一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

67たび大野教室に行く・後編

2014-06-01 00:36:36 | 大野教室
続いて大野八一雄七段に教えていただく。時計を見ると午後5時を過ぎており、閉講の時間なのだが、大野七段はズルズルと将棋を続けてくれる。まことにありがたい。
角落ちで、相居飛車戦となった。私が▲3五歩と突っ張ると、大野七段は△4四銀。こう来られると思った。
私が▲3八飛と寄ると、大野七段は右金を繰り出してくる。私は▲2六角~▲3七桂だが、この瞬間左辺が手薄になり、すかさず8筋を攻められて悪くなった。ただそこは角落ちのハンデがあり、意外と下手も堪えていたようだ。
実際本譜は下手が盛り返したのだが、終盤大野七段に巧妙に迫られ、負け。痛い敗戦となった。
感想戦では、上手が△4六銀としたときに下手が成りを受けなかったため、△5七銀成~△5六成銀(と銀を取る)とした手が大きく、上手の勝ちになった。よって△4六銀にはじっと▲5八金と上がるべきだったらしい。
植山悦行七段との平手戦では上手の攻めをひたすら受けまくっていたのに、どうして大野七段との将棋はつんのめってしまうのだろう。何というか、心の余裕がないのである。まあ、まだまだ私の修行が足りないということだ。
まだ時間があるので、Shi氏とリーグ戦を指す。私は月1回程度しか教室に行かないので、指せるときに指しておくのがいい。
さてShi氏は昨年暮れから大野教室に通いだしたが、寡黙な将棋バカという感じ。最もヤバいタイプである(もちろんホメている)。
Shi氏の先手で、相掛かり模様に進んだ。▲2四同飛に私は△2三歩。▲3四飛なら△8八角成~△2五角のつもりだったが、Shi氏は大人しく▲2八飛だったので、私のほうが△7六飛と横歩を取る形になった。
以下は神経戦が続く。飛車角総交換になり、私は△7七歩成。形はヘンだが▲7七同金と取られたら、次にどう指すか迷うところだった。
本譜は▲7七同銀だったので、私は△8九飛。▲7九歩に△8五飛成とした。ここは香を取るより、▲8二角や飛を防ぐ、△8五飛成のほうが優ると判断したのだ。
顔を上げると、Hon氏に指導対局をしていた植山七段が投げたようだ。感想戦がなかったようで、植山七段が盤面をぐしゃぐしゃにしている。植山七段は時々これをやり、下手からしたら何かアドヴァイスをいただきたいところだが、それは逆に言えば、下手が完勝だったことを意味する。この場合、下手は素直に自慢していいのだ。
数手後、Shi氏は▲7四歩。味のいい垂らしで、しびれた。△7二歩は利かされで打てないし、どうするかと苦しんでいると、7九に相手の歩が見えた。…二歩じゃあないか!! すかさず私が指摘し、幕となった。
二歩で将棋を終わらせるのは味が悪いが、この将棋は手将棋の神経戦で、これ以上指していると髪の毛が抜けそうである。ちょっともう、指す気が起きなかった。
きょうの成績は8勝2敗。植山七段からの勝利は5勝分で計算させていただいた。
雑談で、女流王座戦の話が出る。私は和田あき女流3級も応援していたが、周りはそう見ていなかったようだ。このあたりが、私にもうひとつ信用がないところだ。

さて、夕食である。きょうの参加は大野七段、Fuj氏、Shi氏、私の4人。植山七段は所用があり、帰られた。この4人は初めての組み合わせである。みなで「てんや」に行った。
最近ダイエットをしているという大野七段、天丼とミニそばのセットを頼んだが、これはふつうの食事である。ダイエットをするなら、そばだけにしておく手はあった。
私は天丼とそばのセット。私もダイエットをしなければならないが、いまは頭髪のハゲ具合に気を取られていて、それどころではない。食事は美味しく摂った。
食後は、近くの喫茶店で早めに切り上げようとするFuj氏を説得し、「ガスト」へ。
ここでは女流王座戦の話など、いろいろ盛り上がった。だが10時半前後に大野七段が詰将棋を提出し、それをみなで考え始めたのがマズかった。これが意外と骨のある問題で、なかなか解けない。さっきまでうるさかったのが、急に静かになってしまったのだ。周りにいた客は、このテーブルに一体何があったと思っただろう。
こんな状態が30分以上も続き、これじゃあ日付が変わってしまうと、私が中断を促した。
散会は11時半過ぎ。結局Fuj氏は最後まで付き合ったのだった。
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67たび大野教室に行く・中編

