かぶれの世界(新)

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覚悟のない原発反対(続)

2012-04-22 15:37:57 | ニュース

5月5日に北海道電力泊原発3号機が定期検査に入り、国内の原子力発電所が全て稼動を停止する。連日の報道を見る限り、最も原発依存が高いとされる関西電力の大飯原発34号機が5月の連休中に再稼動するのは難しそうだ。もうこうなったら覚悟したほうがいい。

国内で稼動する原発がゼロになる可能性が日増しに高くなっている。だが、原発再稼動を批判しその可能性が限りなく高まっているのに、その結果何が起こって何を準備しなければならないか、依然として具体策が私には聞こえてこない。誤解を恐れずに無責任な推測をすると、次に起こりうる電力料金値上げに大多数が反対の声を上げ混乱に陥るだろう。

懸念は料金値上げだけではない。原発を全て止めた場合の痛みを受け入れられず、支離滅裂な反対運動に立ち往生する姿は勘弁して欲しい。予想される電力供給不足に対し、僅かに橋下大阪市長が市民には節電を我慢してもらうとコメントしただけで、酷暑になった最悪ケースの具体的なプランなど無い様に感じる。

私から見ると、再稼動した場合としない場合の両方を検討し、何が起こるのか、何を対応すべきか誰も議論しないで、ひたすら神学論争をしているように聞こえる。こういう時にどうにも日本のメディアは頼りない。不便でも海外の「クオリティペーパー」と読み比べないと平衡感覚を失いそうだ。彼等の見方の一つは、原発ゼロで日本がどこに向かいどういう国になるかで、私もそこに注目する。国内では安全論争ばかり、全体が見えてないように私は感じる。

実際のところエネルギー調達と言う観点では、商社等が原発ゼロを前提に先行して化石燃料の調達に動いているという。当座の代替燃料は石油と液化天然ガス(LNG)のほかに選択はない。リスクは気候だけではない。既に大震災前の15-30%増の化石燃料輸入がこの数ヶ月続いている。その費用増加は年間で3兆円を上回ると推測されている。

世界第3位の石油輸入と第1位のLNG輸入国が輸入量を急に増やしたら、ちょっとしたきっかけで価格が更に高騰する恐れがある。1週間に世界12カ国からのタンカーが日本に向かい、その90%以上の原油がホルムズ海峡を通るという。緊張が続くイラン情勢が悪化しこの海峡が閉鎖されると、価格高騰や天候がどうであろうと日本は干上がってしまう。北朝鮮どころではないのである。

海外メディアの見方は日本が原発ゼロを続けると、気候変動とかエネルギー価格高騰にイラン等の地政学上のリスクなど、色々な状況変化に対し国の脆弱性が著しく高まるとみている。この脆弱性は財政悪化を招き、企業活動や雇用から国民の生活水準まで程度の差はあれリスク要因となる。政府の再稼動の動きの背景は正にここにあると思う。

原発ゼロを意思決定するのなら、供給可能なエネルギー量に見合った生活や経済活動を2段階か3段階に分けて準備することだと信じる。特に電力不足が予想される関西地区は先頭切って最悪ケースに対応できる準備をすべきだ。政府が再稼動を進めている以上、自治体には役割分担を超えてそうする責任がある。

個人的には1000年に一度の原発事故を恐れるなら、2年前の酷暑といわずせめて100年に一度の天候不順くらい万全の備えをすべきだ。住民や企業のコスト負担も先送りせず議論をすべきだろう。一般論で言うなら、受け入れるかどうかは議論しても意味が無い、中長期的には経済的合理性のないやり方は存続できない。

原発ゼロにすべきではないと私は考えるが、仮にそうなった時にエネルギー消費レベルを下げ、コストを支払う覚悟はある。高齢化で不可避の経済シュリンクと財政悪化がより早い速度で進むのも我慢しよう。だが、苦い薬は飲まない習い性が身に付いた世論は悪あがきしそうだ。若い世代には企業の海外シフトや雇用喪失に備えるよう強く勧めようと思う。■

コメント (1)
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