耐震偽装問題の初期の立役者の一人ヒューザーの小島社長が突然テレビに出なくなった。何か理由があるはずだと思っていたら、立花隆氏のインターネット記事(日経BP)がその理由らしきものを説明しているのを見つけた。
「きっこの日記」というブログが耐震偽装問題について次から次へと内部情報を暴露しているらしい。テレビで自分に都合の良い発言をすると直ぐに事実と反すると暴露記事が公表され立場を悪くするばかりと認識したかららしい。
立花氏によるとブログの主は姉歯氏に近いインサイダーらしい。筆者の「とことんやってやろう」という強い意志を感じるという。何とヒューザーのホームページも「きっこの日記」にリンクを張ったという。
米国大統領選時の誤報がキャスターの首を取ったブログの影響力を思い起こさせる。事態を変えたのは新聞でもテレビでもない、インターネットだった。国会での民主党議員の的をついた質問の種明かしはこのブログから材料を得て質問を考えたということらしい。
内部告発者は常に身分保障の危険を感じながらやむにやまれず立ち上がる。インターネットはその点匿名性が確保されており、同時に一瞬にして情報を公と共有する強力な伝達特性を備えている。ブログは今後一層内部告発の有力な手段になりそうである。
その人しか知りえない情報を発信するのは、ある種の報道かもしれない。勿論、今後影響力を逆用する悪い例も出てくる恐れも十分考えられる。
米国で大統領戦後パーソナル・ジャーナリズムとしてのブログのあり方について、確かサンフランシスコで議論が交わされ、報道と同じ規律を求められたと聞いている。これは多くのプロのジャーナリストが質の高いブログを運営しているからである。
中国政府はこの危険性を十分察知して、自国内インターネットを管理する検閲システムをマイクロソフトの手を借りて構築したというのもうなずける。
日本の場合、ブログの活用がやや矮小化されている気がする。個人報道であれば報道人としての規律を守る必要がある。しかし、ブログのジャンルは報道の範囲にとどまらないのも事実、今回の暴露記事のような場合に同じルールは当てはまらないだろう。■