2014-05-31 01:28:54 | 大野教室
29日の倉敷藤花戦・清水市代女流六段対渡部愛女流初段の一戦は、渡部女流初段の勝ち。渡部女流初段にはお約束どおり、後日、勝手にプレゼントを贈らせていただく。渡部先生、挑戦権目指して頑張ってください。

(きのうのつづき)
小学生君はさらに▲7七桂。先ほど大野八一雄七段との将棋をチラッと見たが、それとほとんど同じ将棋である。
さらに指し手が進んで、これらは端攻めの狙いということが分かった。私は美濃囲いに組んでいたから、ちょっと端が弱い。
果たして小学生君の猛攻が始まった。しかしそこは私が誤魔化し終盤に突入、何とか勝てた。
感想戦。小学生君の端攻めの構想はともかく、金が四段目に上がる形がいいとは思えず、私はそこだけ注意した。ところがFuj氏によると、この手は「将棋世界」の別冊付録で、小林健二九段が解説していたという。それでは私が口を挟む余地はない。…ないのだが、やはりこれが本筋の指し方とは思えない。
早指しだったので、もう一局指すことにした。私はもちろん三間飛車。小学生君はまたも中飛車から、▲5六金~▲7七桂である。さらに▲9七香から▲9八飛。一局目と同じである。小学生君、この戦法に魅せられてしまったようだ。
今回は私も対策を用意している。△7三銀~△8四銀~△5一角とし、万全の迎撃体制を整え、実戦も私の受け勝ちとなった。
さて2局指したが、ちょっと残念だった。というのは、先にも書いたが、私に三間飛車を強要するからには、小学生君が三間飛車破りで来ると思ったからだ。
だが本譜の指し方では、私がどこに飛車を振ろうが関係なくなっている。実際彼は超早指しで、私の手の意味すら考えていなかった。付録の攻めが通用するかどうかを試すだけの感じだった。これで、実戦を指す意味があったのだろうか。「小林流」が指したければ、共同研究の場で披露すればよかったのではないか…。と、小学生相手に、真面目に考えてしまった。
彼とまだ指してもよかったのだが、急造手合い係のFuj氏の指示で、私とIi君がリーグ戦を指すことになった。
Ii君は大野教室の秘蔵ッ子で、もう大学生だからトウが立っているが、将来アマ名人も狙える逸材である。私が教室に通い始めたころはIi君といい勝負だったが、最近は差がどんどん開き、実力の違いを感じる。ただ、同じ負けるにしても一手違いにはしたかった。
どう考えても私が先手のはずだが、なぜか振り駒となり、私が後手になった。
私は三間飛車に振る。Ii君は▲5七銀左から▲4五歩。そして▲2四歩。これに△同角と取ったのが私の工夫だ。どうも▲4五歩早仕掛けには、△2四同角がいいような気がする。
▲2五桂の銀取りに、△4四歩のカウンターパンチ。以下銀桂交換になったが、△8四桂が期待の一手で、▲8五銀△7三桂▲8四銀△同歩となっては、△3三の銀が駒台に乗った計算になり、これは振り飛車十分になったと思った。
しかし▲3五歩が味わい深い好手。私は指す手が分からず△5五歩。以下▲3四歩△5七角成▲同金△4五桂と捌く。▲5八金引△3七桂成▲2三飛成△4四飛▲5五角。私は勢い△4七飛成▲同金△同成桂。この局面も振り飛車悪くないと見ていたのだが…。

