かぶれの世界(新)

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

石油高騰の行方(2)補足

2005-09-03 23:48:11 | 社会・経済
今朝の朝日新聞によるとハリケーンの影響で閉鎖した石油精製施設は全米の精製能力の1割らしい。メキシコ湾岸は米国の石油の25%、天然ガスの20%を産出する。消費地を結ぶパイプラインも5割程度しか稼動していないと報じている。S&PはGDPへの影響は0.5%程度と予測している。

先週のタイム誌上海支局の記事によると原油価格が1バレル60ドル以上になり最もインパクトを受けているのはインドネシア、フィリピン、韓国から中国などのアジア・パシフィック諸国で、価格増が総GDPの1.2%になるとしている。インドネシアは石油補助金の負担急増で財政悪化し最悪アジア危機の二の舞になる懸念がある。フィリピンでは政府の無策に対する不満が大統領の立場を一層弱めている。中国も補助金を出し原油価格変動が経済に影響を与えないようしているが、実は結果として石油会社の経営を圧迫することになり、経営悪化を避けるため商品の出荷を抑制する物不足現象が既に出始めたと報じている。

Mスタンレーの花形アナリストのSローチ氏によると、米国消費者の貯蓄率が実質0%になり柔軟性を失い、住宅バブルに基づく過剰消費のパターンが70年代不景気とよく似ていることから世界不況のリスクが高まり、原油高が引き金になり得ると警告している。最も影響を受けるのは日本を除くアジア諸国である。その理由はこれらの国々はエネルギー効率が非常に悪くかつ国内市場が小さいので米国の消費経済に過剰に依存する体質だからである。日本は世界一エネルギー利用効率が良く国内市場が上向き始めているため比較的原油高の影響が少ない。インドは中国との経済関係が薄いのでその分悪影響を避けられる。しかし世界不況になれば多少の程度の差はあっても中国との貿易額が多い我国も深刻な影響を受けることに違いはないと。

これまでの市場の反応を見る限りアナリストの不安をよそに40ドルから50ドルになっても、更に60ドルになっても最終的に市場は吸収し咀嚼してしまった。私は米国の住宅バブルが軟着陸すれば原油高は70ドル台になってもパニックにならず適切な手を打てばやり過ごせると半ば期待し信じたい。■


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする