アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリング、コンサルティングを行っています。
アドラー心理学による勇気づけ一筋40年 「勇気の伝道師」   ヒューマン・ギルド岩井俊憲の公式ブログ



おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

絶版になってしまっているR.ドライカースとD.ディンクメイヤーの共著「『子どものやる気』を読む」シリーズの第5回目(最終回)です。

今までの4回は、次のとおりブログに書いております。

7月18日付けブログ 『子どものやる気』を読む(1)
7月25日付けブログ 『子どものやる気』を読む(2)
8月8日付けブログ    『子どものやる気』を読む(3)
8月12日付けブログ  『子どものやる気』を読む(4)


今回は、『子どものやる気』の第5章「さまざまな状況における『やる気を起こさせ方』」から やる気を起こさせる一般原則 の7つのポイントです。

(1)子どもを心から評価してあげること

(2)子どもに信頼感を示すこと

(3)子どもが自信を持てるように勇気づけること

(4)子どもの努力を認めてあげること

(5)子どもの仲間を活用して改善を図ること

(6)子どもが自分を改善するときの速度に合せてあげること

(7)子どもの長所、能力、興味あるものに焦点を当て、指導すること

教師が児童・生徒を勇気づけることが念頭に置かれていますが、親子でも適用可能です。


ところで、7月は出版社、著者からたくさんの本を贈呈していただきました。

おいおいご紹介いたします。

<お目休めコーナー> (13)

 

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

絶版になってしまっているR.ドライカースとD.ディンクメイヤーの共著「『子どものやる気』を読む」シリーズの第4回目です。

1回目、2回目、3回目は、次のとおりブログに書いております。

7月18日付けブログ 『子どものやる気』を読む(1)
7月25日付けブログ 『子どものやる気』を読む(2)
8月8日付けブログ    『子どものやる気』を読む(3)


今回は、『子どものやる気』の第4章「やる気を起こさせる方法」から 子どもにやる気を起こさせる人の、子どもに対する接し方 の8つのポイントです。

(1)子どものあるがままを評価する。

(2)子どもの人となりを信頼していることを伝え、子どもが自分自身に自信が持てるようにしてやる。

(3)子どもの能力を信頼する。子どもの自尊心を培う一方、子どもからも信頼されるようにする。

(4)子どもの努力を認める。仕事を完成させたら「よくやった!」とほめてやる。

(5)子どもが目覚ましい進歩を遂げるためには、グループの刺激が必要である。グループの活用を考える必要がある。

(6)子どもにとり、グループに所属することが心の支えとなるように、グループのまとまりをよくする。

(7)子どもに技能を身につけさせるときには、子どもの気持ちや能力に合わせて、順を追って、焦らずに実施する。

(8)子どものの欠点ではなく、子どもの能力や長所がどこにあるかをしっかりと見定め、それを指導することに重点を置く。

(9)指導を活気あるものにするには、子どもが興味を持っていることを上手に利用する必要がある。

 「愛と勇気づけの親子関係セミナー(SMILE)」 のリーダーや、教師・親など子どもの行動に接している人は、有益なヒントが得られます。

◆本日と明日は  「愛と勇気づけの親子関係セミナー(SMILE)」 集中コースを担当します。
おそらくしばらくは、自らリーダーを担当することはありません。

<お目休めコーナー> (12)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(8月7日)の10:30~17:30は、マーケティング研究協会主催の公開セミナーの講師をしていました。

アドラーに学ぶ!!
マネジメント心理学
~メンバーの「心」を掴む組織運営、部下育成・指導のポイント

のタイトルで、20名の受講者を対象として、研修の柱を次のとおりにして行いました。

0.オリエンテーションとリレーションづくり
1.職場・組織における現状とマネジメントの今日の課題
2.何故、マネジメントに心理学が必要なのか
3.良い人間関係の条件
4.今のビジネス環境の中で有効なマネジメント
5.やる気を高める心理学
6.部下を「勇気づけ」する具体的な実践技法

ビジネスの分野でもアドラー心理学の認知度が確実に高まっています。


さて、絶版になってしまっているR.ドライカースとD.ディンクメイヤーの共著「『子どものやる気』を読む」シリーズの第3回目です。

1回目と2回目は、次のとおりブログに書いております。

7月18日付けブログ 『子どものやる気』を読む(1)
7月25日付けブログ 『子どものやる気』を読む(2)


今回は、『子どものやる気』の第4章「やる気を起こさせる仕組み」から 子どもの行動を観察する方法 です。
このことをしっかり理解しておくと、「愛と勇気づけの親子関係セミナー(SMILE)」 のリーダーや、教師・親の子どもの行動の理解の仕方が変わるはずです。

(1)子どもがどんなつもりで、そのような行動をしたのかを知っていること。そのためには、子どもを観察する人は、子どもが行った行動を先生や親の価値観からではなく、実際に行動を行った子どもの目を通して見る必要がある。

(2)子どもが何を求めているかを知っていること。その子がやったことや、その子のやり方を観察するのではなく、その子が意図していること、すなわち、その子の行動の目的を見つけなければならない。

(3)子どもの行動は、どんな行動であれ、それぞれの意味を持っている。したがって、その子どもに特有の行動であれ、日常的なものであれ、あるいは異常と思われるものであれ、関連のある行動は、すべて観察しなければならない。

(4)子どもの行動は、外部からの刺激に対する反応だけではない。子どもはグループの一員として、認めてもらおうとして行動する場合が多いので、その行動は子どもにとっては、建設的な行為であるのだということを、よくわきまえること。

(5)観察した行動を解釈するときは、どんな目的で行ったかを中心に分析すること。

(6)何度も繰り返して起こるものは、それが何かを見つけること。

(7)その子どもが、成長段階のどのへんにあるかを知っておくこと。

要約すると、次のとおりになります。

子どもの行動の前後関係をよく知り、その子どもから見た行動の意味をよく理解し、その子に特有な行動と異常な行動の両方を、その時々の状況の中で観察し、繰り返し現れるパターンを探し出し、そして、子どものすべての行動を、子どもが自分で決めた目標への動きとして理解すること。

いかがですか?
このように観察する訓練をしていると、子どもへの接し方が変わってきそうではありませんか。

<お目休めコーナー> 8月の花(8)

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(7月24日)の3大イベントは次のとおりでした。

1.巨大企業のハイ・パーフォーマンスを要求される人たちの研修

2.『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』早くも第5版に

3.ペルグリーノ博士の来日


1.巨大企業のハイ・パーフォーマンスを要求される人たちの研修

午前中に19歳から21歳の若者の研修を行ってきましたが、実にしっかりとした発言をする人たちでした。
この人たちが最高のパーフォーマンスを発揮できるよう、アドラー心理学を駆使して支援します。
プロジェクトの内容は「極秘」

2.『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』早くも第5版に

(株)日本能率協会マネジメントセンター出版事業本部の久保田 章子から『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』が早くも第5版になることと、8月上旬に新聞広告が打たれる旨のご連絡いただきました。
とうとうここまで来ました!

3.ペルグリーノ博士の来日

ペルグリーノ博士が昨夕、次女のマリー・ルーさんと孫のフィリップ君(15歳)と一緒にデルタ空港の飛行機で成田に降り立ち、ホテルでくつろいでいます。
私は、今夜、お目にかかります。


さて、「『子どものやる気』を読む」シリーズの2回目です。

冒頭の人間を理解する基本原則をまとめておきます。
ドン・ディンクメイヤーとルドルフ・ドライカースは、この本でアドラー心理学の基本的な考え方を8つに要領よくまとめています。

1.人間はもともと自発的であり、自分の行動を自分で決められる

2.あらゆる行動には社会的意味がある

3.すべての行動には意図がある

3.人間は自分の考えに基づいて行動する

4.人間は自分流に物を見、自分流の意味づけをする

5.何かに「所属したい」という欲求は、人間にとって基本的なものである

6.人間の行動は全体的な立場からとらえるべきである

7.人間の生き方にはその人特有の型がある


それぞれか、一部の詳細は別の機会に触れます。

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おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

まず、大ボケをやってしまったことのお詫びです。

昨日のブログで「『「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣 働く人のためのアドラー心理学』本日発売」と書きましたが、発売日の7月18日は今日でした。
1日ずれていました。申し訳ございません。

「もう疲れたよ…」にきく8つの習慣
働く人のためのアドラー心理学
岩井俊憲
朝日新聞出版

それでも、池袋に出かけていたうちにカミさんは、リブロ西武池袋店でこの本が置かれているのを見たようです。

『マンガでやさしくわかるアドラー心理学』 を販売する日本能率協会マネジメントセンターは、手帳軍団が営業を担当してくれているので、強力です。
目立つところにこんなPOPが置いてあったそうです(下の写真の左上参照)。

 『ありのままの自分を認める 人生を成功に導くアドラー心理学』(宝島社、1,300円+税)もルミネ池袋店で見つけてきました。

ところで、新しい本が出ていく代わりに古典的名著が静かに消えて行くのが残念です。
『子どものやる気』(ドン・ディンクメイヤー&ルドルフ・ドライカース著、柳平 彬訳)が絶版になっていました(ヒューマン・ギルドに数冊あるかもしれません)。

アマゾンでは、向後千春先生(早稲田大学教授)が「教員は読んでおいた方がいい」( 2013/7/26)とカスタマーレビューに書いておられました。

子どものやる気
柳平 彬
創元社

この本はもともと、1963年に両著者によって“Encouraging Children:The Encouragement Process” として出されていた本で、教育界にアドラー心理学の勇気づけを浸透させた本です。
日本でも1985年に創元社から出版されていました。

アドラー心理学の勇気づけがどう展開されるのかを知りたい人は是非、中古品でもゲットされることをお勧めします。

ただし、訳語がアドラー心理学ベーシック・コースなどで学ぶものとはかなり違うので、注意する必要があります。

次回からこの本の中のエッセンス部分だけ紹介しますが・・・・。

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おはようございます。新宿区神楽坂で研修&カウンセリングの事業を営む ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

久しぶりのアドラーの本の紹介です。

『性格はいかに選択されるのか』(アルフレッド・アドラー著、岸見一郎訳・注釈、アルテ、2,000円+税)   

