3桁の数字を一瞬見て記憶し即座に逆から言えるかどうかで、認知症が始まったか判断できると先月テレビ番組でやっているのを見た。早速やってみると、3桁だと何とかできたが、4桁になるとどうも怪しかった。だがその次の指摘が、私をもっと不安にさせた。
トイレが近くなるのも認知症の一症状だと出演していた専門家か誰かが何気なく言った。既に10年前頃から昔ほど小便を我慢できないと自覚していた。小便の「キレ」も悪くなっていた。当時は膀胱周りの筋肉が衰えたせいだろうと思って、ジムに通い熱心に内腿や内転筋のウェートトレーニングをやり効果が出て安心していた。だが、最近又少し気になってジムに行こうと思っていた。
衰えは色々な形で現れる。特に「下」周りの衰えは話題にはしないが、最後に来て欲しいものだと常々思っていた。2年前に一人暮らしの母の糖尿病が悪化し尿意を感じなくなり、失禁で家中が小便臭くなり、トイレや洗濯機が黒かびで覆われていた時のショックはいまだに忘れられない。数日かけて家中を清掃しながら、私はこの時からそうはなりたくないと実感した。
同じ「下」の話でも、昨年「熟年性革命報告」(小林照幸2000文春新書)を読んだ時、老人ホームでの生々しい性のあり方を取材した報告書は、母の姿からは想像しえない老人の性がいささか衝撃だった。個人差は大きいとしても、老いると性欲が衰え性交しなくなるという先入観があったからだ。先端の老人ホームでも想定してない出来事の様で、どうしたものか途方にくれる感じだった。
具体的なデータに裏付けられてはいないが、健康な老人は死ぬまでセックスし無理に禁じると寿命に悪影響すら与え兼ねないことを示唆する内容で、私の先入観をすっかり塗り替えた。老いていく私としも気になるテーマで、先月CNNの健康欄に興味ある記事を見つけた。
それは意訳すると「新年の決意としてもっとセックスをしよう」と題し、欧米の学者が調査研究したセックスの効用を纏めて紹介した記事だ。それによるとセックスの10の効用を指摘している。頻繁にセックスをする人はそうでない人に比べ、長寿命、心臓機能、低血圧、乳癌・前立腺癌にかかり難い、痛みの耐性、肥満になり難い、ホルモンバランス、閉経症状の緩和、精液の充実を挙げている。
何となく実感として分かる気がする。CNNの健康欄にはこの性に関する報告が日本のニューズメディアに比べ多いことに最近気がついた。同じ頃、Gスポットが存在するか否か、存在するとすれば具体的にどこか、について世界の研究を真面目に報告していた。研究者が多いのも驚きだったが。
数日前にも、ティーンエージャーの性交経験年齢を上げる為に何が効果的かの調査結果を報じていた。しかし、特に注意していないので断定できないが、老人の性生活についての記事は記憶がない。我国では性を語るのはいささか恥かしさを感じるが、後数年で65歳以上が25%以上になる老齢国がその分野の先進国になるかもしれない。老人医療費が抑制できるかも。■