以下の指し手。▲4一飛△4二歩▲6一飛成△同銀▲7一角△同玉▲7三竜△7二銀▲6三桂 まで、Ii君の勝ち。

▲4一飛が厳しかった。△4七成桂取りなので何か受けなければならないが、先手は▲6一飛成と▲6四角と出る手を絡めて、後手に受けがないように思える。
とりあえずは△4二歩と受けたが、やはりIi君は▲6一飛成。しかしそのあと、▲7一角には驚かされた。こんな速攻があったのか。▲6四角とばかり思っていた。
是非ない△7一同玉に▲7三竜△7二銀。ここで▲8二金かと思いきや、先に▲6三桂。何と、これで後手玉は即詰みである。いや、こんな気持ちのいい寄せがあるとは思わなかった。
感想戦に入るが、中盤▲3四歩に△5七角成が焦ったようで、単に△4五桂跳ねがよかったらしい。ただそれでも、後手難局だった。
それにしたって本譜の順も、後手はもう少し工夫のしようがあったのではないか? 本譜はあまりにも簡単に潰されている。まあそれが実力の差といえばそれまでだが、何か釈然としないものがあった。
(家に帰って思ったのだが、△4二歩では△4三歩があった。これは成桂を守るとともに竜の横利きも消して、一石二鳥である。これなら先手は▲1二竜だろうが、△5一歩と守る。後手は金銀4枚を持っているのが強味だ。次は△5七銀や△5九銀があり、けっこう後手もやれたのではないか。△4三歩なんて平凡な手なのに、どうして見えなかったのか理解に苦しむ。これも負け下になっている弊害だろうか)
ただ、いかな強豪のIi君といえども、アマチュアであり、私がしっかり指せば、そこそこ指せることを改めて感じた。次に彼と指すのが楽しみである。
(つづく)
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67たび大野教室に行く・前編

2014-05-30 00:30:07 | 大野教室
24日(土)は、埼玉県川口市にある「大野教室」に行った。同教室は第1、第3の土・日曜日の開講だが、今年はゴールデンウィーク中の営業を止めたため、それぞれ第2、第4にズレた。
教室には午後1時半過ぎに入った。大野八一雄七段は4~5人に指導対局を行っておりまずまず人も多かったが、先日ほどではない。
きょうは植山悦行七段から教えていただく。手合いは今回も平手。この手合いがよく分からぬが、植山七段が駒落ちを指したがらないのだからしょうがない。
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲7七銀。△6二銀に▲2六歩。温故知新である。「むかしの矢倉ですねえ」と植山七段がつぶやいた。
植山七段は△5三銀右と急戦の構え。△5五歩に▲同歩は注文通りなので、今回は▲5七銀と変化してみた。
△5六歩▲同銀△5四銀に▲2五歩。ここで植山七段は△7五歩。1秒も読んでない手で、シビれた。
これを▲同歩は△7六歩▲同銀△6六角で下手悪い。やむない▲6七銀に△7六歩▲同銀右となっては、金銀4枚が左に偏り、作戦負けは免れぬ事態になった。
私は▲7五歩とフタをするが、その歩を狙って上手は△6三金と進出してくる。私は1歩損を甘受して金銀交換となったが、今度はその銀を△5六銀とかぶせられ、いよいよ苦しくなった。私は泣きの涙で▲4六金。
植山七段は「大沢流ですねえ」と苦笑したが、これは植山七段の余裕の表れである。もうこの将棋は負けたと思った。
何度目かの金銀交換ののち、私はまたも▲4六銀と耐える。△7五同飛には△8七金を防いで▲7八玉。△2五飛の転回には屈服の▲2八歩。ホントに辛い。
植山七段△3六飛。これは△3七飛成(と桂を取る)▲同銀△5五桂の強襲を狙っているのだろう。それを防いで私は、▲5六銀と歩をはらって耐えた。実は本局、いちばん印象に残った手がこれである。上手のいちばんの戦力は「歩」。こういう素朴な攻め駒は、摘み取ってしまうのがいいのだ。
△7三桂には角道を遮断して▲5五歩。とにかく忍の一字である。
植山七段は△7六金と打つ。次に△8七金打があるので、私は▲7六同金。△同歩には▲7五金もあったが、私は▲6七玉と逃げ越した。
植山七段は△2六角と覗く。△3七角成▲同銀△同飛成となれば、次に△7五桂もあって下手はもたない。
私は▲3三歩△同桂を利かして▲2七金だが、こんなところに金を使うようではダメだと思った。ただ、たまたま横で見ていたFuj氏は、下手が悲観するほどでもない、の言だった。
植山七段は飛車角を切って、△7五桂から△7四金と縛る。私は▲5二角と打ち、寄せられたらしょうがないと開き直った。
植山七段は△8七銀から△6七歩。次に△7六金までの詰めろだ。上下から挟みうちにされ、やっぱり負けか、と思った。

