エビデンス。

以前、じいちゃんの鉞にバーコの空柄を挿げ替えた話で、柄の材質はたぶんヒッコリー、と書いていた。
その1年ほど後、柄に刃がめり込んでたのを直した話では、タイトルもズバリ「ヒッコリー」にしていた。
しかしこのほど、その記事にアクセスが結構あったので確認してみたら、バーコのサイトでこの柄の材質は「アッシュ」であることがわかった。

筆者の確認が甘かった。ここにお詫びして訂正します。

ヒッコリーはクルミの仲間で、ピーカンナッツとかペカンナッツとか呼ばれるナッツの木で、かなり堅い。それに対し、アッシュはアオダモとかヤチダモの仲間のタモ類で、バットの材料としても知られる軽くて衝撃に強い木だ。これの前に挿げてた柄は自作のヤチダモの柄だったけど、重量感や肌の感じはバーコのこの柄によく似ている感じがする。
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ヒッコリー。


1年前にバーコの洋斧の柄に挿げ替えた、じいちゃんの鉞。
柄材はたぶんヒッコリー材だ。


1年後の現在。おわかりいただけるだろうか。
刃の櫃より下の部分は柄より薄いので、その部分で薪を割ると柄にも当たってしまうからささくれているが、問題はそこじゃない。


やはり柄材のヒッコリーは柔らかいからだろうけど、櫃に対して刃が大きくグリップ側にオフセットしている鉞では、打撃の衝撃で刃がグリップ側に回って、わずか1年で櫃が柄にめり込んできてしまっている。
1枚目の挿げ替え直後の写真と2枚目の1年後の写真とでは、刃と柄の角度が変わっているのがわかる。
この写真は櫃の背中側の柄側で、刃側がめり込んだ分、隙間が空いてしまっている。
櫃にまっすぐ衝撃が伝わるように使えればいいんだろうけど、なかなかそううまくはいかない。


修正してみよう。
まずは柄を壊さずに楔を抜く。


櫃穴の前後に鉄板を打ち込んで、柄に付属していたプラスチックの楔を打った。


櫃穴の刃側を柄側から。
鉄板が入って、少しはめり込みにくくなるかな。


修理なった鉞で、このところ切り出してきた丸太を割りまくる。
乾燥用の薪棚があっという間に満杯になってしまった。
丸太はまだ多量に残っている。乾燥場所作らなきゃないな。
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隠蔽力が足りぬ。


ゴムに塗っても割れたりしないという塗料を買ってみた。
水性だから、室内で施工できる。


愛用のゴムボーイ300の柄に塗ってみよう。


アルコールで脱脂してからの筆1回塗り。
下地スケスケ。


2回塗り。
先端だけディップしてみた。


ディップしても下地が透けている。


4回塗って、やっとこの程度。
なかなか下地が隠れない。
塗装が下地を隠す能力を、隠蔽力、という。色でいうと、白や黄色、赤は一般に隠蔽力が低く、グレーや銀は隠蔽力が高い。この黄色は隠蔽力が著しく低いようだ。
でも、さすがゴム用塗料を謳うだけあり、塗装してもきちんとゴムで、握っても滑らないし、剥がれてくる気配もない。
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物欲。


長年愛用の鉈の話をした舌の根も乾かぬうちにというかなんというか、12年ぶりに新たな山の武器を買ってしまったのだ。


発売元は三条のコンヨさん。


剣鉈と呼ばれる、剣先の鉈。
枝を払うだけなら、切っ先のない腰鉈で用は足りる。剣先鉈は腰鉈に刺す機能を追加した山包丁だ。腰鉈よりだいぶブッソーな見てくれだけど、近年、俺の歩く現場でもクマの出没が増えてたりするから、まあお守りというか気休めというか、だ。


「ツバ付き両刃鉈 耕作」という商品。


並べてるのは20cmの物差し。
長い。
柄の根元は輪でなく、鍔になっている。洋風に言うならシングルヒルトか。


左側の刻印。刃長27cm。
左を見てわかる通り、両刃だ。


ピカピカメッキの鍔に映った刃のアゴで、鋼割り込みなのがわかる。


鉈の背を叩くな、とか、薪割りには向かない、とか、常識的な注意が書かれている。
最近はわざわざナイフの背を棒で叩いてまでして小さいナイフで薪を割るのが流行ってるようだけどな。