性格はいかに選択されるのか
(アドラー・アンソロジー)
Alfred Adler,岸見 一郎
アルテ

まず、「せめてこの本を読まずしてアドラー心理学のライフ・スタイルを語るなかれ」と申し上げます。                      

私は、「アドラー読まずのアドラー語り」というようなことを時々言っています。
「アドラー」と口にしたり文章で書いたりしているのは多いのですが、肝心のアドラー自身の本を読んだことがない人たちを皮肉った表現です。
フロイトの本を読まないでいっぱしのフロイト語り、ユングを読まないでユング派でござい、というのと同じことで、恥ずかしいことだと厳しく言っていたこともあります。

それでも擁護すれば、アドラーの本を気張って買って、途中で挫折した人が多いことも承知しています。

アドラーの本は、とかく読みにくいです。
その理由は、世に出ている本(特に日本で公刊されている本)は、アドラーが机に向かって推敲に推敲を重ねて書いた本でなく、彼の講演を本にしたり、症例研究やカウンセリングの場面を本にしたりしたものであるため、読んでいて辟易することがあります(本当はそれでも読みこなしてもらいたいのですが)。

最近では、訳者の岸見一郎さんと出版社のアルテの市村敏明さんのコンビで続々アドラーの本を「アドラー・セレクション」として出されています。
このコンビのおかげで日本では、世界に後れを取らないくらいアドラーの本が出版されています。お2人に心から感謝します。

さて、アドラーの本を世に出すコンビは、面白いことを企ててくれました。
アドラーのいくつかの本の中から「性格論」の属する内容を取り出し、『性格はいかに選択されるのか』として、岸見さんの注釈つきで出してくれたのです。

私のささやかな願いは、せめてこの本くらいはアドラーを語る人ならば読んでほしいと思っています。
遠慮気味に、かつ大胆なことを言うと、「この本を読まずしてアドラー心理学のライフ・スタイルを語るなかれ」ということでしょうか。

ここまで書かれてアドラーの本を読まないのには勇気がいることでしょう。

ヒューマン・ギルドに在庫しています。ご注文下さい。

構成は、以下のとおりになっています。

はじめに
第1章       真の原因はどこに
第2章       性格概論
第3章       性格のタイプ分け
第4章       攻撃的性格
第5章       非攻撃的性格
第6章       その他の性格
第7章       情動
第8章       家族布置
引用・参考文献

◆ヒューマン・ギルドでは、アドラー心理学の本を日本一揃えています。
ヒューマン・ギルドのホームページの 書籍・DVD紹介 をご覧の上、ご注文下さい。

<お目休めコーナー> 6月の草花(20

 

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おはようございます。新宿区神楽坂で研修&カウンセリングの事業を営む ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

久しぶりにアドラー心理学の本の紹介をします。

『アドラーに学ぶ〈2〉― 愛と結婚の諸相』(岸見一郎著、アルテ、1,800円+税)

アドラーに学ぶ〈2〉愛と結婚の諸相
岸見 一郎
アルテ

『アドラーに学ぶ―生きる勇気とは何か』(岸見一郎著、アルテ、1,800円+税)に続く『アドラーに学ぶ』シリーズの2冊目です。

 アドラーのいわゆるライフ・タスクのうちの「愛」がテーマです。

章立てにしてもそれが明らかです。

第1章 恋愛とは何か

第2章 なぜ同じ失敗を繰り返すのか

第3章 愛の方法

第4章 結婚

第5章 よい人間関係とは


岸見さんは、エーリッヒ・フロムの『愛するということ』を随所に引用しています。

その中でも「全身で現在を生きることである」集中力を「いちばん身につけなければならないのは、愛し合っている者たちだ」をもとに、次のことを書いています。

今日この人と私は初めて会うのだと思えるくらいに集中したいのです。
前に日にいやなことを言われたかもしれません。しかし、今日も同じことを、今、目の前にいるこの人が言ったりするとは限りません。
そう思って、その人と初めて会う人のようにその日を始めるのです。

また、数行後に

今日この人と初めて会うのだと思えるようになれば、2人がいる時間は生きたものになります。
今日は昨日の繰り返しではなく、明日は今日の延長ではありません。
今日初めてこの人との関係が始まると思って付き合い始めるといろいろな発見があります。

と、第3章で集中し、生きた愛の方法に触れています。

さらには、第4章でこんな名言をさりげなく散らしています。

恋愛の場合と同様、幸い相手が見つかって結婚しても、結婚してからの方が難しいのです。
恋愛がイベントだとすると、結婚は生活だからです。

アドラー心理学をもとに「愛」のタスクを充実したい人のための必読書です。

(注)『アドラーに学ぶ―生きる勇気とは何か』と『アドラーに学ぶ〈2〉― 愛と結婚の諸相』は、ヒューマン・ギルドに在庫があります。
ご注文ください。
2冊まとめてのご注文の場合、送料をサービスさせていただきます(プレミアム会員の場合は消費税カット)。

◆お知らせ:一光社から出ていて、絶版になっていた『子どもの教育』が来春アルテから出版されます。

<お目休めコーナー>うちのカミさんが根津美術館で撮った写真(3

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おはようございます。ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

昨日(7月12日)は、宮崎で9:30~16:30に職場カウンセリング・セミナーを終えて、雨の中飛行機で東京に戻ってきました。


(会場の婦人会館の1階で)

私のもっとも得意とする研修で受講者の反応もよかったです。

2日目の昨日は、徹底して「勇気づけ」を教えました。

下の2つの写真は、「自分自身を勇気づける法」の「セルフ・トーク」の部分です。

まずは、悪魔のささやき。

悪魔役の方は、みんな、大胆にやってくれました。

 続いて天使のささやき。

 涙を浮かべる人もいました。


ところで、研修が終わった16:30にビックリが!