図以下の指し手。▲7六歩 まで、一公の勝ち。

私は、敵の打ちたいところに打て、と▲7六歩と打った。単に頭金を防いだだけの手だが、△7八金は▲同飛△同銀成▲同玉で下手玉に詰みはなく、上手玉は▲4一飛~▲2一金の詰めろがかかってしまう。
植山七段は「▲5二角が銀なら△8五桂~△8六金で詰むんだが…」とつぶやく。
ややあって、そのまま投げてしまった。
「(あまり形勢がよすぎて)温泉に入っちゃったよ」
が投了後の第一声。そして「ここ(▲7六歩)は▲6七銀と指すでしょう。だって▲7六歩と打っても▲7五歩と取れないんだもん」と続けた。
「はあ…。でも先生、(▲7六歩で)投了されたじゃないですか」
と私も反論する。もちろんどちらも、苦笑しながらの発言である。
しかし本音を言えば、終盤までホントに私の負けだと思っていた。この将棋を何で勝てたのか分からぬ。その中であえて勝着を挙げるとすれば、▲3三歩△同桂の利かしを入れたことだろうか。これがなければ上手になかなか詰めろがかからず、下手が負けていただろう。
私が敵陣に侵入した駒は、この▲3三歩と▲5二角のみ。この2手が実に効果的だった。勝ちに不思議の勝ちあり、とはよく言ったものだ。
ここで3時休み。きょうはW氏が休みのようだ。いろいろ忙しいのだろう。
そしてもうひとつ、きょうは女流王座戦一次予選の一斉対局が行われている。Fuj氏などはそれが気になって仕方ないふうだ。
私は和田あき女流3級とHanaちゃんに勝利者賞を懸けているが、和田女流3級は午前中に渡部愛女流初段に屈し、Hanaちゃんもまた、船戸陽子女流二段に負かされていた。
「よかっ(た)…あっ!!」
思わず本音が出そうになり、私は慌てて口をつぐむ。まさか土壇場になって賞品を進呈するのが惜しくなったとは言えず、誤魔化すのに苦労した(ただし…。後日棋譜を見たが、Hanaちゃんの将棋はちょっとひどかった。Hanaちゃん、本気で女流棋士を目指しているなら、いまの将棋ではダメである)。
対局再開。きょうは新規の小学生が来ていた。4月から始まった「女性教室」はほとんど生徒が集まっていないが、こちらは相変わらず盛況である。
大野七段によると、棋力は初段程度らしい。そこで私と平手で指すことになった。ただし、小学生君はライバルが三間飛車の使い手だそうで、私が仮想敵として、三間飛車に振ることが条件となった。
対局開始。と、小学生君は中飛車に振ってきた。これは意外である。対三間飛車を望むから、てっきり私は、彼が三間飛車破りを実践したいのかと思ったのだ。
小学生君は早指しで▲5六金~▲6六角。
何だこれは!?
(つづく)
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66たび大野教室に行く(その4)・引退後の心境

2014-05-14 12:33:59 | 大野教室
上手(平手)・植山七段:1一玉、1二香、1六成香、2一桂、2二銀、2四歩、3二金、3四歩、4四銀、4七歩、5四歩、6五歩、7三歩、8一桂、8二飛、9一香、9四歩 持駒:金、歩
下手・一公:1四歩、2六銀、2七歩、3六歩、3七桂、3八銀、3九玉、5六歩、5七角、5八金、6六歩、6七銀、7五歩、7七桂、8五歩、8八飛、9六歩、9九香 持駒:角、歩2
(△4四同銀まで)

