重要です。当時、最新の技法でもあったカラー・リトグラフを用いたシリーズ。ピサロ、ルドン、シャヴァンヌらを起用して版画集を取りまとめます。


アレクサンドル・シャンパンティエ「レスタンプ・オリジナル ヴァイオリンを弾く少女」1894年 リトグラフ 三菱一号館美術館

シャンパンティエの「ヴァイオリンを弾く少女」、ともかくよく近づいてご覧になって下さい。浮世絵の空刷りと言われる技術を多色リトグラフとあわせた作品。確かに浮き上がっていることがわかります。


右:アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック「レスタンプ・オリジナル アンバサドゥールにて」1893年 リトグラフ 三菱一号館美術館
左:ジュール・シェレ「レスタンプ・オリジナル ダンス」1893年 リトグラフ 三菱一号館美術館


また幻想的な作風のシェレの「ダンス」にも心惹かれました。ちなみに写真画像上の右の作はロートレックによるもの。マルティはロートレックを重用しながら、ナビ派の画家を見出した目利きでもあります。

さて本展で最も印象的な作家とは誰か。フェリックス・ヴァロットンではないでしょうか。


フェリックス・ヴァロットン「息づく街パリ 事故」1893年 ジンコグラフィ 他 三菱一号館美術館

ヴァロットンといえば来年、同館で注目の回顧展が開催されるスイス生まれの画家。「外国人のナビ」とも称され、独特な構図感や時に神秘的な印象を与える油画を残しましたが、そのエッセンスは版画でもよく見て取ることが出来ます。


フェリックス・ヴァロットン「可愛い天使たち」1894年 木版 三菱一号館美術館

例えば「可愛い天使たち」、警官が男性を連行する姿を描いていますが、それを子どもたちがはやし立てている。また「動揺」では男女における緊張感を、さらに「難局」では人の死に対する何とも言い難い恐怖感などを表している。風刺的でもあり、それでいて社会の人たちの生き様を冷静に見つめたヴァロットン。平面的な構成からは浮世絵を巧みに消化したことも分かります。


フェリックス・ヴァロットン「女の子たち」1893年 木版 三菱一号館美術館

本展ではヴァロットンの木版画を「アカデミー・フランセーズ会員」や「息づく街」シリーズなど25点を出品。まさに来るべきヴァロットン展の先取りとも言うべき展示となっていました。


モーリス・ドニ「アムール 青白い銀の長椅子の上で」1899年 リトグラフ 三菱一号館美術館

版画といえばルドンにボナールの作品も数多く登場。またセザンヌなどの有力な画商として知られるヴォラールについての紹介もあります。ヴェルレーヌの「平行して」は彼の刊行した詩集。挿絵はボナールです。それに同じくヴォラールの刊行したドニの「アムール」の淡い色彩と幻想的な雰囲気も魅力的でした。


オディロン・ルドン「グラン・ブーケ(大きな花束)」1901年 パステル 三菱一号館美術館

版画を離れてのハイライトはやはりルドンの「グラン・ブーケ」です。まさにこの作品のために作られた空間での展示。引き立つ花の色の乱舞。その渦にのみ込まれます。


「三菱一号館美術館 名品選2013」展示室風景

19世紀末から20世紀初頭の西洋美術の潮流を平面作品から辿る。ともかく出品の大多数を占める新出の版画が魅せてくれます。

三菱一号館美術館2014~2015展覧会スケジュール

上記リンク先での記事でもご紹介しましたが、本展にも準拠する「まるごと三菱一号館美術館」が実に良く出来ています。おすすめです。

「まるごと三菱一号館美術館/東京美術」

ロングランの展覧会です。2014年1月5日まで開催されています。

「三菱一号館美術館 名品選2013ー近代への眼差し 印象派と世紀末美術」 三菱一号館美術館
会期:2013年10月5日(土)~2014年1月5日(日)
休館:毎週月曜。但し祝日の場合は翌火曜休館。12月24日は18時まで開館。年末年始(12/28~1/1)。
時間:10:00~18:00。毎週金曜日(祝日除く)は20時まで。
料金:大人1200円、高校・大学生800円、小・中学生400円。
住所:千代田区丸の内2-6-2
交通:東京メトロ千代田線二重橋前駅1番出口から徒歩3分。JR東京駅丸の内南口・JR有楽町駅国際フォーラム口から徒歩5分。

注)写真は報道内覧会時に主催者の許可を得て撮影したものです。
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三菱一号館美術館2014~2015展覧会スケジュール