右側には「耕作」と刻印されている。製作者の銘かもしれない。
鉈は写真の人差し指あたりでバランスが取れるので、重心はだいたい「作」の字のあたりだ。
柄は腰曲がりでなく、刃と一線にまっすぐ挿げられている。


切っ先はかなり強いカーブになっていて、峰側は大きく面が落とされて、突刺力を出している。洋風に言えばフォールスエッジだっけ。


峰は山型に成形されている。
刃厚は、一般的な腰鉈同様の6mm。5mmくらいのが普通の剣鉈としては、厚い。


この手のいわゆる剣鉈は、刃幅30mmくらいの細身のものが多いようだが、コイツは刃幅45mmと、腰鉈の細身サイズくらいある。


厚くて幅広なので、鉈本体の重量は、実測601gもあった。
12年前に買った細身の腰鉈は5mm厚の45mm幅、210mm長で481g、鞘込みで670gだったから、かなりの迫力だ。


付属の鞘込みだと791g。夕方近くなれば山に投げて帰りたくなるかもしれないな。


柄は鉈としては普通で、白樫材にすり割りを入れて茎を差し込み、先端を輪を兼ねた鍔で押さえている。ナイフならコンシールドタングってやつになるのかな。


鉈らしく、刃と柄の固定は目釘2本。目釘は反対側まで抜けておらず、茎を少し抜けたあたりまでしか届いていない。
最も強烈な打撃で使用される部類の刃物である鉈の柄の、伝統的な固定方法だ。よく、ナロータングやコンシールドタングが強度がないとかってモノの本に書いてたりするけど、書いてるヒトはどんな強度を期待してるんだべな。


柄尻は面取りされている。


この鉈も、柄のすり割りを埋めておこう。
今回は桐材を、ボンド付けて溝に叩き込む。


接着するまでしばし放置。


ボンドが固まったら、埋め木を整形。


こんなもんか。


一方、付属の鞘は、朴の木鞘にビニールレザー巻き。


吊り輪はビニール。
これすぐ切れそうだな。輪も小さくて、俺の使ってるゴツい作業ベルトがくぐらない。


鞘も作っちゃおう。
例の赤い廃材を炙って曲げて。


鯉口のとこは鍔を抱くように成形。
ニョキニョキ出てるのは、リベット板金用仮止めクランプのクレコ。


左腰に少し斜めに、刃を上に吊るデザイン。
ベルトも廃品リサイクル。


リベット締めて整形。


吊るとこんな感じ。
鉈は鞘の中で少し遊ぶ。


鯉口の、鍔を抱く部分。


逆さにしても鍔が引っかかるから落ちない。


切っ先は鞘の先から1センチ弱引っ込んでいる。


ねじれずにできた。


ニス塗りの柄は滑りそうだから、グリップテープを巻いてみよう。


20年くらい前の品。


さすがに一部表面が剥離してたりしたれど、まあいんでないかな。


ド派手にいくぜ。


鞘込みで689gになった。100gの軽量化。これなら今の腰鉈と大差ない。
あとは使ってみて、だな。
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12年ぶり。


12年前に買ったこの鉈。この写真は当時のブログから。


この鉈は今も愛用しているのだが、それだけに、木鞘の鯉口の部分が、度重なる抜き差しで、削れたというか切れ込まれてしまってきている。
鯉口に巻かれた銅板まで切れてきてしまって、このままだと吊革のベルトまで切れてしまいそうだ。


その吊革のバンドもだいぶへたってきた。


まあ、実戦に持ち出してればこんなもんだろう。鞘も消耗するんだから、よくもった方かもしれない。


で、いつぞやの赤いファイルの廃材で、鞘を作った。
ベルトは古い刈払い機用ハーネスの廃品からもらった。
ベルトが斜めだけど、鞘に鉈を収めた時の重心位置にまっすぐ合っているから、左腰に、刀のように峰を下に吊ることができる。


左から見ると、こんなふうになる。刀ほど水平に近くすると山の中で引っかかって邪魔くさいから、腰曲がりの柄が垂直よりやや前傾くらいにしている。これなら山の中ではブラブラして引っ掛かりにくいし、まっすぐ下に下がってないから腿にベチベチ当たって気になることもないだろう。
柄の輪のあたりを鞘の鯉口で抱くように成形してあるから、逆さにした程度じゃ鉈は落ちないけど、抜き差しに固いほどでもない。
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面直し。