81手目▲4四金と角を取り、△同銀までの局面。ここで私は▲4七金と目障りな歩を払ったが、すぐに▲4五歩と抑える手はなかったか。これなら△3三銀と引く一手で、そこで下手も▲6五歩と落ち着く。△4七歩はいつでも取れるから、まずは6筋の歩を取るのだ。
これで上手の持ち駒は「金歩」。2六に銀は落ちているが、△8二飛も合わせ、これだけで下手玉が寄るとは思われない。そこで冷静に下手陣を見ると、息苦しかった数手前より、ずいぶん景色が変わっている。思った以上に広々として、中央の制空権を支配している感じさえするのだ。
もちろん対局中は、▲4五歩も考えた。しかし手順に△3三銀と引かれるのが気に入らなかった。私の指したかった手は▲2四角の飛び出しで、以下▲2五桂~▲1三Xを狙いとする。しかし▲4五歩△3三銀の2手が入ると、前述の攻め筋がなくなってしまう。それが私に▲4五歩をためらわせた。
「これ(▲4五歩△3三銀▲6五歩)で大沢さんが優勢じゃないですか」
大野八一雄七段にあっさり結論づけられ、拍子抜けする。七段によると、この将棋はもう攻め合いではなく、振り飛車が受け切る将棋になっているという。△3三銀と追いやって、相手の攻め駒を1枚減らすのがいいのだという。
そうか…。私は攻めることばかりを考えていた。「攻め合い→受け勝ち」のギアチェンジができなかった。
整理すると、中盤で△1四歩と端を逆襲されたところは、下手の具合が悪い。しかし終盤、▲4四金と角を取ったあと▲4五歩と局面を収めれば下手も指せる。これを一応の結論としておこう。

遅い夕食は、近くのとんかつ屋で。参加者は、大野七段、Og氏、W氏、Fuj氏、青年2人、私の7人。先客は2人いたが、ここはカウンター席がないので、4人掛けのテーブルを使われてしまい、私たちは分散して座った。
やがて4人掛けのテーブルが空き、最終的に私とW氏、Fuj氏がいっしょになる。濃い。
私は冒頭の局面をメモし、あす植山七段に質してくれるよう、Fuj氏に頼む。我ながら諦めが悪いが、ちょっと植山七段の見解も聞いてみたかった。
「大沢さんが自分で聞けばいいじゃないですか」
とみなは言うが、あすはさすがに、撮りだめしたテレビ番組を観たかった。つまり、私の将棋熱もそのくらいということである。

とんかつ定食を美味しく食べ、そろそろ会計をしようか。食後はファミレスで…の話が出たところで、Fuj氏が
「けっこういい時間だし、明日の教室もあるから、きょうはこの辺で…」
と、訳の分からないことを言いだした。いつもはここからおしゃべりの第2弾が始まるのに、彼は何を言っているのだ。
まあ、帰りたいという人を深追いはしない。青年2人も帰るということで、以上3人とは川口駅前で別れ、残り4人でガストに向かった。
ガストで談笑中も、私の脳裏には先の植山悦行七段との将棋が渦巻いていた。いままでにも植山七段には平手や香落ち戦で緩めていただいたことはあるが、きょうのような捩じり合いの将棋ではなかった。こういう息の長い将棋で勝ってこそ、価値があるのだ。実際感想戦後の感想戦では十分勝機もあっただけに、いまだ自分の中で割り切れないでいる。
「▲4五歩で大沢さんがよかったですよ。だけど△5五歩が入ってからではダメですね」
たった一手の緩着で勝敗が決するとは、将棋は恐ろしい。
ところで大野七段は、引退して1週間になる。いまの心境を聞いてみた。
「やっぱりさびしいですね」
この答えは予期していなかったが、言われてみればもっともだと思う。
おおそうだ、Minamiちゃんにお土産があったのだが、植山七段に渡すのを忘れていた。私は先日の九州旅行で青島神社に行き、「女力」という御守りを買った。これは文字どおり「女力」を上げるというもので、袋の表にはズバリ「女」とデザインされている。もちろん「男力」もあり、「女力」はペアのつもりで買った。
これを誰に上げるかだが、和田あき女流3級に上げればHanaちゃんにも上げなければならないし、Minamiちゃんに上げれば長女と次女にも上げなければならない。いっそのこと5つ買えばいいのだが、そのときはひとつ買うことしか浮かばなかった。
結局、これはMinamiちゃんに指し上げることにした。とりあえずW氏に預けておく。
W氏提供の、ひとついい話。和田女流3級が教室での実戦に疲れ、休みに入った。ところが和田女流3級は詰将棋を解いていたという。
詰将棋を解くのが休養代わり。和田女流3級は強くなると思った。
話変わって、大野七段とW氏は先日、藤倉勇樹五段の将棋教室にお邪魔し、教室のシステム等を勉強してきたという。次回は飯塚祐紀七段の教室に赴くそうで、ふたりの熱心さには頭が下がる。
さらには棋書出版の計画まで出る始末で、ふたりの話には未来があり、私は大いに感心させられた。
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66たび大野教室に行く(その3)・納得いかない