ヒューマン・ギルドのプレミアム会員で宮崎に住む綾 利江子(あやりえこ)さん(ELM勇気づけトレーナー。ヒューマン・ギルドの 各地のリーダー としてご紹介、九州地区を参照)が会場に。

昨日の私のブログを読んで、私が宮崎にいることを知って、わざわざお土産をお届けくださったのです。

・みやざき冷や汁
・鶏炭火焼
・鶏ささみくんせい
・切干大根

感激でした。

家に帰って家族にも喜ばれました。

綾さん、ありがとうございました。

宮崎の印象がさらに一段とアップしました。

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おはようございます。ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

今日(4月21日)、明日(4月22日)と アドラー心理学ベーシック・コース を名古屋で行うためこれから名古屋に向かいます。


(アルフレッド・アドラー、1870~1937)

さて、久しぶりにアルフレッド・アドラー自身の本の紹介です。

出版社 アルテ― 翻訳者 岸見一郎さん のコンビで一番新しい本がこの2冊(『個人心理学の技術 Ⅰ、Ⅱ』)です。
アドラーの母国語、ドイツ語からの翻訳です。

個人心理学の技術〈1〉伝記からライフスタイルを読み解く―アドラー・セレクション
Alfred Adler,岸見 一郎
アルテ
個人心理学の技術〈2〉子どもたちの心理を読み解く (アドラー・セレクション)
Alfred Adler,岸見 一郎
アルテ

『個人心理学の技術 1』(2,000円+税)は、国際個人心理学協会のウィーン支部で行われた連続講義がもとになっていて、ウィーンの作家が提出した、才能のある少女の伝記についてアドラーが独特のライフ・スタイルの解釈を試みるもので、アドラー自身のカウンセリング/セラピー法がありありと伝わってきます。

『個人心理学の技術 2』(2,000円+税)は、アドラーがウィーンの児童相談所で教師を前にした症例解釈と親と子どものカウンセリングがもとになっていて、アドラーが公開の場で行うカウンセリングがライブで伝わってきます。

なお、同じようなタイプのアドラーの本を私自身が訳しています。
『アドラーのケース・セミナー』(一光社、2,850円+税)です。

アドラーのケース・セミナー―ライフ・パターンの心理学 (Adlerian Books)
A. Adler著,W.Beran Wolfe編,
岩井 俊憲
一光社

なお、『アドラーのケース・セミナー』については、

2008年5月3日付けブログ 
アドラーを読もう(9)『アドラーのケース・セミナー』

に詳しく書いていますので、ご参照ください。

ちなみに、以下の3つのことを書いています。

(1)この本は、アドラーが1人の大人と11人の子どものケースに解説を加え、面接を行った、ライブの症例研究の書

(2)ケースを扱う際のアドラーの天才的なひらめき、人間知の豊かさ(人間理解の深さ)、勇気づける対応に私は翻訳中「アドラー先生、さすが!」と拍手を送りたい場面が何度もありました。

(3)アドラーの人柄、臨床的な冴えが伝わる本です。


◆このブログで紹介している3冊本は、ヒューマン・ギルドに在庫があります。ご注文ください。
3冊セットでご注文の場合、プレムアム会員の場合、消費税カット、送料サービスでお送りします(他の本や雑誌をこれらに加えてもOKです)。

◆ヒューマン・ギルドでは、アドラー心理学の本を日本で一番豊富に揃えています。
ホームページの こちら をご覧ください。

◆アルテの市村社長からの情報では、アドラーの本で一番売れていた『個人心理学講義― 生きることの科学』が5月にはアルテから岸見一郎さんの訳で出版されるようです。
長らく絶版状態が続いていたので、待ち遠しいです。

◎ヒューマン・ギルドの Facebookの独自ドメイン にご訪問の上 「いいね」 をお願いします。



私個人のFacebook  同様、ご愛顧のほどよろしくお願いします。
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<お目休めコーナー> ご近所で(10)



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おはようございます。ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。

「もしあなたが南海の孤島で暮らすとして、この本だけは手にしていたい、という本があるとしたら、それはどんな本ですか?」と問われるならば、私はためらいなく『どうすれば幸福になれるか 上・下』(W.B.ウルフ著、一光社)をあげます。

