昨年、ボケ防止を兼ね2005年を占い恥を覚悟で年賀状に刷り込んで紹介した。結果は円高進行と中国経済一服の予測は外れ、既にその結果を分析して報告した。しかしその他の項目については意外と私の予測はいい線行った。特に少数意見だった株式市場の日経平均が15,000円を上回ったのは自慢である。
狙いは当たり、日々世の中の動きに興味を持って見るようになり、占いとあっているかチェックし、違っているとその原因を調べ考えるようになった。その意味では大金の投資は勧めないが動きの激しい株式に投資するというのも頭の体操になる。
今年の最大のイベントは小泉政権の構造改革の本格化であり、我が国のパワーセンターが派閥のボスから完全に官邸に移り、政策決定プロセスが一気に変わった。この構造改革のもとでの景気回復は持続性があると市場の信任を得て株価回復のプラスアルファー要因となった。
世界に目を移すとグローバリゼーションとイスラム原理主義の戦い(文明の衝突)が全世界に広がった年であった。最早米国資本主義とイスラム原理主義の衝突と見做せなくなった。イラク安定化は足がかりになるかもしれないが、衝突の根本原因はフセインを除いてもなんら解決せず、長く陰惨な戦いになると推測する。特に欧州の悩みは来年一気に深まる気配がある。
経済的には2006年は今年の勢いを保ち更に成長を続けるが、年後半になって翌年2007年のスローダウンが具体的に見えて来ると、設備投資や消費などでメンタリティが悪化するとみる。米国FF金利上昇が徐々に効いてきて住宅バブルがしぼみ(軟着陸する)消費が減るコースを辿る可能性が高い。
今年の中国の急成長に加え2006年はインド・ロシアが急成長しプレゼンスが大きくなるだろう。予想が大幅に変わるとすれば、景気の潮目変化を読んだとき世界の余剰資金(グローバル・マネー)がどう動くかで、それによっては不測の事態が起こらないとも限らない。
このような粗筋で世界が動くと仮定して、私の来年の占いは数字的には悪くないのだが、今年と違いやや弱気である。それはやはり、2007年に景気後退の可能性を見ているからである。
1.イラク撤退、改革続行政権発足
イラク連立政府が安定せず困難が続くが小泉首相は退陣前に撤退を決意、世論の支持を受け民主党一部議員を取り込み改革続行政権が発足、小泉氏は影響力を残す。
2.日本経済回復続、GDP成長率2.5+%
内外市場好調で回復が続くも年末に息切れし2.5%強程度に留まる。私の考えは少数意見だと分かっているがデフレ基調はまだ続くと見る。
3.米国経済好調を持続後半にやや減速、GDP成長率4.0%弱
好調が3Q頃まで続くが、後半に住宅バブルの軟着陸の影響が出て消費に陰りが出、年末に07年のスローダウンが始り、4%には達せず。
4.日経平均は20,000円突破、しかし2007弱気予想で後半下落
春先まで世界の余剰資金のはけ口になり株価は上昇するが、07年のバラ色でない予測が見えてくるに従い株価に組み込まれ下落する。
5.ドル高進行するが年末には105円前後まで円回復、Euro高続く
金利差による円安は来春まで続くがその後は量的緩和の解除を織り込んで円高に戻るというアナリストの多数意見に私も同意する。
6.中国投資調整で8.5%成長に留まる、インド・ロシア急成長し存在感高まる
中国は需給をバランスさせる為、資産投資調整と国内消費の落ち着きで堅実な成長モードに入る。しかし過剰供給のはけ口が波乱を呼ぶ恐れがある。インドはインフラ投資が急増し高成長モードに拍車がかかる。
7.ドイツ・ワールドカップ日本予選敗退
高さの攻めにバックスが守りきれず一勝も出来ず予選敗退、世界の壁を思い知る。これだけ低い期待で観戦すると何があっても耐えられる。本当は期待が大きい。
8.MLB城島攻守に活躍、他の日本人選手は壁にぶつかる
城島は質の高い基本プレーとガッツで予想を上回りチームに貢献する。他の選手はチームの中軸になり、より高い期待のプレッシャーの中で四苦八苦し不満足な結果を残す。
2006年は経済が成長し全体に元気のいい年になるだろう。夏頃には2007年の姿が見え始める、積極的に投資するか消費する気持ちになるかで年末の様子はかなり変わるのではないだろうか。私はやや悲観的である。政治的には誰が首相になるかよりどういう形でなるかを注目、欧州とインド・ロシアの動向も気になる。■