2014-05-13 00:14:16 | 大野教室
上手(平手)・植山七段
下手・一公

▲7六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉▲3八玉△3三角▲2八玉△2二玉▲3八銀△3二金▲6七銀△1二香
▲5六歩△1一玉▲7五歩△6四歩▲6八角△6三銀▲7六飛△2二銀▲7七桂△5二金▲5八金左△4二金右▲1六歩△8四飛▲5七角△5四銀▲1五歩△9四歩▲9六歩△2四歩
▲4六歩△2三銀▲3六歩△2二金▲3七桂△3二金右▲4五歩△4四歩▲同歩△同角▲4七金△4三銀▲4六金△5四歩▲8六歩△同歩▲8五歩△8二飛▲8六飛△1四歩(第1図)
▲同歩△1七歩▲同香△1四銀▲1六歩△1五歩▲同歩△同銀▲同香△同香▲2六銀△1二香▲4五金△1七香成▲3九玉△4七歩▲5八金△6五歩▲1四歩△1六成香
▲4四金△同銀▲4七金(第2図)

きょうは生徒が多いから、指導する棋士は大変である。ひとり終わればまたひとりと、どんどん生徒が入れ替わり、休むいとまがない。今後このような状況に陥ったときのためにも、何らかの改善策が必要である。
私の左ではHanaちゃんが飛車落ちで指導を受けている。△8七にと金を作られ下手が芳しくないと思ったら、飛車角を巧みに捌き、たちまち上手を投了に追い込んでしまった。
Hanaちゃん、お姉さんの活躍がいい刺激になっているのだろう。Hanaちゃんも早く女流棋士になってほしい。

植山悦行七段は端を攻める。私は得した銀を2六に打ち、防戦一方だ。
私の▲4五金にしばらく考えていた植山七段、「そうか、これが植山流か!」と叫び、△1七香成から△4七歩とした。
打たれてみて、なるほどと唸る歩だ。私など数時間考えても浮かばない(ただし△1七香成では、もちろん△1八香成もあった)。次に△2六角▲同歩△2八銀があるので、私は▲5八金と上がったが、これではつらい。
それでも▲4四金と角を取って▲4七金と歩を払い、下手十分と見ていたのだが…。

△5五歩▲6五歩△5六歩▲同銀△5二飛▲6一角△5六飛▲同飛△5五歩▲8六飛△5六銀▲同金△同歩▲同飛△5五歩▲8六飛△5八金▲6六角△2六成香▲同歩
△5七銀▲3四角成△4八金▲2八玉△6六銀不成▲1九飛△3三銀▲1二馬△同金▲1八香△3八金▲同玉△4七角(投了図)
まで、116手で植山七段の勝ち。