私は、『教育ジャーナル』(2004年9月号、学習研究社)の「巻頭言」に上のように書いたことがあります。

この2つの本は、私が監訳した本です。今までで一番多い回数読んだ本です(15回以上)。

アルフレッド・アドラーから「マイ・サン」と呼ばれたW.B.ウルフ(精神科医、アドラーの『人間知の心理学』のアメリカでの翻訳者)のロング・セラーです。

かつては、国際的にはペンギンブックス、日本では岩波新書で出ていたことがあります。


今回は、昨年の12月25日~28日にかけて記事にしていた「自己変革を妨げる心理」の延長線上で、『どうすれば幸福になれるか』の第12章「失敗のパターン ― 神経症について」をもとに自己変革を妨げる心理の一断面に触れてみようと思います。

ウルフは、神経症を「人生から逃避しよう、人生の問題を回避しようという方向に常に向かっていることを特徴とする、人生に対する姿勢、生きるテクニックの1つ」、「常に間違った生き方のテクニック」だとしています。

また、「神経症は、成熟した人間が追うべき社会的責任から逃避することを目的としたライフ・スタイル、と定義するのが最も適当だろう」とし、「もっともらしいが非常に苦しい言い訳や責任逃れをする方法を作り上げ、『私はやらない』というべきときに『私はできない』と言うようなライフ・スタイルである」とも書いています。

そして、「神経症の10の主な特徴」を次のとおりに書いています。

1.人生の意味と社会的協調の価値について無知である。

2.自分の自我を最優先させ、自分なりの独自性ばかりにこだわる。

3.感情の底流に恐れがある。

4.主観的な自信と安心感を作り上げる。

5.神経症的な目標を達成しようとして断固とした目的を持っている。

6.「やらない」というべきときに「できない」と言う。

7.身代わりを作る。

8.失敗に対して責任逃れしようとやっきになる。

9.無益である(注=建設的でない)。

10.孤立していて、人生と調和するための活動の領域を最小限に抑えている。


私たちは、上の10の主な特徴のうちのいくつかを持っていることがあります。また、普段はあまりこのような特徴がなくとも、ある状況で持ちがちになることもあります。

自分の心の健康のバロメーターとしてチェックできる項目でもあります。


◎「自己変革を妨げる心理」については、昨年の12月の4回、次のとおり書いています。
ご参照ください。

12月25日(1)成功回避の心理  

12月26日(2)コンフォート・ゾーン  

12月27日(3)イエス、バット  

12月28日(4)失敗しようとする意思


◎『どうすれば幸福になれるか 上・下』(セットで3,150円+税)は、ヒューマン・ギルドで在庫しています。これにもう1冊(たとえば、『図解 伝わる!ように「話せる力」』1,400円+税)などを加えて3冊以上になれば、1月中に限り送料・消費税サービスでヒューマン・ギルドからお送りします。

ヒューマン・ギルドで扱っている本のリストは こちら でお調べできます。

メール info@hgld.co.jp か電話(03-3235-6741)でヒューマン・ギルドのご注文ください。

 

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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

人生の意味の心理学 上 (アドラー・セレクション)
アルフレッド・アドラー
アルテ

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私が2008年4月27日のブログ

「アドラーを読もう(5)『人生の意味の心理学』」 

で内容を紹介し、最後に「私は、こんなに迫力のあるアドラーの本が絶版になっているのが残念でなりません」と書いた本が、岸見一郎さんの訳でアルテから再登場しました(上巻:1,800円+税)。

私は、このことを誰よりも喜んでいます。

『人生の意味の心理学』は、アドラー自身の本の中で私が一番お勧めの本です。

下巻は7月下旬の発行のようです。


ちなみに、上巻の構成は、以下のとおりです。

第1章 人生の意味

第2章 心と身体

第3章 劣等コンプレックスと優越コンプレックス

第4章 早期回想

第5章 夢

第6章 家族の影響


(注)『人生の意味の心理学 上』は、5月24日(月)からヒューマン・ギルドで販売可能になります。他の本と合わせてご注文ください。
会員の方のご注文の場合、5冊以上になると、消費税・送料サービスでお送りします。


<お目休めコーナー> お隣さんにいただいた我が家のバラ



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

水戸のホテルから発信します。

今日は、看護学校の2日目の集中講義の日です。昨晩は、疲れたので、早く寝てしまいました。

アドラー 人生を生き抜く心理学 (NHKブックス)
岸見 一郎
日本放送出版協会

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さて、『アドラー  人生を生き抜く心理学』(岸見 一郎著、日本放送出版協会、1,000円+税)を強くお勧めします。

今までのアドラー心理学の概説書のいくつかは、「アドラー」の名を冠しながら著者の考えを盛り込み、「本当にアドラーはそんなことを書いているの?」という本であったりしていました。

この本は、アドラーの訳出に取り組んできた岸見さんが、アドラー自身の論述に忠実に全9章のうちの7章まで展開し、最後の2章に岸見さんならではの見解を込め、それでいてアドラー心理学の色彩を透徹した実に優れた本です。

『アドラーの生涯』(金子書房、エドワード ホフマン著)の訳者の岸見さんらしく、アドラーの生涯のエピソードを随所に散りばめ、アドラーの引用も実に懇切丁寧で、おそらくこの本を読んだ人は、アドラーのことをもっと知りたくなり、アドラー自身の本を読みたくなるに違いありません。

アドラーの生涯
エドワード ホフマン著、岸見一郎訳
金子書房

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私の参考になった「勇気づけ」と「共同体感覚」に関する3つのポイントは以下のとおりです。

