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ブッシュを再評価する

2005-01-16 20:10:22 | 国際・政治
間もなく第2期ブッシュ政権がスタートする。例によって他に先駆けて偏見と独断で2期目のブッシュ政権を見直し評価する。日本を含め世界的に評判の悪いブッシュ大統領だがこの先の4年間は結構期待できると言うのが私の結論である。歴史を振り返り注意深く最近の動向を観察すれば、既にその兆しが見えている。

1.2期目政権の性格:歴史に名を残す
1期目は再選される為、2期目は歴史に名を残す為に大統領は政権運営すると言われており、ブッシュ大統領も例外ではない。彼はレーガン大統領の後継と見なされ、本人もそれを強く意識している。この30年を振り返ると、サッチャー首相はグローバリゼーション時代に適合した国家のあり方を確立し、レーガン大統領は冷戦を終結させ歴史に名を残した。ブッシュは国内的には高齢化社会に備えて年金改革し、行き過ぎた訴訟社会を改め経済活性化を図ろうとしているが、歴史に名を残す為には中東に民主国家を打建てる外交以外にないだろう。イラクの安定化のためにはパレスチナ問題の進展が必須とブレア首相から説得を受け、従来のイスラエル一辺倒の見直し新たな進展の可能性がある。

2.政策の枠組みとバランサー:グローバリゼーション
9.11のような枠組みを壊す事件が起こらない限り、米国といえども現実の世界の枠組みから逃れることは出来ない。今世界を動かしている枠組みとは市場原理主義のもとで進展したグローバリゼーションである。その中で1期目は民主主義の伝道によりより安全な世界の実現を目指すネオコンと従来の国連外交との間に立ちバランスをとったのがパウエル国務長官であった。民主党は弱体化し建て直しに精一杯で牽制する力がないし、ライス次期長官もバランサーにはなりえない。しかし、1期目の政策の結果起こったイラクや財政の現実がバランサーになり方向付けに影響することは間違いない。もう支持率を気にする必要がないが、代わりにグローバル化した市場が毎時間・毎分ブッシュ政権を評価し国債価格を定め投資を決定し、このお金の流れが政権の政策に影響していく。

3.ブッシュは馬鹿じゃない:選挙と政策は別
天才参謀カール・ローブ氏の選挙戦略によりキリスト教右派の支持を確保してケリーに勝ったが、ブッシュ自身はキリスト教原理主義者ではない。中絶禁止等の法制化に取組むジェスチャーをするがそれ以上原理主義者に擦り寄ることはない。イラク戦争を動機付けとなった大量破壊兵器やバグダット制圧後の出口戦略の判断に誤りを公的に認めなかったのは選挙戦略であって、ブッシュは十分認識していると言われている。ケリーのように判断ミスをしましたと認めて落選したのでは元も子もないと考えたからだ。選挙戦において首尾一貫した不動の主張が運動員を安心させ選挙民の支持を得たが、大統領として現実を見て判断する能力がないという訳ではない、それは別の次元の話なのである。

4.ブッシュはネオコンでもない:ライス人事の狙い
ライス次期国務長官は国務副長官にゼーリック通商代表を指名した。チェニー副大統領とラムズフェルド国防長官の強い推薦にもかかわらずボルトン国務次官を選ばない判断がブッシュの支持を得た。ボルトンはチェニー副大統領等の意を受け、散々パウエル国務長官の足を引っ張ったといわれている。ゼーリック、ボルトンともブッシュ政権に多くの人材を送り込んだネオコンのメンバーであるが、ライスがチェニー、ラムズフェルドの操り人形にはならないことを示した。ラムズフェルドは次の4年を全うすることはないと見られている。次の4年間でパレスチナ及び中東政策を見直す時、ネオコンの枠を超えた発想が選択肢に入ってくるはずで、そのときライスが真に主導権を発揮するのではないかと予想する。

5.歴史は繰り返す:今度は大丈夫か 
レーガンは2期目に方針転換し悪の枢軸と決め付けていたソ連とSDIを取引材料に交渉し冷戦終結、ソ連崩壊のきっかけを作ったが、一方、イランコントラ事件で躓いた。2期目前半で歴史に残る成果をあげながら、ニクソンはウォーターゲート、クリントンはモニカ事件で躓き後半は弾劾を受ける羽目になった。振り返るとケネディ以降の大統領は例外なく2期目に醜聞を起こしている。ブッシュ政権の忠誠心の高い仲間内で政策決定実行する性格は落とし穴に落ちる可能性がないとはいえない。グローバリゼーションにより流動化した世界になった今、この歴史だけは繰り返して欲しくない。

6.日本はどう付き合うのか:当分ポチでもいい
米国は振れは大きいが誤りを自ら正すことができる仕組を持った、いわば自己修正能力がある(セルフアラインメントな)国である。一方、覇権が脅かされたと考えた時は狙った国は非情なまでに遠慮会釈なく叩き潰す。ユーロがドルの基軸通貨の地位を脅かす可能性はあるがそれ以上の影響は持ちそうにない。長期的に対抗できる可能性をもつのは中国だが、世界を動かす普遍的なイデオロギーがない。現在の中国の成長は共産主義でも中華思想のお陰でもなくグローバリゼーションの恩恵を受けているからに過ぎない。日本も依然として選挙の洗礼を受けず、民意を反映しない既得権益をもつ組織が国の方針を決め実行する部分が残っている国である。小泉改革によってその部分の比率は減ったが道路・年金改革は中途半端、郵政改革も先が見えない。基本方針として米国に付いて行き世界戦略は米国の修正能力に頼り、微調整はあるものの国内改革を進めるのがとるべき道である。


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