三菱一号館美術館の2015年までの展覧会スケジュールが発表されました。



[ザ・ビューティフルー英国の唯美主義1860~1900]
会期:2014年1月30日(木)~2014年5月6日(火・祝)

主催:三菱一号館美術館、朝日新聞社、テレビ朝日、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
後援:ブリティッシュ・カウンシル
概要:産業革命以降の19世紀後半、ヴィクトリア朝の英国では唯美主義者と呼ばれる前衛芸術家たちが追い求めた「新たな美」が大衆にまで広がって、壮大なムーブメントへと発展しました。 本展は、ロンドン、パリ、サンフランシスコで好評を博した国際巡回展を再構成した日本初の唯美主義展です。


フレデリック・レイトン「母と子」1864-65年 ブラックバーン美術館

ラファエル前派のみに留まらず、唯美主義展全般に目を向けた日本初の総合的な展覧会です。出品は全150点。ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館品から油画、水彩、また家具や工芸などの調度品がやってきます。

また興味深いのはそもそも三菱一号館の建物自体が、唯美主義最盛期にイギリスで流行した「クィーン・アン」様式であるということです。

特設サイトもオープン済。それにほぼ同会期に森アーツセンターギャラリーで行われる「ラファエル前派展 英国ヴィクトリア朝絵画」展との割引先行前売券「夢の英国美術周遊券」がちょうど本日、10月4日(金)から発売されます。

本日発売!とてもお得な「夢の英国美術周遊券」

19世紀後半の英国美術。丸の内と六本木を行き来して楽しみましょう。



[フェリックス・ヴァロットンー冷たい炎の画家]
会期:2014年6月14日(土)~2014年9月23日(火・祝)

主催:オルセー美術館、RMN-グラン・パレ、ゴッホ美術館、三菱一号館美術館、日本経済新聞社、テレビ朝日
後援:スイス大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
概要:スイスで生まれ、19世紀末のパリで活躍したナビ派の画家、フェリックス・ヴァロットンの日本初個展。本展は、パリのオルセー美術館およびローザンヌのフェリックス・ヴァロットン財団の監修による国際展覧会として世界巡回を経たのち、2014年という日・スイス国交樹立150周年の記念すべき年に当館にて開催します。


フェリックス・ヴァロットン「貞節なシュザンヌ」1922年 ローザンヌ州立美術館

話題のヴァロットン展です。早い段階から開催の告知はされていましたが、先だって記者発表会も行われたこともあり、展示の詳細も出揃ってきました。リリースに沿って簡単に見どころをまとめてみます。

1.日本初の回顧展

いうまでもなく日本初の回顧展。監修はオルセー美術館、およびフェリックス・ヴァロットン財団。国際巡回はパリのグラン・パレ、及びアムステルダムのゴッホ美術館、そして三菱一号館美術館です。ちなみに同館は図録や展示企画などにおいても準備段階から参画しているそうです。その辺もポイントになるかもしれません。

2.解けない謎のように重層的な作品群

チラシ表紙の「ボール」しかり、時に斬新な視点を持つヴァロットン絵画ですが、エロティスズムや不安を喚起させる風景や室内画も彼の真骨頂であります。展示はそれらを他に神話や戦争を主題とした作品、また風刺画や肖像画などのテーマ別に紹介。出品は油彩60点、版画60点の計120点です。

3.三菱一号館のグラフィックコレクションから選りすぐりの60点を公開

三菱一号館は全部でヴァロットンの版画を187点所蔵しているそうです。これらは世界的に見てもかなり貴重だとか。実は現在開催中の名品選2013展にもいくつか出品されていますが、この回顧展にあわせて一挙に60点余の作品が公開されます。


ジャン=フランソワ・ミレー「種をまく人」1850年 ボストン美術館

[ボストン美術館 ミレー展ー傑作の数々と画家の真実]
会期:2014年10月17日(金)~2015年1月12日(月・祝)

主催:三菱一号館美術館、東京新聞、ボストン美術館
後援:米国大使館
概要:本展では、ミレー生誕200周年記念として、『ボストン美術館3大ミレー』といわれる「種をまく人」、「刈入れ人たちの休息(ルツとボアズ)」、「羊飼いの娘」 など選りすぐりのミレーの作品を中心に、バルビゾン村で活動したコロー、ディア ズ、ルソーらの作品、またミレーの影響を受けたクロード・モネをはじめとしたフランスの画家らの作品を取り上げます。