1.アドラーの「勇気」発言(“Adler Speaks”から)

「私は自分に価値があると思う時にだけ、勇気を持てる」(P.176)

「そして、私に価値があると思えるのは、私の行動が共同体にとって有益である時だけである」(P.186)

2.勇気づけの定義

「勇気づけは、子どもたちが自分の人生の課題を解決する能力があるという自信を持てるように援助することである」(P.196)

3.甘やかしから共同体感覚を育てるようにすること

「自己中心主義から脱却し、他者から与えられるだけではなく他者に与える人になること、自分への関心(self interest)を他者への関心(social interest)にすること(そして、これが共同体感覚があることの意味である)に向けて努力しなければならない」(P.204)


アドラー心理学の概説書の中で最高ランクに位置する本だと言っていいでしょう。


(注)ヒューマン・ギルドでも取り扱っています。他の本と共にご注文ください。

たとえば、

4月13日のブログ参照 
1,600円+税

4月20日のブログ参照
743円+税


<お目休めコーナー> クレマチス



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ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第25回目。最終回です。
テーマは「結語」、副題が「アドラーとその仕事の後代に対する意義」です。

たった6ページなので、私のコメントも加えながら進めて行きましょう。


H.オーグラーは、冒頭次のように書き出しています。

すべての偉人たちと同じく、アドラーは、時世よりもずっと先んじていたから、後代の人間にして初めて彼を適切に評価できるのだろう。

しかし、ウィーンの個人心理学学校、診療所、相談所、少年院、および医師の診察室における実際的な成果と、犯罪の予防での成功とは、今日にとっての、いや、さらに将来にとってのアドラーの教説の巨大な価値を明らかに示している。

個人心理学は、問題児、神経症者、犯罪者その他の治療に素晴らしい成績をあげているのである。


時世よりもずっと先んじていたアドラーの心理学(個人心理学)は、問題児、神経症者、犯罪者その他の治療に素晴らしい成績をあげているだけではありません。より適応した人びと、他者を援助する人にも有益な理論と実践法を提供しています。

個人心理学は、その科学的な経験と知識に支えられて、人生に失敗した人々に新しい目標とそれを達成する新しい方法を示すのみならず、よく適応した人びとにも自分自身および他の人びとを理解するすべを教えるのである。

個人心理学のユニークな点は、人間性の知識を教えられるようにしたことにあり、この出発点から、個人心理学は、幸福な人生を送るための実際的な助言を展開したのである。

アドラーの教説は、悲観主義、憎しみ、羨望、卑劣、敵意などのような破壊的傾向をどうやって防ぐか、劣等コンプレックスの発達をどうやって避けるか、また、楽観主義の成長、他人に対する理解、協力、勇気、および人間らしさをどうやって助長するか、(その手段)を我々に示している。


ところで、アドラーが自分の心理学を「個人心理学」としたことについては、「個人だけの心理学」のように受け止められがちですが、次の記述でその誤解を解いておきましょう。

個人心理学は、個人を決して大衆から孤立したものとしては見ない ― なぜならば、完全に孤立した個人を想像することは不可能だから ― で、いつも世界と関連させて考察する。個人心理学は、この関連での個人の意義を強調する。


個人心理学は、英語では Individual Psychology と言われますが、Individualには、「分割不可能な」という意味合いがあります。しかし、「個人」という日本語では、そのニュアンスが消えてしまいます。


H.オーグラーは最後に「私は、邪悪な人間に悪い未来を予言する大きな声を聞かなければならなかった人間が、アドラーの柔らかな、おだやかで、親切な声に思い切って耳を貸すことを望みたい」として、まるでアドラー自身が側にいるかのように、アドラーの教えを次の言葉で結びます。

人間は、生まれつき悪者ではない。彼/彼女の過ちが何であったとしても、過ちは誤った人生観によるのであるから、そのためにふさぎこんではならない。人間は変わることができる。過去は今は死んでいる。将来自分が幸福になることも、他人に幸福をもたらすことも、人間には思いのままである

アドラーは「早すぎた預言者」とか「勇気と希望の使途」とか言われることがあります。

彼の教えは、今でも新鮮さを失うことがありません。

私も他の流派の講座に出ると「何これ、アドラーじゃないの」ということがしばしばでした。
交流分析も、認知行動療法も、ブリーフ・セラピーも、NLPなどもみんなそんな香りがしました。と同時に、「底が浅いな」とも感じています。

精神医学史学者のアンリ・エレンベルガーが『無意識の発見 下』(弘文社)で怒りを込めて述べたように、アドラーの心理学は「共同採石場」(誰もが断りなく平気で掘り出してしまう石狩場のこと)のようなもので、他派がアドラーの原著を引用したことに触れずに取り込んでいることがあります。


ところで、アドラーは、自分の理論と技法を集大成することなくこの世を去ったのですが、その後、彼の後を受けて理論家、システム化したのがルドルフ・ドライカースです。

ちなみに、彼の生涯については、ヒューマン・ギルドのニュースレターの『不完全である勇気』で連載中です(3-4月号は、ドライカースの弟子のH.モサックのことについて)。

