かぶれの世界(新)

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カトリーナを巡る非難合戦

2005-09-06 20:46:35 | 国際・政治
ハリケーン・カトリ-ナはニューオーリンズを水浸しにし、対応のまずさから予想を遥かに超える大災害となった。事前に避難できず取り残された数万人の人達がライフラインを絶たれ犠牲者が増えていくのに、救援作業が遅々として進まない様が毎日24時間テレビで実況中継された。国中が怒りメディアは魔女狩りを始めた。海外諸国はアフリカで見なれた映像が米国で起こっているのを見て驚いた。JR西日本の大事故の報道を思い出すが、それでも日本のテレビ放送に比べると過「情」にならないようプロのジャーナリズムとしての姿勢は保っている気がする。CNNは未だに24時間殆どの時間を被災報道に当てているが、全体としては粛々と事実を伝えるという感じを受ける。

ブッシュ大統領がすぐに被災地に行かず、イラクに駆り出され手薄になった州兵の出足が悪く、担当官庁(FEMA)の不適切な対応など当初はホワイトハウスに非難が集中した。事前に危険が予測されたのに堤防強化の予算を削ったことも非難された。ブッシュ大統領は予定を変更し被災地に赴き、対応が十分でなかったことを認め州兵を増派、必死で信頼回復に努めている。一方で市や州の対応もひどいもので、今や非難の矛先はブッシュ氏から地元政府に向かいつつあるように見える。ニューオーリンズ市長はこれに反発し4文字言葉で連邦政府の支援の遅れを非難するインタビューが何度も放映された。(またもや天才参謀カール・ローブの戦略との声もある。ルイジアナ知事もニューオーリンズ市長も民主党である。)FEMA長官も初動のまずさに無茶苦茶な言い訳し、何度も放映されている。多分ブッシュ政権が総括する時の最初の犠牲者になるだろう。

このような状況をどう見ているか米国の友人に聞いてみた。彼が反ブッシュであることを見こして「米国民はブッシュを大統領に選んだ付けを今払っているのではないか」とかなり不躾な質問をした。彼はメールのニュアンスとしてはニヤッと笑ってその見方に賛成すると言い、次のように続けた。予報通りのコースをハリケーンが辿っていったのにその後に州兵がいなかったのには彼と話した人は皆本当に驚いている、今回はホワイトハウスから地方政府までの全システムが適切に対応しなかったと思うと応えた。特にリーダシップの欠如が致命的だった、9/11時のNY市長と知事がいればこんなことにはならなかったろうと。

9/11復興のシンボルは誰の目にも明確にジュリアーニ市長であった。しかし今回の被災地はイギリス全土と同じという広大な地域で被害は3州に跨り、対象はニューオーリンズ市だけではない。避難地もテキサスなどの他州と連携してやらねばならない。一市長の手にはとても負えない。被害の規模と深刻さに圧倒され適切な手が打てなかったように見える。ニューヨークでは皆ジュリアーニを信頼し、こんな声は出なかった。南部の自主性がない指示待ち気質が影響しているというのが友人の見方であった。だとしたらブッシュは今からでも遅くないから9/11のときと同じように被災地に赴き、知事や市長と一緒にヘルメットを被って救援作業中の州兵や警察をねぎらい勇気付けるべきと私は思う。友人にはその旨メールを打ったが米国でそういう声はないのだろうか。

クリントン前大統領はCNNのインタビューに応えて、一旦落ち着いたところで何故今回のような悲劇が起こったのか全てのプロセスを検証しなければならないと主張した。私も是非その結果を見てみたい。■
訂正:前回、カタリナと言ったがその後の報道に合わせてカトリーナと修正します。


コメント
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