「忘れ去られた町」という実感は朝の市場に行ってみるとよくわかる
この一週間は天候も悪いこともあるが市場への魚の入荷はほとんどゼロ
「やる気があるのか」と問いたくもなるし、過去に何回も問うたことがあるが同じだ
発注した魚だけが届く市場、セリを期待して行く魚屋が多いのでこの一週間は
まったくの空振りだ
地元では遠いところでは20km位先から毎朝やってくるし、40km」先の長野県から
仕入に来る業者もいる
もっとも市場だけが悪いわけでは無い、購買力が無くなった小売業者にも責任はある
市場だってたくさん仕入れて残ったり、セリで利益が上がる値が出なければ大損だ
今日も魚がゼロで、買参人の控え室だけが賑やかだった、人数はそれでも10数人しかいない
セリがあっても20人くらいが参加するだけの小さな市場になってしまった
控え室のメンバーの顔を見ながら、同い年の魚屋と話した
「オレたちも上から何番目の歳になってしまったなあ」と彼は言う
昔はスーパーの食品部門長で、活発に億単位の販売をしていた男だ、独立して30年になる
私は買参人の一覧を見ながら数えてみる、約40名の登録だ
「14番目だな、あんたは15番目、まだまだ上があるから安心していいよ」
66歳にしてまだ上位から40%の位置だからいかに高齢化しているかわかる
66歳なんて一般社会ではもうリタイヤしている、だがオレたちのこの社会ではまだ成熟期なのだ
今この控え室のメンバーを見ても、一番若いのは30代前半だが、その上は46歳、48歳、あとは
60前がいない、一番若いのが還暦の60歳になったばかりで、今入ってきた一番の元気者は
70歳、「何の話しをしてるんだね」と聞いてきた女性は組合最長老84歳、隣の女性も75歳
目の前でタバコをぷかぷか吸いながらインスタントコーヒーを飲んでいる男性はこの中では男子最長老の
75歳、あとは全て65歳前後だ、みんな現役の魚屋や居酒屋、飲食店
平均年齢もこのまま行けば数年後には70歳到達だ
60歳でも「わかいもん」と呼ばれる田舎の高齢化社会
偶然、富山県の射水市のHPを見たら、人口ピラミッドが我が町とは随分違う
「高足駒型」60~70歳が異常に膨らんでいる我が町に比べて、射水市は50代付近が中心で若い世代に向かっても
緩やかに膨らんでいる
考えてみたらこの町は富山市のベッドタウンなのだ、大学病院があり、付近には国立をはじめ大学もいくつかある
学生やそれに対応する産業も多いからだ、外国人率も2%の約2000人住んでいる
この近くには富山空港がある、中国大連への直行便がある数少ない空港だ、だから富山県は全国でも中国人在住率が
高い県だ。
こんな射水市を見たら、我が町はどうなんだろう、そういえばシニアが住みたい町のランキングで上位にランクされていた
たしかに老人には住みやすい町かもしれない、もっとも病院設備では問題にならないほど病院と医師不足の町だから
「健康な老人には住みやすい町」と付け加えなければならない。