アドラーの1930年以降に書かれた本(実は、講演や講座をもとに編纂した本)は、何を読んでもさほど代わり映えしませんが、アドラーの本を最小限に読んでおけば、という前提で申し上げると、次の4冊がお勧めです。

『人間知の心理学』(アルテ)

人間知の心理学―アドラー・セレクション
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『性格の心理学』(アルテ)

性格の心理学―アドラー・セレクション
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『生きる意味を求めて』(アルテ)

生きる意味を求めて―アドラー・セレクション
アルフレッド アドラー
アルテ

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『人生の意味の心理学』(アルテから今春か今夏2分冊で刊行を予定)

ただし、アドラーの本を読んだからといって、アドラー心理学の大部分がわかるわけではありません。

ある方が、ヒューマン・ギルドの講座を受けてこう言いました。

「アドラーおよびアドラー心理学の本をかなり読みこなしましたが、それは知識レベルのことでしかありませんでした。アドラー心理学ベーシック・コースとSMILEを受けて初めて、アドラー心理学の深さが腑に落ち、実践できる勇気と知恵が湧いてきました」


このシリーズの最後に、今後のアドラー心理学に関する学びについて触れます。

1.どうかこの「アドラーを読む」のカテゴリーを読みこなし、アドラー自身の本を数冊読んでください。

2.次に、講座をしっかり受けてください。畳上の水練では、いつまでたっても上達しません。

理論編 アドラー心理学ベーシック・コース

技法編 愛と勇気づけの親子関係セミナー(SMILE)

このブログを読まれた方と実際にヒューマン・ギルドでお目にかかれるのを楽しみにしております。


◎このシリーズの完結にタイミングを合わせて、ヒューマン・ギルドのホームページのTopics欄に「アドラーが遺したもの」(私が『春秋』1988年5月号 №298 に書いたものに少し手を加えた文章をアップしています。

アドラーに心理学に対する理解がより深まりますよ。
ご参照ください。


<お目休めコーナー> 道端の水仙


 



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第24回目。

第3部「個人心理学の実際的応用」第2章の「アドラーの治療法」です。

H.オーグラーによれば、アドラーは、実際に応用できる厳格な方法を制定せず、患者1人ひとりの事情に従って治療の技法を適用するよう配慮したようです。

それは意図的であって、相談者(注:カウンセラー/セラピストのこと)のライフ・スタイルが治療方法を決定する、というアドラーの考えに基づいています。

しかし、著者がアドラーから学んだことによれば、症例ごとに相談者は、次の4つの課題を遂行しなければならない、ということをアドラーは、大体の輪郭として示したようです。

1.患者との接触を確立しなければならない。

2.患者のライフ・スタイルの誤りをわからせなければならない。

3.患者を勇気づけなければならない。

4.患者の共同体感覚を発達させなければならない。


1.の「患者との接触」を確立することに関しては、守秘義務のほかに、権威的な態度でなく友人として協力することが書いていありますが、このことは、ドライカースによって「相互尊敬・相互信頼」の関係とされ、現代も踏襲されています。

観察者として、卓越したの能力を持っていたアドラーとその後継者たちの伝統では、下の能力を持っていなければなりません。

熟練した個人心理学者は、ライフ・スタイルを発見するのに何の困難も感じない。いや、時として、第1回の相談の間に発見することも彼/彼女にとっては可能である。彼/彼女は、患者が部屋に入ってくる様子、握手の仕方、視線、身ぶりなどから、患者が話し始める前にもうある結論を引き出すことができる。

3の「患者を勇気づけなければならない」ということについては、次のように書いています。

患者のライフ・スタイルを解明する一方で、我々は患者を勇気づけし始める。

どんな物事に患者がとりわけ関心を持っているかということを見つけ出した後で、我々は、この分野で自己を鍛錬するように患者を説き勧める。

この分野で何かを成し遂げるのに成功すると、患者は、より大きな自信を獲得し、次第に劣等感を克服する。

我々は、最初からむずかしい仕事に取り組まないように助言する。なぜなら、1つでも失敗すると、彼/彼女の気持ちを沈めてしまうだろうから。


アドラー以来の伝統として、治療に関して下記の2つの点を強調しておきます。

第1点は、アドラーの治癒イメージ、もう1つは、相談者(カウンセラー/セラピストのこと)の備えるべき資質です。

前者に関しては、アドラー派は、患者の症状がなくなっても治癒したとはみなさず、彼/彼女が自分の人生問題と取り組み、自らに責任を引き受けるときのみに、真の治癒を口にすることです。

後者に関しては、H.オーグラーは、次のように書いています。

相談者は、患者の特別な知識領域の議論に誘い込まれないようにすべきだとはいえ、患者の問題をよりよく理解するために、行き届いた教育と広い視野を持つべきである。

そして、アドラー自身が著者だけでなく周囲に深い印象を与えたことをこう書いています。

私は、彼(アドラー)が批判したり、叱責したりするのを聞いたことがない。彼は時々、ある状況をたった1つの言葉、たった1つの身ぶりで説明することができた。

人間性に関する彼の独自の理解は、最も複雑な性格や状況の洞察を可能にした。彼のすばらしいユーモアの感覚は、最も気の進まない患者たちの心をつかんだ。

人間知に満ち溢れた「人類の教師」らしいアドラーらしいところですね。


◎次回が最終回の「結言」となります。


<お目休めコーナー> 桜便り① ― 西戸山(新宿区)