ポケット砥石。
文字通りナイフの鞘のポケットに入ってたり、彫刻刀に付属してきたりする。
刃先に軽く当てて、付着したヤニや脂をそぎ落として一時的に切れ味を回復させる、いわゆるタッチアップに用いるのだが、長く使ってると面がダレてくるから、たまに直してやる。
直すには、ありきたりのダイヤモンドシャープナーに当てて擦るだけだ。
写真で明るいグレーの部分が当たったところ、暗いグレーの部分が当たってないところ。つまり、この砥石は真ん中がダレて凹んでいる。


どんどん擦り合わせていくと、だんだん真ん中の暗い色の範囲が小さくなっていく。


全体が同じ色になれば、擦り合わせ完了。
砥石の粉が飛散するのが嫌なら、水を付けてやればいい。
砥石とダイヤモンドシャープナーでは、ダイヤモンドシャープナー側が負けることは、普通はまずありえない。ただし、ダイヤモンドシャープナーはサンドペーパーと同様、ダイヤの粉を鉄板に接着してるだけなので、一度に大きく削ることはできないし、力を入れて擦ると接着してあるダイヤ粉が剥がれてしまうことはある。
ダイヤモンドシャープナーを使うときは、鉄ヤスリを使う時と違い、とにかく力を入れすぎず、力でなくストローク回数で削ることを意識する。
シャープナー側が目詰まりしたようなら、消しゴムで擦ってやれば目がキレイになる。ポケット砥石とかで空研ぎしたときに砥石が黒く目詰まりするのも、サンドペーパーが目詰まりしたときも、消しゴムである程度落とせるぞ。
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また鞘。


いつぞやの折込鋸刃の切り出し小刀。
なにしろ切れるから、抜き身は剣呑なので、鞘を作った。
また廃ファイルのプラスチックの熱成形だ。
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挿げ替え。


涼しくなってきたし、薪作りを再開。


こんな切れ端も、焚きやすい燃料になる。


そんな中、かーちゃん愛用の武器だった1.5kgの薪割りが、割った時に変な音がしたという。


柄が割れていた。
バットが折れるときみたいに変な音がするんだな。


近所のホムセンで、薪割り用の空柄を買ってきた。


長さは同じ900mm。


しかし、折れた菊堂というブランドの専用品でないため、柄頭のサイズがずいぶん大きかった。
上の段が、折れた柄と、柄を外した菊堂の刃。下の段は、2kgの大きい古斧と、今回買った空柄。今回買った柄は、大きい古斧に使えるくらい柄頭がでかい。


柄頭をカンナで調整して、櫃に合わせる。
柄はものすごく硬い樫材なので、簡単ではない。
でも、納得いくまでピッチリ合わせないと、後悔すること請け合いだ。


サイズがいい感じになったら、楔用の溝を切る。


柄を刃に叩き込む。


楔を打つ。


試し打ち。
前の柄より少し太いのか、少し重くなったようで、打撃が重くなった。
いんでないかね。
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リサイクル。


仕事で使う折込鋸は、切れなくなったら刃を交換して使うので、刃は使い捨てだ。
その捨てられる刃をシャーリングでぶった切って、刃を付けて切出し小刀にしてみたのがこれ。
板厚が刈払い機の丸鋸の半分強と薄いので、かなり鋭く研いでも、刃はこんなもんになる。
こんなんでも、鉛筆削るくらいには十分使えるぞ。
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裏返す。


生垣の剪定に使っている、強力刈込鋏。
違和感、おわかりいただけるだろうか。


柄が片手で握り込めるほど近くなっている。
実際、これで作業すると、左右のゲンコツがぶち当たってしまう。


柄の目釘のとこが割れているのだ。
柄を外してみたところ、目釘はコミの裏にちょっと出る程度だった。つまり、柄はコミが入るすり割りの、目釘側でしか支持されていないのだ。
割れてないほうの柄も、釘穴が緩むか釘が曲がるかで、柄の角度が狭まっている。


アフター。
柄を裏返して少し開いた角度にして、割れてなかった側に目釘穴を新たに開けて、目釘を打った。
これでしばらくは大丈夫だろう。
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