おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
今はすでに鬼籍に入られたロシア語通訳者の米原万理さんによるユーモアの本がこの『必笑小咄のテクニック 』。
この本を読むと著者の教養の深さがにじみ出ていています。笑いの法則を著者なりに分類しているのが大きな特徴。
ユーモアに関しては、高いお勧め度です。
かなり笑えた本ですが、多くはシモネタ。ここでいくつかを紹介するのがはばかれます。
シモネタになりそうなところをぎりぎり抑えたジョークを1つだけ紹介します。
難破して漂流の末、無人島にたどり着いたロビンソン・クルーソーはしばらくの間まったく孤独だった。しかしそのうちジャングルで出会ったオウムがなついて人語をしゃべるようになった。ある日、オウムが興奮した様子で飛んできた。
「ロビン、ロビン、大変だよ、女がいたよ!!!」
ロビンソンもやりかけの仕事をほったらかしにしてオウムの後を走り出した。目的地に向かってジャングルの中を3時間も走り続ける間、オウムは声を限りに叫び続けた。
「ああロビン、彼女の足ときたら! 腰回りときたら! とにかくスタイル抜群なんだよ!」
海岸線が見える辺りまでたどり着いたところで、オウムは息を整えて自慢げに告げた。
「ほら彼女だよ」
ロビンソンも興奮して天を仰いだ。
「オーマイガッ!! メスのオウムじゃないか」
著者は、性的な話題に持ち込むことで、堅苦しいモラルやタブーからの解放感が生まれ、筋肉を弛緩させることを笑いの1つの要素としています。