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おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。

H.オーグラー著『アドラー心理学入門』シリーズの第23回目。

第3部「個人心理学の実際的応用」第1章の「教育」の2回目です。

前回は、H.オーグラーの有名な言葉を引用しました。

我々は、何としても、子どもが人生に対して敵意ある態度を身につけることを防がねばならない。そうした態度は、つねにその子どもの劣等感を深めることになるからである。


子どもに敵意ある態度(注:アドラーはこの表現をよく使っている)を身につけさせかねない親の対応としては、典型的なものとして次の点があげられます。

他者との比較、子どもへの非難、がみがみ言うこと、叱ること、戒めること、殴ること・・・・

これらの態度は、子どもの劣等感を深めることになる、と言うのです。


アドラーの心理学は、問題点だけ指摘して終わる理論ではありません。しっかりと「どうすれば?」に回答を与える心理学です。

H.オーグラーは、具体策の前に次のことを書いています。

我々は、もちろん、間違った行為や無作法な行為を無視してはならない。しかし、子どもの欠点を直すためにどなりつける必要はない。間接的に彼/彼女の誤りに注意を引く方が優っている。たとえば、「よし、お前はそれを今回はよくやったが、この次は、もっとずっとよくやるようにしなければね」と言いながら・・・・。

また、この項の最後に近い部分では、こんな書き方もしています。

どんな保護も、子どもが迷いの路へ入リ込むのを防ぐことはできない。唯一の手段は、子どもが積極的なライフ・スタイルを発達させるように自覚させ、権威的な養育を避けることである。自主的に考え、責任を引き受けることを学んだ子どもだけが、悪い影響に抵抗することができるだろう。


これからは、箇条書きで具体的な対応を書きます。今日でも使えるやり方がたくさんあります。

1.アドラーは、家族が全員集まっている食卓では、平和で、朗らかで、好意的な雰囲気 ― このような雰囲気の中では、子どもは世間をもっと別の目で見るようになれる ― がみなぎっていることが大切だ、と大いに強調した。とりわけ今日、我々の忙しい生活がかなりの程度に神経を緊張させているとき、家族の食卓は、元気回復のための集合場所でなければならない。

2.家族布置の中で子どもの位置がたいへん重要なので、両親は、子どもたちの間に競争の起きることを避けることは重要。最初に生まれた子どもは、第2子を競争相手とみなしがちなので、第1子には第2子の誕生に対する心の準備をさせることが大切。

3.ある子どもが他の子どもと集い合い、友だちになるということは重要である。遊びの中で、また、スポーツの中で、子どもはよいスポーツマンになることや、協力することを学ぶのである。

4.子どもたちは、幼い時に、規則に注意を払い、他人に思いやりを持つようにしつけられなければならない。

5.子どもたちに職業の準備をするためには、物事をやり遂げたときの快感を経験させるようにしなければならない。

6.小さな成功は、子どもたちに学業への興味を呼び起こし、彼らは、もっと進んで、もっと努力して、より大きな成功を得るために、その上の課業をやり遂げようとする。

7.思春期とは、子どもたちにとってさまざまな困難な問題をもたらす時期である。若い人が不安と疑惑に満たされ、あらゆるものがその心を揺さぶるように見えるこの移行期には、教育者は、頼みになる同志にならなければならない。

8.子どもが積極的な適応性、楽観主義、勇気、自信、および共同体感覚を示すとき、さらに協力し、貢献することを学んだとき、教育者は、本当に自分の仕事を成し遂げたことになるのである。

私見を述べれば、7.の「教育者は、頼みになる同志にならなければならない」という表現に引かれます。

次に、アドラー式子育ては、自由放任主義ではありません。4.にあるように、「規則を守り、他人に思いやりを持つようにしつけられなければならない」という点にご注目ください。

さらに、8.は、教育者が目標とすべきこととして伝わってきます。

ところで、この章の最後に、アドラーの講演に続く討議の間に、ある人が上のような「アドラー式の教育法で出発できるより先に社会的条件の方が変えれなければならない」と言ったことに対して、アドラーは、次のように答えたのだそうです。

社会的条件を改善することが望ましいのはもちろんだが、しかし、人間同士になるように育て上げられた人びとだけが社会的条件を変えようと務めるだろう

これは、「まずは、社会が/学校が変わらなければ・・・・」と、よく言われるここと関連していますね。

すると、1人の女性が立ち上がって言ったのだそうです。

「講演者(注:アドラーのこと)が言ったことは正しいです。私たちは、社会的条件をそんなに早く変えることはできません。でも、私は、私の子どもたちを育てる方法を変えることはできます。そして、私は、明日から始めるつもりです」

1人の女性の発言には、アドラー以上の迫力があります。子どもを現実に育てている人こそが一番早く変化に取り組むのです。
子どもを現実に育てている人は、日々切実さに直面し、変化に取り組む勇気を持っているのです。


<お目休めコーナー> 社会的条件に関わらず咲くユリの花



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