植山七段は「まあこうだな」と△5五歩。私は▲6五歩と落ち付く。植山七段△5二飛に▲6一角。飛車が逃げれば▲3四角成で、これが銀と成香の両当たりになる。
これで上手はどうするのだろうと見ていたら、植山七段は「ええい!!」と△5六飛と切ってきた。植山七段、ヤキが回ったのだろうか。私は笑顔で飛車を取る。正直、この将棋はもらったと思った。
ところが、再度の△5五歩以下の攻めが意外にうるさい。私は自然に応接しているが、どうも食い付かれている感じである。△5八金に▲6六角など、将棋の手として絶対におかしいのだが、代わる手も分からなかった。
そうして気がつけば下手玉は風前の灯である。上手ばかりが指し手を進め、下手の駒得もなくなった。私は▲1八香と据えもうひと頑張りするつもりだったが、平凡な△3八金をうっかり。キッチリ即詰みに討ち取られた。

感想戦では、私が47手目に▲4五歩といったのがやや軽率で、▲2六歩と突くべきと教えられた。さらにマズかったのが▲8六歩以下で、これは上手に歩を持たせただけの悪手だったようだ。「△8三歩は死んでも打てません」は、形勢我にあり、の植山七段の軽口だったのだ。
また終盤で△5六飛と切った手も予定で、
「大沢さんは私がやむを得ず飛車を切ったと思ったでしょうけど、これで十分指せると思いましたよ」
と植山七段。「これが穴熊なんです。(4四で)角金交換ならこちらもそんなに損してないし、大沢さんの(得した)銀もここ(2六)に打たされてるしねえ。そちらの飛車も働いてないし。だから最初から私がいいと思ってましたよ」
終盤は私も指せると思ったのだが、あれは大局観を誤っていたのか。「だからイビアナには振り飛車も穴熊にするしかないんですよ。コンピューターなら人間がイビアナを指しても振り飛車で十分勝てるけど、人間同士はそうはいかない。私なんかもそっちを持って、イビアナに何回負けたことか。あの形で勝てるのは大山名人(などの一部棋士)だけです」
植山七段、きょうは結構シビアである。「大沢さん、▲8六歩から私に1歩を持たせて、攻めていらっしゃい、とやったでしょ。あれが本当の隙になっちゃいましたネ」
私にそんな腹づもりはなかったが、植山七段はそう曲解したようだ。
…ということで振り飛車にまったくいい所なく感想戦は終わったが、私はいまひとつ納得できないでいた。振り飛車がイビアナ相手に穴熊しか対抗手段がないのでは、将棋が衰退してしまう。本局は私の指し手に問題があったはずである。
と、Fuj氏に話しかけられる。Hanaちゃんも女流王座戦に出場するのだが、対戦相手の対策に苦慮しているという。まあ勝負は時の運で、なるようにしかならない。自分の将棋を指せば、勝ち星もついてくるだろう。Hanaちゃんにも、女流王座戦の勝利の暁には、何かプレゼントを差し上げよう。
さて私は別所でひとり、対植山七段戦の研究をする。こういうとき、私は諦めが悪いのだ。
84手目△5五歩のとき、私は▲6五歩と取ったが、ここで▲4五歩はなかったか。本譜は△4四の銀に大暴れされたので、とりあえずは局面を収める意味である。
やがて大野八一雄七段、Fuj氏も交じり、3人でごちゃごちゃやっていると、それを見かねた植山七段が入り、未練の研究に付き合ってくれた。
しかし▲4五歩にも、△5六歩以下角を取って△5九角の筋があり、下手に芳しい変化は出なかった。ううむ…。
時刻は午後8時近くになり、植山七段はここで退席。だが私は、まだ納得がいかない。プロの教えだろうと何だろうと、理解不能なら納得しないのである。
たしかに△5五歩前後の局面は、我が美濃囲いは崩れ、銀は質駒になっており、飛車も遊び気味で、自慢できる棋勢ではなかった。ただそれにしたって、角香交換の駒得は小さくないのではないか。上手も攻め駒が豊富にあるわけではなく、下手だってまだまだ指せると思うのだ。
ただ▲4五歩は絶対に必要だと思う。では▲4四金△同銀と角金交換をした直後に▲4五歩と打ったらどうかと考えた。
(つづく)
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