かぶれの世界(新)

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民主党政権の課題: 総論賛成各論反対のワナ

2009-09-25 18:30:07 | 国際・政治

米国で鳩山新首相が派手な外交デビューを飾っている一方、国内では前原国土相が就任早々難問にぶつかっている。一昨日は八ッ場ダム中止の現地視察、昨日は日本航空(JAL)再建問題と何れも自民党政権時代から解決が先送りされてきた難問だ。

民主党政権は国民の圧倒的支持を得て誕生した。本来なら政策が支持されたと言うべきところだが、今回は自民党と官僚に対する不信感から政策の内容より(官僚主導の)政策の決め方が、それを実現する為の「政権交代」が選択されたことは各種調査結果からも明らかである。

民主党の政策がそれ程支持された訳ではないとすれば、八ッ場ダム問題のように今後具体的な政策で「各論反対」が続出し、新政権は対応に苦慮する事態が起こるのは必然と私は予測する。これらは起こるべくして起こるいわば構造的な問題であり、二者択一の善悪の問題ではない。政権与党とは如何なるものか貴重な教訓を得ることになるだろう。

今までの民主党の役割は、多数の意見を反映した政治では救えなかった少数意見を伝え、境界領域にある人達に政治の光を当てる少数野党としての存在意義があった。しかし、一旦政権をとったらそうは行かない。先ず総選挙で示された最大多数の意思を尊重した政権運営が求められ、それに応えようとすれば新たな少数の意見や反発が出て来るのは当然といえよう。

ある意味、ポピュリズムを煽るメディアを利用した民主党が払う「ツケ」のようなものだ。何れにしろ、上記のごとく民主主義が多数の利益を優先する政治システムである以上、少数の不利益は必然的に発生する。次のステップとしてそれをどう救っていくか配慮していくアプローチしかない。

今後も同種の問題が続いて出て来るだろう。昨日も、子供手当てを貰えなくなる境界領域の人達は政策の根拠を問い、声高に自らの苦境への配慮を求める人達を伝えるニュースを見た。何故高校生を持つ親は手当てを貰えないのか、何故年収1千万円の人達にも同じ扱いをして手当てを与えるのか。

政府支援を求める声は止まらない。今日はJAL社長が再建の政府支援を求めて前原大臣と会い再建プランを説明したと報じられている。国民はこれら個別問題に民主党がどう対応するかじっと見守っている。だが、恐れることはない。

民主党はポピュリズムに直面しても基本原則を曲げず、支持を受けた政策決定プロセスに従って粛々と意思決定をしていくべきだと考える。これが政権誕生直後の難問題を切り抜ける最善手だと思う。

連立政権としての不安もある。それは連立与党の少数党が支持基盤の利益を主張し、全体最適を損なう事態が発生することである。かつて自社さ連立政権では社会党がコペルニクス的大転換して全体最適に順じたが、結果として社会党は存在意義を失った。

今回も彼らの支持基盤の利益確保は党の存続にとって死活的テーマであり、前例に倣って容易に妥協することはないだろう。そういう事態が生じる可能性は高い。鳩山内閣は政局(小沢氏が活躍する事態)にならないようにならないよう、参院選までの政権運営も重要な課題だ。■

コメント
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