天邪鬼の私が、理屈っぽい皮肉たっぷりの毒舌家であることは私を知る人の間では定着している。そのために時折、意図せず人の心を傷つけ、しかもそれを気付かず後悔することが良くある。もしかしたら年齢のせいで最近その傾向が強くなったかもしれない。
ということで内心は思っていても口に出さないことがある。私にはその程度で丁度いいのかもしれない。そういう時私と考えを同じくする声を聞くと、秘かにほくそ笑んでしまう。昨日何気なくFM放送を聴いていると、「韓国のキムヨナ選手の動きがとても優雅で女性を感じさせる」みたいなことを言う視聴者の声が紹介された。
オリンピックが始まって以来、有力な金メダル候補として浅田選手や安藤選手が微にいり細にわたり連日紹介され、とてもキムヨナが好きだとかいう雰囲気が私の周りでは無かった。我が家の食卓での会話でもそんなことを言うものなら冷たい視線が向けられる。
国別対抗である限りオリンピックでは日本人選手を応援しろよ、みたいな感じだ。そんなもんだから、この視聴者の勇気ある発言(と私には感じる)には嬉しくなった。でも、オリンピックが終るまでは私は言わないことにしている。
同列では議論できないが、先日のテレビ番組のアンケートで「日本を良くした人ナンバーワン」が小泉前首相だったと聞いた時、私にはそれに似た驚きだった。政権交代後で政治家が言うのは理解できるが、いわゆる評論家諸氏が殆ど例外なく小泉改革批判をするのには違和感があった。
今でも小泉改革を高く評価する私は、テレビから声を揃えて流れてくる小泉批判の前に、表立って積極的な小泉擁護をするのは気がひけた。それだけに、アンケートがどれだけの信頼のおける手法をとったのかはさておき、その結果を聞いてフィギュアスケート選手の好みに関するのと同種の気持ちになった訳だ。
先日の国母選手の報道のあり方は、その後熱が冷めて冷静な報道に変った。もっと活躍していれば私の天邪鬼的喜びが増したのだが。キムヨナと小泉氏についてはどうなるだろう。天邪鬼の私には興味ある展開になるかもしれない。■