◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

省略しても成立する話し言葉。

2008-02-15 19:30:31 | 言葉についてあれこれ
                    お、ひま種もらったのかぁ
 ふだんの話し言葉は、多くの言葉が省略されています。でも、肝心なことがちゃんと伝わるように省略しないといけませんね。
 「新居探しにびっくり」と聞いてどのような状況を想像しますか? 私は、まず、「おばけ」にびっくり! じゃないんだから、「新居探し」にびっくり! なんてありえないと思いました。これは、「外国で初めて新居探しをして、家賃の水準がとても高く、制度も違うことにびっくりしました」ということなのですが、この内容を大幅に省略して言うと、「新居探しでびっくり」となります。
 言葉を省略するとき、それにふさわしい助詞というものがあるのです。「新居探し」にびっくりしたわけではありませんね。「新居探しでびっくり」と言った後、「一体何にびっくりしたの?」と聞かれたら、「家賃の水準がとても高くて、制度も違うのね、びっくりしたわ」と答える、これが自然な会話です。
 「息子に『チョコもらった?』と問いただしたけど、答えなかった」はどうですか? 「息子に『チョコもらった?』と聞いて、息子を問いただしたけど、答えなかった」というふうに間を埋めてみると、「息子」が重複しますし、「問いただす」は、分からない点を聞いて明らかにするという意味ですから、「聞く」という意味も重複になります。
 では、「息子に『チョコもらった?』と聞いて、答えなかったから、余計に気になってしつこく問いただしたけど、息子は結局答えなかった」はどうですか? これだったら、まぁ、いいかも。これを省略すると、「『チョコもらった?』と問いただしたけど、息子は答えなかった」となります。
 でも、「問いただす」は、「うそつくな、正直に本当のこと言えよ」と迫る、あるいは、「怒らないから、本当のことを言いなさい」とすっごく怖い顔で迫る、というくらいのイメージなので、息子が女子にもてるのかもてないのか気になるお母さんがチョコをもらえたかどうか聞いているというほのぼのシーンには、「問いただす」はちょっと合いませんね(^^;)ニャハ。
コメント
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