第1四半期を総括すると、金融緩和競争で世界の市場にお金が溢れ、刺激を受けた経済は徐々に回復基調にある。その牽引車になっているのが米国で、雇用改善(失業率8.3%)と資産効果による消費が予想以上に上向きになった。日本は復興需要と円高修正が景気回復の推進役になり、1-3月の実質経済成長率は3.4%(OECD予測)と上方修正された。
一方、欧州の実質経済成長率はマイナス0.3%(欧州委員会)に下方修正され、2期連続のマイナス成長で景気後退局面に入った。欧州向け輸出の比率の高い中国は、欧州向け輸出の不振が響いて今年は8.2%成長に鈍化するとエコノミストの予測を今日の日本経済新聞は報じた。その構図は、先進国の金融緩和が新興国のインフレを呼び、結果として新興国は引締めに迫られて成長が減速した。
以上が1-3月経過後の世界経済の状況である。今年初めの私の予測(下表)と比べてみると、何とOECD予測(2012)、OECDプランB(EUfail)よりも私の占いのほうがより現状に近かった。予測は大所で外れはなかった。細部において、米国より日本の成長をやや強く見たが現状は逆だったのと、中国の成長が思ったよりスロー(9%未満が8%前半から半ば)だったことである。
US EURO Japan China India Brazil
2012 2.0 0.2 2.0 8.5 7.2 3.2
EU fail ▲1.8 ▲2.0 ▲0.2 7.4
占い 2.0- ▲0.3 2.0+ 9.0-
続いて個別占いのハイライトとその見直しを簡単に紹介する。
世界経済は欧州次第: ○欧州の安定が依然最大課題であることに変化はない
崩壊せずともジリ貧の欧州: ○スペイン・ポルトガルなどの時限爆弾は時を刻んでおり、安全網の強化はドイツ等の消極的な姿勢で依然十分とはいえない
春が近い米国: ○(△)雇用と消費は回復しているが、住宅市場は依然停滞
成長優先の新興国: △中国経済減速を受け追加金融緩和観測浮上、私の予測(物価安定より成長を優先)と言う観点では物価も安定しつつあり占いの判定は微妙
消去法で浮上する日本: ○20兆円の復興予算効果は大きいが、実態は3ヶ月遅れで進捗
詳細説明は省略したが、昨今の株価回復は昨年の欧州中央銀行が先鞭を付け日米が後追いして始まった金融緩和に負うところが大である。現在の世界の株式市場は「金融相場」と言われる所以である。今年の急激な株価上昇は実体経済を上回る勢いを感じる。日本株売買の外人投資家の比率は7割に近づいているという。私には余り健康的な状況には思えない。
少し間違うと、つまりやり過ぎると所謂「過剰流動性相場」になる、言い換えるとバブルの恐れがあると私は考える(多少のバブルは景気回復に必要なのだが)。その意味で、市場が期待する米国のこれ以上の金融緩和(QE3)は慎重であるべきと思う。株式市場が企業業績より金融政策に大きく左右される現状には違和感がある。
お楽しみのスポーツでは今年MLBに移籍した選手の評価はこれからだが、私の予測したダルビッシュ・青木の活躍・イチローの復活は有望で当りそうだ。松井は予想通り話題になって無いが、彼ほどの実績で未だに球団が決まらないのは残念なことだ。一方、期待の大きかったサッカーも評価するには時期尚早だが、香川など大化けする選手が出てきそうで楽しみにしている。
最後に、お気づきのように日本の政治状況には触れなかった。年頭の占い時と状況は何も変わっておらず、現状ではコメントに値しない。■