ジャン=フランソワ・ミレー「羊飼いの娘」1870-75年頃 ボストン美術館

最後は今回発表された新出のミレー展です。ボストン美術館からミレーコレクションがやってきます。

興味深いのはミレーとアメリカの関係です。ミレーは1849年にバルビゾン村へ移住しましたが、1850年代にボストン出身の画家が当地に定住すると、彼らはミレー作品を母国へ持ち帰ります。その結果、アメリカではミレー愛好熱が高まり、早くも1880年代の終わりには、フランスを凌ぐほどのミレーコレクションが形成されたそうです。

その多くが現在はボストン美術館に所蔵されていますが、展覧会ではそうしたアメリカにおけるミレー受容過程についても紹介されるそうです。アメリカ発のミレー展ならではの着眼にも注目しましょう。

さて最後に三菱一号館をまるごと楽しめる一冊が登場。その名も「まるごと 三菱一号館美術館 近代への扉をひらく」です。

「まるごと三菱一号館美術館―近代への扉を開く/東京美術」

現在開催中の「名品選2013ー近代への眼差し 印象派と世紀末美術」に準拠しつつも、同館のコレクション全般を豊富な図版とあわせて紹介。また高階先生と高橋館長の対談の他、中野京子さんや山本容子さんによる私の一点など、テキストとしても読み応えもあるガイドブックとなっています。

レイアウトもなかなか洒落ていて、お値段も手軽。書店で是非ご覧になって下さい。

展覧会スケジュール、及びリリース内容は2013年10月現在のものです。今後変更になることもあります。最新の情報は三菱一号館美術館のWEBサイトをご参照下さい。
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「トスカーナと近代絵画」 損保ジャパン東郷青児美術館

損保ジャパン東郷青児美術館
「フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス」
9/7-11/10



損保ジャパン東郷青児美術館で開催中の「トスカーナと近代絵画」展へ行ってきました。

13世紀末から15世紀にかけてイタリアを発端にヨーロッパを席巻したルネサンス。再生や復興をも意味する芸術活動、その意味で実はイタリアにはもう一つのルネサンスがあったことをご存知でしょうか。

時代は下ること数百年、国の統一を果たした19世紀の後半です。以降、20世紀前半までにおいて、イタリアでは様々な芸術の活動が沸き起こりました。

そのもう一つのルネサンスがテーマです。主にトスカーナ地方に焦点を当てながら、19世紀より20世紀に至るイタリアの近代絵画の潮流を紹介しています。

ではまず前史から。ロマン主義の影響です。19世紀になるとルネサンスに倣った理想的な美と、自然を有り体に捉えた美を合わせたロマン主義絵画が人気を集めます。


ガエターノ・サパテッリ「チマブーエとジョット」1847年頃

サバテッリの「チマブーエとジョット」は言うまでもなくルネサンス絵画の生みの親でもあるジョットをモチーフとした作品。少年時代の彼が羊の絵を描いているのを画家チマブーエが見出したというエピソードを歴史画として表しています。

お雇い外国人教師として日本人に洋画を指導したフォンタネージもこの時代の画家です。「サンタ・トリニタ橋付近のアルノ川」の豊かな叙情性と言ったら比類がありません。


アントニオ・フォンタネージ「サンタ・トリニタ橋付近のアルノ川」1867年

現在のトスカーナの州都でかのルネサンスの興ったフィレンツェの夕景を描いた一枚。朱色に染まるアルノ川。川面には小舟が浮かんでいる。広がる空と陽の光を反射する川の対比。石の実感を巧みに引き出した建物の描写も細やかでした。

2010年に東京都庭園美術館で開催されたマッキアイオーリ展を覚えておられる方も多いかもしれません。

イタリアの印象派ことマッキアイオーリ。1850年頃、イタリア統一運動のリソルジメントの動向とも重なり、いわゆる『進歩的』な画家たちが、アカデミズム絵画から脱却しようと取り組みはじめます。

自然の移ろう姿を素早く描くため、形態を大まかな色班、「マッキア」で捉えようとした画法。元々、16世紀のヴェネツィアで用いられていましたが、それをまた新たに甦らせたわけでした。


ラファエッロ・セルネージ「麦打ち場」1865年

マッキアイオーリの画家たちが描いたのは自然の理想的な姿です。小品ながらも地平線を望む広大な空間の広がるセルネージの「麦打ち場」はまさに見事の一言。白い雲の浮かぶ明るい空色と積みわら。そして作品を強く印象付ける物干し。鶏と犬の動きのある描写も目を引きます。


