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田舎暮らし雑感2024(21)

2024-11-16 17:53:16 | 日記・エッセイ・コラム
数年前から実家の上空を飛ぶヘリコプターの音が気になっていた。たまたま近所の元サラリーマンの農夫で魚釣りが趣味のSさんに刺身を頂いた時に、ドクターヘリだと聞いた。彼は魚釣りに宇和海に行った時に船に挟まれた人がヘリコプターで運ばれるのを見たことがあると言う。テレビでは何度もドクターヘリを見たが、まさか我が上空を飛んでいるなんてと思った。

火曜日に歯科医の診療が終わった後に、私の前の患者の老婆が電話して車を呼んだ。出口に来た車は介護サービスの一環だった。運転手に声をかけると彼は市の認定を受けて介護を受けている人しか車は出さないという。歯科医じゃドクターヘリも呼べないしねと私は独り言を返した。

肝心の刺身はその朝取れたばかりの魚を捌いてくれたので身がコリコリして味が薄いというが、私には味がなかった。魚の名前を聞いたが食べる頃には忘れた。今日聞き直すと、イサキとカマチだという。弁当箱サイズに一杯の刺身でとても食べきれなかった。翌日どうしていいかわからず廃棄した、申し訳ない。今日彼に聞直すと、1日おいて今日食べるとうま味が出るという。

来週火曜日に帰京の予定だが、庭師に庭の手入れをやって貰っただけで、お墓掃除はしてない。田畑や山も何も手入れせず雑草だらけだ。近所の目立つ交差点に隣接する農地が数年間手入れされず、ついに雑草どころか木が生え大きく育ってきた。それを見ても私のやってることを振り返ると、他家の農地を云々する気にはなれない。せいぜい「大変だね」と声をかけるだけ。

私の住む集落では長老の奥さんが私が帰郷している間に亡くなり、昨年までは散歩中によく見かけたご亭主の長老も滅多に見かけなくなった。燐の101歳のお婆ちゃんはよく見かけるが、そのお友達のお婆ちゃんは介護サービスを受けるようになり滅多に見かけなくなった。ショックだったのは先週救急車が来てその向かいの63歳の男性が運ばれて行ったことだ。

彼は数年前に職場が変わり仕事について行けず退職していた。救急車で運ばれたのはテンカンが発症した為らしく、彼の退職もその体質的な影響があったのかもしれない。この集落は男性は早々にこの世を去ってゆき、女性は一人暮らしになり農業を続けられなくなる。山間部に行くとよく見かけるように、この集落も消滅が迫っている。来年帰郷出来たらどうなっているかとても不安だ。

私自身も今年は上記のように家の周りを手入れすることすら出来なくなった。3年前に事故を起こし車なしの生活になり、一昨年は偽痛風で入院して以来、田舎での一人暮らしが辛くなった。でも、今年は何とか体力回復に努め頑張って成果も出て来た。この成果には私自身驚いている。

90年代に米国で生活した時に、一人でバドミントンクラブに加入して州の大会に参加したり、車で移動して山歩きに行きボッチキャンプしたり、職場の同僚に頂いた自転車でサイクリングした。その経験が生きて日本に戻っても一人で色々と活動出来たことが今回も役に立ったと思うが、後期高齢者になって徐々に苦しくなって来たのも事実だ。

私は田舎の実家を放置するのは無責任だと思うし、来年以降も頑張って帰郷したいと思っている。集落の人達や友人も会う度に期待を感じる。逆に家族は一人暮らしを心配してくれる。私はまだ少し頑張りたい。多分少しずつ終活の準備をしながらということになるだろうと思う。■

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