◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「制止」と「静止」。

2008-02-08 19:25:19 | 気になる言葉、具体例
                        お手!
 散歩で、犬が飼い主をぐいぐい引っ張って勝手に行きたい所へ行くというのはいけないんだそうですね。犬のしつけについて教える番組で、専門家が犬のリードを持って一緒に歩いたり、ぱっと向きを変えたり、止まったり、座ったり、いろいろな動作をして、「りーどでせいしさせ、からだでおぼえさせる」と言いました。これを文字にするとしたら、どのように書きますか、考えてみてください。
 私は、「せいし」は「制止」だと直感したので、「制止させ」は変だ、「制止し」だろ! と思ったのですが、待てよ、「静止させ」かな? と迷いました。「制止」は、他動詞、そうしてはいけないと押しとどめること。「静止」は、自動詞、動きを止めてじっとしていること。したがって、「静止」なら「静止させ」でいいのですが、「制止」だと、「制止する」という行為の主体は飼い主ですから、「制止し」となります。まあ、言ったとおり「静止させ」と書くのもいいのですが、日本人が自動詞と他動詞をきちんと区別しなくなっている現状からいくと、本当は「制止し」なんだよなぁ~と思うわけです。
 では、よく出てくる例を二つご紹介します。「教員の資質を向上するために」、どうですか? 「~を向上する」は実によく出てきますが、これは明らかな誤りで、正しくは、「教員の資質を向上させるために」もしくは「教員の資質が向上するように」です。次はこれ、「目標を達成させるためにはプランが必要で」なんて言うから社長かと思ったらそうじゃない、まさに目標を達成するために頑張る社員じゃないですか! ややこしいっつーの!(`ε´)プンプン。
コメント
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