クリスティアーノ・バンティ「夕焼け」1870~80年頃

どこかバルビゾン派を思わせるバンティの「夕焼け」も美しいものです。素早い筆致で描かれた農村の女性。木立も草もセピア色に染まっています。手前の会話する二人の女性と右奥の少女。縦長の構図も効果的でした。

さて1871年にイタリア王国の首都がフィレンツェからローマへかわると、新たな芸術運動の中心はローマやミラノに移ります。

以降、20世紀へ至るイタリア近代絵画は実に多様。一言で表すことは出来ません。例えばギーリアの「貝殻のある静物」はどうでしょうか。


オスカル・ギーリア「貝殻のある静物」1925年頃

藍色を帯びた深いブルーとワインレッドのカーテン。前にはピンク色の貝殻と透明なガラスの器が置かれている。確かに静物画ではありますが、その佇まいは何やら神秘的です。


オットーネ・ロザイ「山と農家」1944年

ロザイの「山と農家」も不思議な印象を与えます。表題の如く水辺越しの山と家屋が描かれていますが、筆致は重く、何やら暗鬱。ちなみに彼は未来派に共感しつつ、セザンヌにも影響を受けていたそうです。

20世紀のイタリアはファシスト政権の支配下に入ります。ムッソリーニを首班とするかの政権、芸術に関しては復古的ながらも、ある程度の多様性は認めていたそうです。また展覧会や作品の販売制度を整備することにも積極的でした。その結果、例えば美術品の流通規模が10年間で10倍になります。議論はあるかもしれませんが、かの政権下の時代、一概に芸術活動が下火となったとは言えないようです。


ジョルジョ・デ・キリコ「南イタリアの歌」1930年頃

キリコの「南イタリアの歌」はルノアールに魅せられていた頃の作品です。また彼の弟にあたるシローニの絵画も展示されています。

いわゆる名画ばかりでもなく、小品も多数。決して華やかな展覧会とは言えません。しかしながらあまり着目されないイタリアの近代絵画を時に社会や歴史からも紐解く企画。興味深いものはありました。

オペラファンには嬉しい一枚、ロッシーニの肖像画に目が止まりました。画家の名はダンコーナ。クールべやコローとも親交のあったという人物です。横目でやや赤らんだ顔で笑うロッシーニ。人間味があります。作曲家として成功した彼の姿が巧みに捉えられていました。

11月10日まで開催されています。

「フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション トスカーナと近代絵画 もうひとつのルネサンス」 損保ジャパン東郷青児美術館
会期:9月7日(土)~11月10日(日)
休館:月曜日。但し9/16、23、10/14、11/4は開館。
時間:10:00~18:00。毎週金曜日は20時まで。(入館は閉館30分前まで)
料金:一般1000円(800)円、大・高校生600(500)円、65歳以上800円、中学生以下無料。
 *( )内は20名以上の団体料金。
 *10月1日(火)はお客様感謝デーで無料。
住所:新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階
交通:JR線新宿駅西口、東京メトロ丸ノ内線新宿駅・西新宿駅、都営大江戸線新宿西口駅より徒歩5分。
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10月の展覧会・ギャラリーetc

