増し締め。
冬タイヤ交換後の車輪脱落事故が多発しているらしい。
よく、タイヤ交換後は100kmくらい走ったら「増し締め」しよう、などといわれる。増し締めというのは、締まってるものをさらに力任せに締め付けるのではなく、既定のトルクでホイールナットを締めるほうに回してみて、回らなければきちんと締まってるし、回ってしまえば緩んでいた、ということになる、というものだ。
もっともこれは、最初にある程度きちんと締め付けられていることが前提の話で、そもそも最初から締め忘れていたり、不均等なトルクでテキトーに締められていた場合は、100kmと走らないうちに緩んで車輪脱落してしまう例も少なくない。また、よく「手ルクレンチ」などといって締め付け加減が手でわかるようなことを言う者がいるが、ごく一部の、トルクレンチの測定と手ルクレンチを100回比較して100回誤差なく作業できるような特殊能力に秀でた方を除き、ほぼ大半は思い上がりと自惚ればかりのウソッパチだ。
そんな特殊能力がない普通のプライベーターは、大事なホイールナットの締め付けにはきちんとトルクレンチを使おう。
写真はトルクレンチ。売ってるモノはピンキリだけど、AM誌などのテストを見る限り、安物のようでも実用上支障あるほどの大きな誤差はないようだ。大事なのは、その力で4本なり6本なりのホイールナットが均一に締まっていることなので、ぜひ手に入れて活用していただきたい。車種ごとのホイールナットの規定トルク値は、取説に書いてあるし、「車名 ホイールナット トルク」とかで調べればすぐわかる。
なお、トルクレンチは測定器で、工具ではない。写真のトルクレンチも逆転できるラチェットヘッドが付いてるけど、締まってるネジを緩める作業に使うべきではない。逆転機能は、ソケットがナットに齧ってしまったときなどに、一時的に逆転側に少し力を加えて齧りを外す、といった用途にとどめるべきだ。もちろん、左(反時計)回りの測定が可能なトルクレンチであればその限りではない。