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「甲越軍記」を現代仕様で書いてみた(243) 甲越 川中島血戦 70

2024年11月06日 19時36分21秒 | 甲越軍記
 引き退く謙信に、甘利左衛門尉が近づかんと五百余騎を率いて喚き攻め入る
中でも伴備中守、浜名与三左衛門は太刀を電光の如く光らせて喚き入れば、高松内膳が上杉陣より馬を返して鍔元まで血に染めた大太刀振りかざして、たちまち備中守を馬から下に切って落とす
そこに浜名が馳せ来たりて、内膳めがけて斬りかかれば、高松は振り返り様に切り払う太刀で、浜名の太股をざっくりと切り払えば、こらえきれず浜名は馬から落ちた
高松も左の腕に傷を負い、後陣に引く。

両軍の勇士は互いに死力を尽くして戦う形勢は、まことにすさまじく、先に川を渡った旗本勢は間道から馳せまわって謙信の勢の中に割って入る
上杉勢は、これに突き崩されて乱れて敗走となった
信玄は躍り上がって大いに勇み、勝に乗じて追う姿は、猛虎が快風を起こすがごとし

ここに宇佐美定行は二千ばかりで大塚村に備えて敵が味方を追うのを静観していたが、「戦いの塩時今にあり」と言うと同時に定行は采配を振って「いざやかかれ」と下知した
二千余人の精兵は、定行の軍配一閃どっと馬を乗り出して勝ち誇る武田勢に一気に攻めかかれば、縦横無尽の宇佐美勢の働きの前に、武田勢は切り崩されて、はたはたと打倒される者は数知れず

智将謙信、宇佐美の働きを見て、ここで踏みとどまると、たちまち大返しにして再び武田勢に向かって馬を走らせた
宇佐見ばかりか、謙信の本隊も加わっての勢いはすさまじく、今度は武田勢が恐怖に逃げまどう
そこに上杉の後備えより渡部越中勢五百騎も鬨をあげて武田勢に攻め込む
宇佐美勢は前方より信玄の旗本勢に押しかかれば、後ろから渡部勢が包み込み挟み撃ちとする
これには信玄の旗本勢も次々と討たれ、人馬は河にはまり死するものは数知れず
攻め急いだ信玄はようやく五十騎ばかりに守られて本陣に引き返した

謙信は御幣川まで武田勢を追ったが、信玄の本陣の守りを見るやここで足を止めた、そして元の陣へ戻って備えを立て直す

今日の二度の合戦は最初は武田勢の勝利、後は上杉の勝利となる
翌日、信玄は勝つことならずと知って陣を引き払う、謙信もまた翌日に越後へと帰還する

これを川中島二度の合戦と云う。



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