10月に見たい展覧会などをリストアップしました。

展覧会

・「日産アートアワード2013」 BankART Studio NYK(~11/4)
・「Drinking Glass 酒器のある情景」 サントリー美術館(~11/10)
・「ジョルジュ・ルオー展」 千葉市美術館(~11/17)
・「山寺 後藤美術館コレクション展 バルビゾンへの道」 Bunkamuraザ・ミュージアム(10/20~11/18)
・「横山大観展 良き師、良き友」 横浜美術館(10/5~11/24)
・「ウィリアム・モリス 美しい暮らし」 府中市美術館(~12/1)
・「須田一政 凪の片」 東京都写真美術館(~12/1)
・「京都 洛中洛外図と障壁画の美」 東京国立博物館(10/8~12/1)
・「東大寺ー鎌倉再建と華厳興隆」 神奈川県立金沢文庫(10/11~12/1)
・「光悦ー桃山の古典」 五島美術館(10/26~12/1)
・「川瀬巴水 前期 大正期から関東大震災後の復興期までの作品」 大田区立郷土博物館(10/27~12/1)
・「モローとルオー」 パナソニック汐留ミュージアム(~12/10)
・「描かれた都ー開封・杭州・京都・江戸」 大倉集古館(10/5~12/15)
・「ターナー展」 東京都美術館(10/8~12/18)
・「印象派を超えて 点描の画家たち」 国立新美術館(10/4~12/23)
・「五線譜に描いた夢 日本近代音楽の150年」 東京オペラシティアートギャラリー(10/11~12/23)
・「森村泰昌ーレンブラントの部屋 再び」 原美術館(10/12~12/23)
・「小林かいち展」 竹久夢二美術館(10/3~12/24)
・「カイユボット展 都市の印象派」 ブリヂストン美術館(10/10~12/29)
・「近代への眼差し 印象派と世紀末美術」 三菱一号館美術館(10/5~2014/1/5)
・「生誕100年!植田正治のつくりかた」 東京ステーションギャラリー(10/12~2014/1/5)
・「六本木クロッシング2013」 森美術館(~2014/1/13)
・「吉岡徳仁展/うさぎスマッシュ展」 東京都現代美術館(10/3~2014/1/19)

ギャラリー

・「楽園創造ー芸術と日常の新地平 vol.4 コンタクトゴンゾ」 ギャラリーαM(~10/12)
・「山本太郎 24/24-twenty four twenty fourth」 イムラアートギャラリー東京(~10/13)
・「小林孝亘ー夢みる2秒前」 西村画廊(~10/19)
・「千代田芸術祭」 3331 Arts Chiyoda(~10/20)
・「東美貴子展」 アルマスギャラリー(~10/26)
・「ホンマタカシ展」 TARONASU(~10/26)
・「出野虹大 偽花魔法蟷螂」 CASHI(~10/27)
・「羽山まり子ーマイホーム」 リクシルギャラリー(10/3~10/28)
・「竹村文宏ー真空」 児玉画廊東京(10/5~11/9)
・「江川純太展」 eitoeiko(10/19~11/9)
・「石田尚志展」 タカ・イシイギャラリー(10/26~11/23)
・「森村泰昌 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る」 資生堂ギャラリー(~12/25)

秋の展覧会シーズンということで大型展も目白押しです。東博の「京都展」、都美館の「ターナー展」、またブリヂストン美術館の「カイユボット展」の概要については、以前に参加した記者発表会のエントリにまとめてあります。



「特別展 京都」記者発表会(東京国立博物館:10/8~12/1)

「ターナー展」記者発表会(東京都美術館:10/8~12/18)

「カイユボット展」記者発表会(ブリヂストン美術館:10/10~12/29)


ご参照いただければ嬉しいです。

さて今回はそうした大型展から少し離れて、他に気になる展覧会をいくつかピックアップ。まずは大倉集古館の「描かれた都」展です。



「描かれた都ー開封・杭州・京都・江戸」@大倉集古館(10/5~12/15)

東博の「京都展」でも洛中洛外図などの京都の都市風景にスポットを当てていますが、こちらは表題の通り開封・杭州・京都・江戸の四都市に着目。「清明上河図」から蕭白、若冲、永徳、さらに修復後初公開となる久隅守景の「賀茂競馬・宇治茶摘図」まで。また山口晃さんの名が入っているのもポイントです。おそらく展示替えもあろうかと思いますので、早々に出かけるつもりでいます。

続いては根津の竹久夢二美術館から。小林かいちの展覧会です。


小林かいち「絵葉書 彼女の青春」より

「小林かいち展」@竹久夢二美術館(10/3~12/24)

かいちは大正から昭和にかけ、主に絵葉書や封筒などの分野で活躍したデザイナー。これまでも同館やニューオータニーなどで展覧会がありました。久々のかいちの回顧展。期待したいと思います。

10月末より大田区立郷土博物館で「川瀬巴水ー生誕130年記念」展がはじまります。


川瀬巴水「日本橋(夜明)」昭和15年

前期:「大正期から関東大震災後の復興期までの作品」 2013/10/27~12/1
中期:「昭和初期から10年代の作品」 12/7~2014/1/19
後期:「昭和20年代、及び晩年の作品」1/25~3/2


ご覧の通りの超ロングランです。会期は前・中・後期と三期制。それぞれ年代順に巴水の業績を辿ります。巴水の回顧展は11月に千葉市美術館でも始まりますが、こちらは巴水ゆかりの地、馬込での展覧会です。三期とも追っかけます。

それでは10月も宜しくお願いします。
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