先に発表された第2四半期のデルは売り上げ実績が予測を下回り市場を失望させた。その背景にデルが新しい事態に対処できていない構造的な問題があることが指摘されている。デルはノートパソコンを始め売り上げを増やしたのだが、売り上げ台数増加のペースが低価格化の進行に追いつかなかったのがその理由である。パソコン事業成長の理論的バックボーンだったムーアの法則が40年経って始めて成り立たなくなりつつあるように見える。
いまや米国ではベアボーンと呼ばれるデスクトップ・パソコンの基本部分の価格は300ドルまで低下してしまった。パソコン本体では利益を出せないので大容量のディスク、DVD等を内蔵させ付加価値を高め、更に液晶モニターやプリンターなどの周辺機器の販売を増加させることによって拡販に努めてきたが不十分だった。デルは単価を高める為コンシューマ(個人)向けノートパソコンの販売比率を高めることに成功したが、相対的に周辺機器の需要を伸ばせなかった。
皮肉なことにこの市場変化が劣勢だったヒューレット・パッカード(HP)を生き返らせることになった。HPはプリンターのトップメーカーであり個人市場での売り方を知っている。HPはこの市場環境で売り上げを伸ばし始め、これを見て一時的な現象としてではなく今やデルより優位な立場に立っているという見方が出てきた。
従来パソコン・ビジネスはトータル・サプライ・チェーンを徹底的に合理化し棚卸を減らしキャッシュフローを最大にすると勝ち抜けるビジネス・モデルであった。それは商品をパソコンに固定してムーアの法則に基づきインテルや他のメーカーが付加価値を高めた部品を次々と提供し続けることを前提にして成り立っていた。しかし、デルの予想外の売り上げ低下は従来ビジネス・モデルが成り立つパソコン本体の相対的な価値が低下し、成長の為にはマーケティング戦略や製品戦略の見直しが必要になってきたことを意味する。
日本市場でも低価格化の進行が著しい。GfK Japanによるとこの夏は前年比2桁増と久方ぶりにパソコン販売は好調に推移したが20%前後の低価格化が進行し、販売金額は前年を下回る見込みである。平均価格が大幅に下がり前年比3万円程度安くなった為である。それでも日本市場の特性として消費者のAV機能など付加価値を評価して買う志向は健在で依然12万円台である。しかし、その分更なる低価格の波は今後も避けられそうもないと予想される。■
いまや米国ではベアボーンと呼ばれるデスクトップ・パソコンの基本部分の価格は300ドルまで低下してしまった。パソコン本体では利益を出せないので大容量のディスク、DVD等を内蔵させ付加価値を高め、更に液晶モニターやプリンターなどの周辺機器の販売を増加させることによって拡販に努めてきたが不十分だった。デルは単価を高める為コンシューマ(個人)向けノートパソコンの販売比率を高めることに成功したが、相対的に周辺機器の需要を伸ばせなかった。
皮肉なことにこの市場変化が劣勢だったヒューレット・パッカード(HP)を生き返らせることになった。HPはプリンターのトップメーカーであり個人市場での売り方を知っている。HPはこの市場環境で売り上げを伸ばし始め、これを見て一時的な現象としてではなく今やデルより優位な立場に立っているという見方が出てきた。
従来パソコン・ビジネスはトータル・サプライ・チェーンを徹底的に合理化し棚卸を減らしキャッシュフローを最大にすると勝ち抜けるビジネス・モデルであった。それは商品をパソコンに固定してムーアの法則に基づきインテルや他のメーカーが付加価値を高めた部品を次々と提供し続けることを前提にして成り立っていた。しかし、デルの予想外の売り上げ低下は従来ビジネス・モデルが成り立つパソコン本体の相対的な価値が低下し、成長の為にはマーケティング戦略や製品戦略の見直しが必要になってきたことを意味する。
日本市場でも低価格化の進行が著しい。GfK Japanによるとこの夏は前年比2桁増と久方ぶりにパソコン販売は好調に推移したが20%前後の低価格化が進行し、販売金額は前年を下回る見込みである。平均価格が大幅に下がり前年比3万円程度安くなった為である。それでも日本市場の特性として消費者のAV機能など付加価値を評価して買う志向は健在で依然12万円台である。しかし、その分更なる低価格の波は今後も避けられそうもないと予想される。■