Pねこ、正式な名前は「P子ちゃん」って、おとうさんは言います
私が生まれて目が見える様になって、朝、おかあさんと兄弟とお散歩してたら、空から黒い大きな鳥が
飛んできました
「カラスだ!逃げて!」と、おかあさんが言いました
私は何だかわからなかったけど怖くて体が縮んで動けなくなった
大きなくちばしが私を咥えようとした、やっと体が動いたけど長い尻尾を咥えられて体が浮いた
「にゃ~! にゃー!」って泣いて暴れたら、カラスは驚いて放したので、地面に落ちた
怖くて急いで逃げた、私は真っ白だから目立ったみたいで
まだ追いかけてきて下水の中に逃げ込んだ、すると雷が鳴って、ざ~って大きな雨が降ってきた
ズブ濡れになったけど、カラスはどこかに逃げていった
やっと安心したけど、おかあさんも兄弟もどこにもいない、どこにいるかもわからなくなった
迷子になったんだ、雨はどんどん強くなってくるし寒いし、お腹はすいてくるし
そうしたら大きな石がたくさんあるところにやってきた、その石と石の間に穴があったからそこに
入ったら丁度体が入って、なんとか雨が直接体に当たらなくなったんだ
「寒いよ」って泣いていたら、家の中から人間が出てきてドアの鍵をかけていた、それで
「助けて! 助けて!」って一生懸命叫んだんだ
そうしたら、そのおじさんは「あれ? 何か泣いてる・・・ネコ?」って気がついた
それで雨の中探しながら近づいてきて「ああ、こりゃたいへんだ」って、私を抱き上げた
おじさんの手の平にすっぽり入って少し安心した
おじさんはまたドアを開けて、タオルで体を拭いてくれた 「かわいそうに、もう大丈夫だ」って
「だけど、これは困ったなあ、ネコを飼うのかなあ?」とも言ったので、心配になった
おじさんは忙しいみたいで、私をお風呂場に入れて牛乳を指で舐めさせてくれて、それを置いたまま
夜まで帰ってこなかった
夜になったら、おじさんはお酒臭かったけど、私を忘れないでつれに戻ってきた
代行の自動車に乗って、私を抱いておじさんの家につれて行ってくれた
この家には「ジョンおじいちゃん」と「ボスおにいさん」がいたけど、一週間面会させてくれなかった
「犬のばい菌が子猫に付くから」って言ってた、おばさんはそれを聞いて怒ってたけど
おとうさんの部屋で一緒に寝た、そうしたら私はくしゃみが停まらなくて
「ズブ濡れでかぜひいたんだな」っておじさんが言った、そうしたらおばさんが医者へ連れて行ってくれた
それで風邪は治ったんだけど、おばさんが「あれ、尻尾の骨が折れてるみたい」
それでまた医者に言ったら、添え木をしてくれて、「1週間くらいでくっつきます」
だけどくっつかなくて、また医者に行ったら、「尻尾が腐り始めてますから手術して切ってしまいましょ」
それで一日入院して、尻尾を切られてしまった
やっと切った尻尾にも慣れたら、こんどは「お尻がただれているね」って、また医者に行って、今度は薬を塗るって
ネコは舐めてしまうからって首にじょうごみたいなのを巻かれて、ご飯を食べるのも水を飲むのもたいへんだった
そんな具合で9ヶ月たった、お尻も治ったけど
今度はお尻がムズムズしてくる、ハートがどきどきしてくる、頭がぼ~ってしてくるし、自然に声が出てきて
鳴かずにいられない
おばさんは(今じゃ、おとうさん、おかあさんって言ってるけど)「Pは盛りがついたみたいよ、うるさくて眠られやしない」
「ぎゃんご~ ぎゃんご~」って、この頃外でも男ネコも「ぎゃんご~」ってやってきてるみたい、避妊しないとね
私は、お父さんや、お母さんにまでお尻をつきだしてしまうものだから、お父さんもとうとう
「そうだな、手術だな」と言って、今日の朝、私は籠に入れられて医者へ「やだやだ」って泣いたけどネットに
入れられてあきらめたわ。
お父さんが「P子は、これでおかあさんになれなくなっちゃうんだなあ、可哀想だな」って言ってた
「だけど仕方ないな、今の時代は・・・・ミーは100匹も赤ちゃんをそだてたのになあ」
「明日、むかえに来るよ、Pちゃんがんばれ!」ってお父さんは心配そうに帰って行った。