かぶれの世界(新)

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お金の値打ち

2021-05-07 17:01:06 | 日記・エッセイ・コラム
3日前に郵便が転送されてきた。差出人は米国財務省だった。見慣れた年金支給のIRS(歳入庁)とは別の部署だった。見ると説明文抜きで1400ドルの小切手が1枚だけ。バイデン政権が3月に小切手を支給すると公約した経済対策1400ドルの現金給付だとピンときた。

しかし、何で今頃、日本人の私に? トランプ政権時の600ドルは何の音沙汰もなかった。政権が変わって担当部署が変わったのか、担当が変わったのか、その程度の理由しか思いつかなかった。いずれにしろ、米国の効率のいいシステムは私を探し出して給付金を送り届けてくれた。

私が受給する資格があるのかどうか分からない。90年代の一時期、米国に滞在し働き税金を払った。弁護士にグリーンカードを申請するか聞かれ不要だと断った。なのに、日本に帰国後20年余り経過し、年金を受給しコロナ対策の給付金を貰った。日本の10万円支給の大混乱と大違いだ。

思いがけないプレゼントに心が浮き立ったが、小切手のままでは何の役にもたたない。午前中に予約した歯科医で治療を受け、その後地元の銀行に行き小切手を換金できるか聞いてみた。窓口の女性は質問を理解できず、バックオフィスから若い女性が出てきて相談にのってくれた。

ドル口座は開設できるが小切手の換金は本店でしか出来ない、しかも手数料1500円必要だという。彼女の小切手の「取り立て」というのが私には奇妙だった。「えっ、アメリカ政府に取り立てるの?」と半ばふざけて皮肉った。申し訳ないが予想通りの答えで、念のため確認しただけ。だが、小切手は有効期間が過ぎると紙切れになる、いつかは換金しないと値打ちが無くなる。

帰郷前に東京の自宅で家族パーティをした時、小学生の孫のランドセルが10万円もすると話題になった。安っぽいランドセルを持たせる訳に行かない等と盛り上がっていた。ケチな私が興味なさげに聞いていると、孫の時はやむを得ず嫁さんのお母さんが買ってくれたと私は責められた。

話は広がり、私の子供達は小学生の頃クラスの皆が持ってる漫画本やゲームなどが無くて、同級生を自宅に招待し誕生会をした時に肩身の狭い思いをしたと、又も矛先が私に向かってきた。私は子供の為に無駄だと思うことにはお金を使ってやらなかった。

孫のランドセルの話題から子供の時の苦い思い出までに話が発展した。私はその一桁も二桁もの教育費を出してるじゃないかと苦い言い訳をした。嫁さんが気を使って頷いてくれたが。私の子供達にはお金の値打ちは金額よりも、その時必要だったかどうか記憶に残るもののようだ。

私が身を削って必死で働いて得たお金も、子供達の判断基準では余り値打ちがなかった様だ。彼らが自宅で見た私は平素深夜まで帰宅せず、たまに早く帰ると会社の女の子と居間を占領して酒盛りしている。それを見た子供達は目を背けて早々に自分の部屋に引き込んだ。

子供達の教育の為や欲しいものを買ってやるのは家内だった。私が汗水たらして稼いだお金だというのは子供にとって言い訳にはならなかったようだ。こんな年になってキツイ一発だった。ともあれ、私には思いがけないアメリカからのプレゼントは値打ちがあった、投資で儲けたのとは違う。■
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