かぶれの世界(新)

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ガラパゴス化を促す不安つけ込みビジネス

2012-04-11 22:25:49 | ニュース

政府は食品の放射性セシウム汚染基準値が、昨年3月に急遽定めた暫定値より1/4~1/20に厳格化された新基準を定め今月から施行した。消費者により安心してもらう為というが、海外と比べて著しく厳しい基準で、世論や野党からもマスコミからも反対の声が無かった。例によって天邪鬼の私は、誰も文句を言わない時にこそ根本的な問題があるとあえて異議を唱えたい。

放射能汚染に敏感に反応する欧州でさえ食品に含まれるセシウム基準は、一般食品は1250、飲料水は1000であるのに対し、日本の新基準が夫々100(暫定500)、10(同200)と極めて厳しい。米国も欧州と同様で全食品1200である(単位は全てベクレル/kgである)。

門外漢の私が放射能の健康に与える問題は論じられないが、海外の基準値と一桁違う厳しさに殆ど誰も異議申し立てしない世論やマスコミに違和感がある。農家も表立ってクレームしないのは不思議だ、彼らは風圧を感じていると私は思う。というのも、むしろ声高き民意が厳しい基準値を求めたからであろう。フクシマを経験した日本は特別なのかもしれない。

的にはフクシマ以前も以後も何も変わらないが、人々の放射能を恐れる心が変化したと言うべきだろう。私の推測は人々の不安が加速度的に高まり、世界の他の国の人達の不安の度合いと異なるレベルが続いている、その不安レベルを反映(悪く言えば迎合)した基準値だと思う。

ところが自治体の中に、この厳しい基準値を越える自主規制値を設定し、農作物の出荷条件とするところが出てきた。更には、セシウム・ゼロの商品を出荷すると発表した食品メーカーまで出てきた。カリウムなど自然界に含まれる放射値がもっと高レベルなのに、セシウムだけを徹底的に減らした不合理な自主規制は、消費者の不安を少しでも和らげようとしているからだ。

こうなると世界から笑いものにされる恐れさえあると感じる。何故こうも日本人は不安がるのか、個人レベルの不安が連鎖反応的に広がり、風評被害とかの社会現象になるのか。この疑問に対して部分的にも答えている論評を見つけた。それは、チョット古いがニューズウィーク日本語版3月14日号の記事「世界一『不安』な日本人よ目を覚まそう!」(クォン・ヨンソク一橋大準教授)だ。http://www.newsweekjapan.jp/column/tokyoeye/2012/03/post-476.php 

今回の新基準値とは直接関係無いが、日本人に共通する性向を連想させ中々面白い記事なので時間があれば目を通して頂きたい。この記事から発展して、私はメディアが高視聴率を得る為不安を煽り伝播することにより利益を得る、不安につけ込むビジネスをやっている、それが少なくとも近年の日本人の性向に影響しているように感じる。

メディアは問題を指摘して警鐘を鳴らす役割と言うかもしれないが、世界標準から言うならその報道スタイルは明らかに間違いだ。世界中のニュース番組を見てほしい。新人(時に可愛い女の子)が、政治家にインタビューしたりましてや論評したりする国を私は知らない。それではせいぜい薄っぺらい感情的な反応しか期待しようが無い。

その結果として生まれた世論が政治を動かし、今停滞させ、今回のような世界にも稀な基準値を生む。私はこの10年その傾向が強まった気がする。少し乱暴だが、このような特異な発想の集積が我国を時々世界のどこにも無いガラパゴス化に導くと推測する。ガラパゴス化は決して携帯だけではない、このままだと商品から制度やシステムまでそうならないかと「不安」になる。■

コメント
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